イェール大学が米国の医学誌『Social Science & Medicine』で、「1日30分以上読書をすれば死亡リスクが約20%減少する」という調査報告を発表しました。健康に生きるためには運動習慣や規則正しい生活を送ることが大切だとよく言われますが、これからは読書習慣も重要視されそうです。実際の研究内容から、今後の生活習慣について考えてみましょう。

読書習慣がある人は、ない人よりも約2年寿命が長い

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(写真=J.Score Style編集部)

イェール大学では被験者3,635人を「まったく読書しない」「読書が週3時間半以下」「読書が週3時間半以上」という3つのグループにわけ、その後の12年間を追跡調査しました。同結果によれば、「まったく読書しない」グループは、「読書が週3時間半以下」グループに比べて死亡リスクが17%減少し、さらに「読書が週3時間半以上」のグループと比べると23%も減少していました。

さらに、読書をしないグループと読書を週3時間以上するグループを比較すると読書を週3時間以上するグループのほうが平均2年間長生きしており、読書習慣が寿命と深く関わりがあることが分かります。

読書習慣は本当に長生きに良い影響を与えるのか?

私たちの周りには雑誌や新聞はもちろん、インターネットのニュース記事やブログ、Twitter、Facebookなど、活字が至るところにあふれています。その中で、「読書」には、語彙力アップや知性の向上などの効果があると言われています。

一方で、日本人の活字離れは進んでいます。文化庁が行った「国語に関する世論調査」によれば1ヵ月に1冊も「本を読まない」と回答していた割合が2002年には37.6%だったのに対して、2013年では47.5%にまで増加しています。これはスマートフォンやSNSが普及したことも影響しているのでしょう。

同調査では、「読書量を増やしたい」と思う人の割合が66.3%であることや、1ヵ月に1冊以上本を読む人のうち77.1%が「今後も読書量を増やしたいと思う」と回答しており、読書の楽しさを覚えることで、読書量が自然に増える可能性を示唆しているとも考えられます。

さらに、神経学の『Neurology』誌では、読書は脳に対して運動効果があると発表されています。読書は加齢による記憶力や脳の機能低下を緩やかにする働きがあるとされ、特に「アルツハイマー」の予防も期待できるそうです。さらには、読書習慣がある人は読書習慣のない人に比べて、アルツハイマーを発症する確率が2.5倍も低いことが分かっています。

また、読書が寿命が伸ばす例として山梨県の健康寿命と読書の関係があります。厚生労働省が発表した「平成25年の都道府県別健康寿命」によると、健康寿命の全国1位は山梨県。かつて行われた文部科学省の社会教育調査の「人口に対する図書館数」では、全国平均が2.61だったのに対し、山梨県は全国1位の6.59でした。

山梨県は、戦後まもなく全国に先駆けて「読書」の普及に力を入れ、それが今日まで続いています。2017年の統計では、小学校の図書館司書の配置率98.3%(全国平均59.3%)、中学校97.5%(全国平均57.3%)と高く、学生のころの読書の習慣がその後も続いていることが予想されます。

ちなみに、2010~2015年にわたって、笹川スポーツ財団が調査した「週1回以上の運動・スポーツ実施率」では、山梨県は全国最下位です。運動をしなくても、読書が健康寿命の高さを支えている要素の一つといえるでしょう。

読書を習慣付けるには毎日30分、週3時間半以上がベスト

読書習慣が健康寿命を高めるという相関性が分かってきたところで、読書習慣を身につけるためにはどのようにしたらよいのかを考えてみましょう。

1. 毎日短時間でもよいので読書週間を確保する

上述したように、毎日30分でも1週間継続すれば、週3時間半の読書時間を捻出できます。平日に読書をする時間を取れない人は、平日は15分、土日にゆっくりと時間を取ってみましょう。少しでも活字にふれることが大切です。

2. 読書の時間を決める

読書を続けるためには「読書の場所を決め」て取り組むことも検討しましょう。朝30分早く起床して自室に読むのもよいですし、通勤通学のスキマ時間を活用するのも一案です。意外と読書に使える時間は見つかるはずです。そして、読書した記録を残すために、しおりを使えば、読んだという達成感を味わえます。

3. 憧れの実業家を真似て奮起する

世界的に有名な実業家のウォーレン・バフェット氏、ビル・ゲイツ氏、マーク・ザッカーバーグ氏など、成功者には読書好きな人が多いと言われています。「新聞を毎日読む」「継続的に読書をする」など、人によってやり方は異なりますが、活字から知識を得て、能の活性化につなげているのでしょう。彼らのように忙しい人たちが読書をしているのだから、自分もスキマ時間を見つけて頑張ろうと奮起し、行動するのがよいでしょう。

4. 何から読めばいいかわからない人は要約サービスの活用も

読書は嫌いではないものの、何を読めばいいのか迷うという人は本の要約サービスを活用してみるのも一案です。スマホで見られる要約サービスであれば大体5,000文字くらいの分量で読み終えられるものも多く、大体10分前後で本のストーリーを把握できます。例えば、平日は要約サービスを活用して自分の興味のある分野を見つけて、週末に書籍を手に取って熟読するのも効果的です。

読書を始める動機や続ける意志は人によって異なりますが、まずはやってみましょう。もしも、ビジネス書や学術書などが苦手だという人や読書習慣がなく、読了できるか不安な人は小説など読みやすい書籍から始めるのも一案です。もしも、小説を読むのも大変だと言う人は歴史漫画や政治・経済のことを書かれた漫画などを読んでみるのもよいでしょう。自分にとって負担のない本を選びましょう。

読書で健康寿命を延ばし豊かな人生を

読書はどんな人にもおすすめできる素晴らしい趣味です。今まで読書とは縁遠い生活を送っていたという人も、まずは1日30分からでも始めてみてはいかがでしょうか。読書習慣は、健康寿命を伸ばすだけでなく、人生をより豊かにするための手段です。ただ漫然と毎日を過ごすだけでは知ることができない知識や学びが脳を活性化して、よりよい自分自身になることができるでしょう。(提供:J.Score Style

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