日本では今年に入り、厚生労働省が「副業・兼業の推進に関するガイドライン」を策定するなど、「新しい働き方」を提案する動きがあります。その中で最近、「ギグエコノミー」という言葉をよく聞くようになりました。また、アメリカやフランスでも、ギグエコノミーに関する議論が起こるなど、ギグエコノミーは世界的に注目を浴びています。ギグエコノミーの発展によって私たちの働き方はどう変化するのでしょうか。
ギグエコノミーとは何か?
まず、ギグエコノミーについて解説します。ギグエコノミーの「ギグ」とは、もともと音楽業界でアーティストが、一回一回の契約に基づいて行う仕事のことをさしていました。そこから転じて、「単発での仕事」「短期での仕事」全般をさす言葉になりました。
現在も労働者は会社との間で長期的な雇用契約を結び、働くのが一般的です。しかし、インターネットの発達に伴い、働き方は少しずつ変わってきました。たとえば配車サービスの「Uber」社、車に乗せてほしいと望む客と運転手をマッチングするサービスを提供しつつ、ドライバーは1回運転するごとに報酬を得る、というような形態を取っています。
こうしたケースは他の業態でも増えています。単発の仕事、短期契約の仕事が増えてきていること、また、それだけで生計を立てられる人が増えてきました。そこで「ギグエコノミー」が注目を浴びているのです。
ギグエコノミーによってどのような経済圏が生まれるのか
では、ギグエコノミーが発達すればどのような経済圏が生まれるのでしょうか。
現在、日本でも、短期での仕事、単発での仕事は多くあります。データ入力などの簡単な作業は、ギグエコノミーによって代替されるようになりました。現在は簡単な作業だけですが、高度な判断を伴う業務も、今後、ギグエコノミーに代替される可能性があります。また、国が兼業・副業を推進していることもあり、ギグエコノミーはますます拡大していくでしょう。
そうすると、ギグエコノミーを対象にしたサービスが増えてきます。最近で言うと、個人の確定申告に対応するサービスや、労務管理に関するサービスが発達していきました。面白いのは、これらのサービスもギグエコノミーの力を借りて発達する可能性があることです。ギグエコノミーの力でサービスが充実し、それを利用するのも「ギグ」で働くというサイクルが増えてくると、既存の働き方だけを取り入れる企業は遅れを取るかもしれません。
ギグエコノミーは、働き方のみならず、サービスの内容そのものを変えてしまう可能性もあるのではないでしょうか。
ギグエコノミー経済圏の中で、どのような生き方をしていくべきか
では、そういった経済圏が拡大していく中で、われわれはどのような働き方をしていくべきでしょうか。
キャリア形成の観点でいうと、より主体的にキャリアを考える必要があるでしょう。ギグエコノミーにおいては、長期にわたる包括的な契約を結ぶわけではありません。仕事は、「単価×時間」で定義されるようになります。単価を上げるには、スキルを付ける必要があります。
どのようなスキルを形成し、どれくらい稼ぐか、また、そもそもいくら稼ぐ必要があるのかなど、同一の会社だけで働くときには考えなかった計算が必要になるかもしれません。
良くも悪くも、個人のスキルが報酬に直結する時代がやってくるのでしょう。それに向けて、望むキャリアパスに対応するスキルを身に付けることが必要ではないでしょうか。「良い会社であること」や「企業規模」が大きいことは収入と直結しなくなるかもしれません。個人のスキルや営業スキルをもとに仕事を作っていく必要があることから、経営者的な感覚も必要になるでしょう。
ギグエコノミーは、まだ始まったばかり
ギグエコノミーという言葉が注目されるようになってきたものの、実際にはまだ旧来型の働き方が中心に据えられています。しかし、本格的にギグエコノミーが拡大すると、あっという間に働き方は変わってしまうかもしれません。その時に乗り遅れないよう、キャリア形成について一度考えてみる機会を設けるといいでしょう。(提供:J.Score Style)
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