いよいよ4月。気候も良くなり外出しやすくなる時期だ。また、新年度、新学期のスタートでもあるので、気分新たに飲食店の新規開拓をする人も多いはず。飲食店にとってはチャンス到来といえるだろう。しかし、どの店も集客したい気持ちは同じ。客の「奪い合い」になってしまう可能性もある。そこで今回は、現場で取り入れやすくて実践しやすい春ならではの「集客術」を紹介しよう。
野菜や果物を使った春限定メニューの提供
まず、最初に押さえておきたいのは野菜や果物を使った季節限定メニューだ。特に春の食材は彩りも良く、メニュー表やホームページに写真を掲載すれば集客にも繋がりやすくなる。どんなものが旬なのか早めに調査しておこう。例えば、野菜であれば、アスパラガスやレタス、かぶ、ごぼう、ルッコラ、春キャベツ、新じゃが。果物では、グレープフルーツやマンゴー、メロンなどが代表的だ。
ただし、青果店やスーパーの店頭に並んでからメニュー開発をしていたのでは集客に間に合わない。旬を迎える1か月前にはメニュー開発を終えておく必要がある。来年以降は今年の売れ行きなどをみて、人気メニューはそのまま提供し、そうでないものはアレンジしたり新作の投入を検討すると効率的だ。
また、メニュー開発やトレーニング期間が短いと、定番メニューよりも品質が下がってしまうリスクがあるということは覚えておきたい。見栄えやネーミングがよくてもお客様が満足しなければリピーターにはならない。集客しやすい反面、店の評判が落ちることもあり得る諸刃の剣なのだ。事前に常連様向けの試食会などを開いて意見をもらっておくなどの準備をしておこう。
グランドメニューを変更して「売り」を目立たせる
季節メニューの投入だけでなく、春はグランドメニュー変更の絶好の機会でもある。グランドメニューは1年を通じて特に変更をしない店も多いようだ。しかし実際には、メニューラインナップを整理したり、見せ方を変えて「売り」を明確にすることで集客に繋がった例も多くある。
まず、これまでのデータを元に「売れていないメニュー」を思い切って外してみよう。そして次に、「売れているメニュー」「売りたいメニュー」をメニュー表上部など目立つ箇所に書くようにする。それだけでお客様に対する印象はかなり変わるだろう。どんな店かは、「見せているメニュー」で決まるのだ。
実際、夜の客数に伸び悩んでいた店が、メニューブックの一番最初にアルコールメニューを書いただけで客数と客単価が急上昇した例もあるほどだ。売れないメニューを見せるのをやめて、お客様が本当に求めているメニューをしっかり打ち出せば反応は変わる。この春に合わせて、目玉メニューを開発し、イメージチェンジを試みるのもいいだろう。
プリペイドカードで通ってくれるお客様を掴む
新年度、新学期はお客様が入れ替わる時期でもある。新しいことをしたい気分も高まるので、心理的にもお客が「動きやすい」のだ。また、新しく引っ越してきた人は「通える店」を探している可能性が高い。集客するならばそこは確実にターゲットにすべきだ。
例えば、「入学」「入社」「引越し」「新生活応援」などをキーワードにコーヒーチケットやプリペイドカードなどのキャンペーンをしてはどうだろうか。例えば、5,000円の購入で5500円分の利用ができるなど、10〜20%程度お得にしておくといい。
飲食店は都度払いが基本ではあるが、プリペイドカード等があれば「通うきっかけ」が生まれる。通うつもりのある客にとっては非常にありがたい存在なのだ。一度限りではなく、長く利用してもらえるお客様を見つけるつもりで企画してみるといいだろう。
ゴールデンウィークでお客様が減る場合はイベントを開催
ゴールデンウィークと言えば「稼ぎ時」のイメージがあるが、それは観光地などの話。むしろ、お客様が少なくなってしまう店の方が多いくらいだ。あなたの店はどちらのパターンだろうか。
お客様が増える立地であれば集客面で心配することはないが、気をつけなくてはならないのはオペレーションだ。提供が雑になってしまったり、接客の質も下がることが考えられる。対策としては、セットメニューなどでオペレーション効率を高めることだ。混雑時は、お客様は「とにかく早く提供して欲しい」という気持ちが強くなるのだ。
では逆に、お客様が減る店ではどうすべきか。当日になって店頭でビラ配りをしても、通行量自体が減っているのでなかなか効果が出にくい。おすすめなのは「イベント開催」だ。例えば、音楽ライブ、親子料理教室、貸切パーティなど。2~3か月前からの準備が必要になるが、企画さえしっかりしていれば、通行量とは関係なく集客が可能になるというわけだ。
近隣店舗とのコラボ企画
4〜5月は散策にも打ってつけだ。休日の飲食店めぐりを趣味にしている人も多いだろう。そこで、何店舗かで協力しあい、街散策のチラシや冊子を配布するのも効果が高い。クーポンなどをつけておけば、利用率も高まるはずだ。
他にも、飲食店のオーナー同士が仲良くなり、互いの店を紹介し合うことで客が増えた例がある。例えば、A店のショップカードをB店に置かせてもらう。もちろん、B店のショップカードもA店に置く。系列店ではなくても、このように「同盟」を結ぶことでお互いの集客力が増したという事例は多い。
飲食店はお店単体で集客しているかと言うと、決してそうではなく、その街自体の人気であったり、他にも行ってみたい飲食店がたくさんあるから人が集まっているという部分もある。街全体で一丸となったり、店同士がコラボして集客をしていく発想は、これから非常に重要になるだろう。
以上、4〜5月に効果が出そうな集客術を紹介した。いずれの場合も、集客効果を出すには「早い準備」が必要となる。行き当たりばったりとならないように、年間スケジュールを立てておくことをおすすめする。(提供:Foodist Media)
執筆者:大槻洋次郎