読者のみなさんは「五月病」を経験したことがあるでしょうか? 三省堂の『大辞林 第三版』によると、五月病とは「4月に入った大学新入生や新入社員などに、1ヵ月を経た5月頃に見られる、新環境に対する不適応病状の総称」としています。その影響もあるのでしょうか。私のFP事務所にもこの時期になると、転職に関する「お金の相談」が増える傾向にあります。相談に訪れるのは新入社員だけではありません。春の人事異動に伴う環境変化に馴染めず、転職を検討しているベテラン社員の相談も珍しくありません。
それにしても、驚かされるのは相談者の多くが「雇用保険」の制度についてきちんと理解していないことです。私が雇用保険についてたずねると「給与明細に記載されているアレですよね?」「失業手当のために払っているものですよね?」との回答が返ってきます。もちろん、雇用保険は失業したときに役に立つ「保険」なのですが、失業手当だけでなく再就職給付金、介護休業給付金、育児休業給付金、高齢雇用給付金、一般教育訓練給付金、専門教育訓練給付金など多様な場面で役に立つ制度なのです。制度としては素晴らしいだけに、理解が十分でないために「損」をすることのないようにしたいものです。
今回は「知らないと損をする雇用保険」と題してお届けしましょう。