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(画像=iStock.com/MmeEmil)

飲食店の経営には非常に多くの経費がかかる。その中でも、特に大きな割合を占めるのが食材原価だ。利益を出せるかどうかは、原価管理の方法次第と言ってもいい。今回は、食材原価の基礎知識と原価率を抑えるコツを紹介する。

飲食店の原価率を正しく計算する方法は?

基本的なことだが「原価」とは材料費のこと。「原価率」とは売上に対して原価の占める比率のことを言う。つまり、原価率の計算方法はこのようになる。

原価率=材料費÷売価

例えば、ランチの販売価格が1000円、材料費が300円であれば、原価率は30%になる計算だ。

300円(原価)÷1000円(売価)=30%(原価率)

計算式自体は難しくないが、実際の原価計算は少し手間がかかる。例えば、カレーのランチセットを提供する場合で考えてみよう。まずは、カレールーの材料費の総額を算出する。20名分の仕込みをするのに、玉ねぎ、じゃがいも、牛肉、香辛料、調味料などで合計4,000円かかったとしよう。その場合、4,000円÷20人=200円となり、ルーだけで1人あたり200円の原価となる。

次に、サラダの材料費として、レタス、キュウリ、ドレッシングなど20人分で1,000円だとすると、1名あたりの原価は50円。そして、米が10kgで3,500円とすると、1合(約150g)あたり52.5円。1合の炊き上がり重量を330gとして、1名あたり300g使用すると、47.7円の原価となる。これをすべて合計すると、カレーランチセット1名あたりの原価が算出できる。

カレールー200円+サラダ50円+米47.7円=297.7円
297.7円(原価)÷1000円(売価)=29.77%(原価率)

このように、仕込みの全体量から1名分の使用量あたりの材料費を算出していく必要があるというわけだ。もちろん、メニューごとに原価率は異なるので、取り扱うメニュー全ての原価率を算出しなくてはならない。大変な作業だが、材料ごとの価格などをしっかりと記録しておけば、新メニュー導入時には比較的簡単に原価計算が可能になるだろう。

ただし、原価には廃棄した材料費も含まれるので注意が必要だ。売れ残って新鮮ではなくなった材料や、不注意で使えなくなったものなどは廃棄(ロス)となる。廃棄した食材は売上にはならないが、原価に含まれるのだ。つまり、事前に計算した原価率よりも実際の原価率は高くなる可能性もあるということだ。

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(画像= iStock.com/holgs)

業態ごとの原価率の目安は?

飲食店全体としては、原価率の目安は30%程度とされているが、取り扱うメニューや業態によって原価率にはかなり差がある。代表的な例を挙げてみよう。

・寿司店… 35〜40%
・レストラン、居酒屋… 30〜35%
・ラーメン店… 30%
・カフェ・喫茶店… 25〜30%

寿司店は最も原価率が高い業種のひとつだ。高価な食材を仕入れる必要があり、ほとんどが生魚などの生鮮食品なので廃棄も多くなりやすい。そうなると当然、原価率は高くなる。反対に、カフェや喫茶店はドリンクの原価率が低く、例えばコーヒーの原価率であれば数%〜10%程度。フードメニューも合わせた原価率は25~30%となり、飲食業の中では最も原価率が低い業態と言えるだろう。

しかし、単純に原価率が高ければよくない、低ければいいというわけでもない。原価率の高い寿司店やレストランは、客単価が高いので客1名あたりの利益が大きい。例えば、単価1万円の店であれば、原価40%だとしても売上から原価を引いた粗利益は6,000円だ。一方、カフェや喫茶、ラーメン店は客単価が低いので客1名あたりの粗利益は数百円程度と小さい。その分を回転率や営業時間の長さでカバーしなくてはならない。

このように、業態ごとに原価率は異なるが、それぞれにメリットとデメリットがあるということを把握しておく必要がある。

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飲食店の原価率を抑えるコツは?

利益を大きくするためには、原価率を抑えなくてはならない。そのためには、レシピの分量を守ること、忙しい時などに慌てて材料をこぼしたりしないといった基本的なことが重要なのは言うまでもないが、その他に現場で取り入れやすい方法をいくつか紹介しよう。

1、廃棄の多いメニューの取り扱いをやめる

例えば頻繁に廃棄しているスイーツ(例/プリン)があったとする。であれば、そのプリンの提供を中止し、すでに使用している他の食材を使ってスイーツを提供してみよう。どうしてもプリンの提供をやめたくない場合は、ランチメニューなどのセットに組み込む、オススメとしてメニュー表の目立つところに書くなどして注文率をあげれば廃棄は減るはずだ。

2、専門店にする

例えば居酒屋であれば鶏肉専門店に業態変更する、イタリアンであればピザ専門店にするといった具合に、「専門店化」することによって原価率を抑えることも可能だ。取り扱う食材の種類を絞り込むことで、仕入れやオペレーションが効率化され、廃棄する量も少なくなりやすい。メニューにもこだわりや魅力が生まれ、単価が上がり、リピート率も上がる傾向がある。

3、原価率の低い人気メニューを開発する

一般的にカクテル系は原価が低いとされているが、オリジナル性の高い自家製カクテルの提供は非常に有効だ。通常のカクテルだとそれほど売価を高くはできないが、「自家製~」というネーミングであれば、より単価を高くして目玉商品にすることもできる。自家製のジンジャーシロップ、ライム、焼酎、ソーダを合わせ、「自家製ジンジャーライムフィズ」として、原価率10%以下で人気メニューを生み出した例もある。

原価削減と言えば、まず思いつくのは食材のランクを落とすことだが、これはあまりおすすめできない。寿司のネタのランクを落としたり、国産牛を輸入牛に変えれば、もちろん原価率は下がる。しかし、お客様の満足度に関わる方法なので慎重に検討する必要がある。提供量を減らすのも同様で、原価削減していることがお客様に伝わりやすい方法は敬遠した方がいいだろう。

逆に、原価率を上げた方が集客に繋がるという意見もある。その方がいい食材を使えて満足度の高いメニューが提供でき、リピート率や口コミが増えるからだ。結果的に利益を確保することが大切であるわけだから、どの手法が自店舗にマッチしているのか、業態の特性などを考慮しながら最適なものを検討していきたいものだ。(提供:Foodist Media

(執筆者:大槻洋次郎)