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野菜たっぷりのカレーが特徴の『camp』(画像=Foodist Media)

飲食店の経営は、お店のファンであるリピーターをいかに増やすかが鍵となる。美味しい料理、店の雰囲気、スタッフの丁寧な対応など客を引きつける要素は様々だが、それを手助けしてくれる販促術のひとつが「スタンプカード」だ。

しかし、スタンプカードを使った販促術は、どんな店でも導入しやすい一方で結果が伴わないケースもある。スタンプカードを客に配り、それを実際に使ってもらってこそ意味があるのだ。

そんななか、個性的なスタンプカードを導入し客の心を掴んでいるのが、来店する約7割が地元常連客という千駄ヶ谷のカレー店『野菜を食べるカレー camp』だ。今回は、同店の運営を手掛ける株式会社バックパッカーズの上国料さんに、実際に導入しているスタンプカードについて詳しく話を伺った。

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スタンプ代わりに切手風デザインのシールを採用(画像=Foodist Media)

“切手”を使った個性的なスタンプカード

関東を中心に全国に展開する『野菜を食べるカレー camp』は、店名にもあるように内装や小物などにキャンプの要素を詰め込んだスタイルのお店。看板商品である「1日分の野菜カレー」(990円)をはじめ、様々なカレーをまるでアウトドアをしているかのような気分で楽しめる。そんな同店が取り入れている販促術のひとつが、切手風デザインのシールを使ったスタンプカードだ。

「当店では、スタンプカードにスタンプを押す代わりに切手を貼っていく方式をとっています。この切手は、本物の切手と同様に糊が付着しており、簡単にスタンプカードに貼れるようになっています」

切手は会計500円ごとに1枚渡す仕組みになっている。スタンプカードというと多くのスタンプを集めてから利用するイメージがあるが、こちらでは切手を2枚集めれば100円のトッピングと交換できるため、小まめに活用するリピーターも多いのだそう。もちろん、まとめて交換することもでき、1シートの最大数である18枚まで集めると、990円相当のカレーと交換できるなど集める楽しみも大きい。

また、かつてはスタンプカードと小冊子が一体になっており、カレーに使われている野菜などを紹介していたそうだ。よく見かけるスタンプカードというアイテムに「切手」や「小冊子」といったアイデアを盛り込み、客の記憶に残るサービスへと仕上げる。普遍的な販促グッズだからこそ、個性が大切だというわけだ。現在は、この冊子にかわるユニークなツールを新たに検討しているそうだ。

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切手2枚で100円分のトッピングが無料に(画像=Foodist Media)

お店を最後まで楽しんでもらうための工夫

このユニークなスタンプカードを導入した理由を尋ねると、「最後まで店の雰囲気を楽しんでもらおう」という同店ならではのサービス精神が伺えた。

「当店では、お客様が入店してから退店されるまで、お食事の時間を最大限楽しんで頂きたいと考えており、そのためにお客様に驚いていただけるようユニークな工夫をしています。お食事はもちろんですが、飯ごうやかわいい水筒、ショベル型のスプーンといった、ちょっとした小物にも凝ることで、トータルでcampらしい雰囲気を楽しんで頂いています。最後のお会計の場においても、お客様に面白いと思っていただけるツールとして、そしてお客様と従業員の会話のツールとして、この独自のスタンプカードを利用しています」

珍しいスタイルのスタンプカードは、客との会話のきっかけを作るツールとしても活躍する。初めて『camp』を利用する客には、とくに丁寧な説明することを心掛けているようで、「ユニークだね、面白いね」と言葉をかけて貰うことも多いそうだ。

なお、1日の来店客の1~2割が実際にスタンプカードを利用して、カレーあるいはトッピングと交換しているという。「常連のお客様ほど、スタンプカードを楽しみにされており、そして実際にご利用いただいている感じがします」という言葉通り、常連客の心を掴むキーアイテムとなっているようだ。

スタンプカードを販促の一手として用いる店舗は多いが、ありがちな手法だからこそ個性を主張するのが難しい。『野菜を食べるカレー camp』のように、店ならではのアイデアを取り入れていくのが、スタンプカード販促を成功させ、常連客を増やす鍵だといえるだろう。

『野菜を食べるカレー camp 代々木本店』
住所/東京都渋谷区千駄ヶ谷4-29-11-B1
電話番号/03-5411-0070
営業時間/11:30~22:30(L.O.)
定休日/日
http://curry.camp/

(提供:Foodist Media

(執筆者:サトウカオル)