大手大麻企業であるオーロラ・カンナビス、ティルレイ、クロノス・グループの3社は2週間前、最新の決算を発表した。2019年10月からカナダで合法化が予定されている大麻入り食品に対してマーケットがどう反応するかは定かではないが、今回の決算は大麻大手3社を比較検討する良い機会である。

1.オーロラ・カンナビス

オーロラ・カンナビス(TO:ACB)は、この3社の中で最も規模の大きい企業である。時価総額は88.3億ドル(118.8億カナダドル)であり、医療用大麻分野におけるリーディングカンパニーである。同社は第3四半期(1-3月期)の決算で、純損失の減少と売上高の増加を発表している。

第1四半期における純損失は1億5800万カナダドルとなっており、これは主に栽培施設への継続的な投資が原因である。しかし、前四半期の純損失である2億3700万カナダドルから、第1四半期では33%抑えられている。

一方、第3四半期の売上高は前四半期の5418万カナダドルから20%増の6510万カナダドルとなっている。内訳としては、娯楽用大麻の売上高が37%増、カナダにおける医療用大麻の売上高が8%増、カナダ国外における医療用大麻の売上高が40%増であった。

第3四半期決算以降、同株は8.02ドル(10.83カナダドル)から8.89ドル(12.12カナダドル)へと上昇しており、先週の5月17日の終値は8.68ドル(11.71カナダドル)であった。

2.ティルレイ

ティルレイ(NASDAQ:TLRY)は5月14日に第1四半期(1-3月期)決算を発表した。純損失は3030万ドルとなっており、前年同期の518万ドルから大幅増加した。一方売上高は前年同期比195.1%増となった。マニトバ・ハーベストの買収により強化した、大麻や大麻食品を同社の成長エンジンとしている。

ティルレイのCEOであるブレンダン・ケネディ氏は以下のように述べた。

「マニトバ・ハーベストやナチュラ・ナチュラルズの買収は非常にうまくいった。大麻やCBD製品の米国での展開を加速させ、欧州や北米の生産能力を上昇させている」

しかし、売上高は投資家の期待にそぐわなかった。約47ドルであった同株は決算発表後一時48.84ドルを付けたが、その後46.22ドルまで下落した。先週の5月17日の終値は45.66ドルとなっており、決算における売上高の結果ははすでに織り込まれていることが分かる。

ティルレイ 30分足 一ヶ月
(画像=Investing.com)

しかし、投資家は大麻入り食品の先行指標となり得る小売用大麻の売上に注目すべきである。

3.クロノス・グループ

クロノス・グループ(NASDAQ:CRON)は、時価総額が49.6億ドル(66.8億カナダドル)である。同社の第1四半期(1-3月期)決算では2019年の純利益の下方修正を発表し、9日では8.8%安となった。

クロノス 30分足 一ヶ月
(画像=Investing.com)

クロノスが焦点

同社の第1四半期の売上高は650万カナダドルであった。前年同期比15%増であるが、アナリスト予想を下回った。同社によるとCBDオイルの売上の増加が寄与したとのことだ。

2019年第1四半期においてCBDオイルの売上高は、売上高の23%を占めている。2018年第1四半期では、全体の9%でしかなかった。

医療用及び治療用大麻の人気の高まりは注目すべきである。

また、同社は第1四半期の間、タバコ大手のアルトリア・グループ(NYSE:MO)と24億ドルの資本提携を結んだ。この提携に基づいて、同社は今月上旬にカンナビノイド用の電子タバコの開発を進めるCronos Device Labsを立ち上げた。同社CEOのMike Gorenstein氏は以下のように述べた。

「Cronos Device Labsは顧客から共感を得られる革新的な電子タバコを開発し、株主価値を創造することで、同社の長期的な発展に向けて重要な役割を果たすだろう」

電子タバコの発売に先立ち、同株の行方に注目である。(提供:Investing.comより)

著者:Brenda O'Farrell