(本記事は、堀宏史氏の著書『すぐメモする人がうまくいく』=自由国民社、2018年10月17日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

情報はインプットの自動化でもっと楽になる

すぐメモする人がうまくいく
(画像=NicoElNino/Shutterstock.com)

自分の興味のある分野に関して、毎日いろんな情報をアウトプットしていると「いつもどうやって情報をインプットしているんですか?」という質問をよくいただきます。

そんな時は「全然自分からは情報を探しに行かないです。情報が自然に入ってくる状況を作っているのです」といつも答えています。

毎日能動的に情報を取りに行くのは骨の折れることで、それ自体に時間を使いアウトプットの量や質が下がってくるようであれば本末転倒になってしまいます。

アウトプットのためにインプットを頑張ろう、積極的に自分の興味のある情報をインプットしていこう、そんな気持ちはあるもののいざ情報を取ってこようとすると、わざわざニュースサイトを見てみたり著名な人のブログを見に行ってみたり、本屋で専門の本を探してみたりとなかなか大変です。

最初は頑張ってみるものの、やはりそういった無理のある能動的インプット方法だとなかなか長続きしません。情報は受動的にインプットできる仕組みを作っていきましょう。

できるだけ手間をかけず、楽に情報が入ってくる仕組みとはどんなシステムなのでしょうか。お勧めするのは、情報インプットの自動化です。具体的にはgoogleアラート、RSSリーダー、ニュースダッシュボード、SNSの活用です。順番に説明していきます。

Googleアラートは指定したキーワードが含まれる検索結果をメールなどで受け取ることができるサービスです。最初に指定した検索キーワードに合致した場合にアラートメールが送られてくるのですが、「その都度」「1日1回以下」「週1回以下」といったようにその頻度を選ぶこともできます。自分の興味ある領域の「キーワード」「会社名」「サービス名」などを登録しておくと、新しいニュースが入った時に自動的にニュースが送られてくる便利なサービスです。

RSSとはブログなどWebサイトの更新情報をまとめて配信してくれるフォーマットの総称で、RSSリーダーとはあなたがよく見るブログやニュースサイトなどの更新情報・新着記事をまとめて見られるサービスのことです。つまり、RSSリーダーにお気に入りのブログやニュースサイトのRSSを登録することで、わざわざそのサイトへ見に行かなくても、更新情報や新着情報をチェックすることができるのです。

このRSSリーダーは、かつてブログ全盛の時代にはよく使われていたのですが、TwitterやFacebook、LINEなどの交流を主な目的としたSNSが時代の中心になった現在はあまり使われることがなくなりました。しかし、とても便利なサービスなので現在も使う価値は十分にあると思います。

ニュースダッシュボードとは、このRSSの仕組みを使いダッシュボードのように更新情報や新着記事を読むことができるRSSリーダーの一種です。ダッシュボードのように多くの情報を一覧で見ることができるので、ひとつひとつの記事をゆっくり読むというよりは、ざっと全体を流し見して大きな流れをつかむのに適したツールだと言えます。

さらに、TwitterやFacebook、InstagramなどのSNSで、自分の友達だけでなく関心のある領域のインフルエンサーの人々をフォローするのもお勧めです。自分の興味領域と似ている人や情報を発信している人をフォローしてみましょう。特に自分の近況だけでなく、その領域の情報を定期的に発信しているアカウントはフォローしておくべきでしょう。

こういったデジタル情報サービスを活用して自分の関心のある情報が自動的に入ってくる状況をつくることによって、インプットが飛躍的に楽になってきます。まずは、いろんなサービスに登録して自分にあったサービスを探してみましょう。

お笑いのネタ帳に学ぶすぐメモ活用法

相手に提案するとなると、とたんに硬くなりいつものペースで話せない。テレビで見るお笑い芸人さんのような「トーク力」を身につけたい。そんな気持ちを持ったことはありませんか?

確かにテレビでお笑い芸人さんが話しているのを聞いていると、つい笑ってしまったりいつの間にか話に引き込まれたり、時には感動させたりとすごいトーク力を持っているのに驚かされます。

「聞いてくださいよ、この間こんなことがあって…」「〇〇といえば、こんな話知ってます…」「うちのオカンが…」などと身の回りや家族のことをネタにした面白いエピソードが連発され、さぞ楽しい毎日を送っているのかと思いますが、実際には私たちとそんなに変わらない日常生活の中から面白いネタを「発見」しているからエピソードが生まれるのです。

そして、その発見したネタは「ネタ帳」と呼ばれるメモに書き残して記憶しています。このネタ帳こそが彼らのトーク力の源泉になっているのです。

彼らは日頃ネタ帳を持ち歩き、ちょっとしたことでも面白く話せる可能性のある出来事を探したり、思いついたギャグや単語をネタ帳に記録して、テレビ番組などのトークコーナーでその中から一番面白くなりそうなエピソードを話します。

お笑い芸人は若手の頃から、ネタ帳を常に持ち歩いてネタをしっかりと書き貯めろ、面白いと思ったことをメモしろと言われて育つそうです。そのネタ帳を見返したり小ネタを組み合わせたりしながら、いろんなトークのネタを見つけたり、コントの台本のベースとしたりするのです。あるお笑い芸人さんはトイレにネタ帳を常備しておいて、何かひらめいた時はすぐに書ける体制を整えているなんていうことも聞きます。

そして、こういったネタ帳に記録していくということは若手だけの習慣ではなく、ベテラン芸人さんたちも続けている習慣なのです。どんな大御所になっても日頃から準備を怠らないこと、これが常に第一線で活躍できる人の必要条件なのではないでしょうか。いつも小ネタを集めネタ帳でトークの準備をしているから、どんなフリがあっても軽妙なトークで切り返すことができるのです。

この日常生活から話のネタ(情報)を探してメモして活用するという行為は、提唱しているすぐメモと同じコンセプトなのです。つまり、私たちがすぐメモでいろんな情報をストックしておくことは、トーク力の向上につながるとも言えるのです。

日頃からお客さんやパートナーに話せるビジネスネタを持っていれば、どんなシチュエーションや課題に直面しても「最近こういうテクノロジーがあって…」「〇〇といえば、こんな事例知っていますか…」などと、その場その場に応じたビジネスネタを話すことができます。そうすれば、徐々にトークをすること自体に自信が出てきて、自然とあなたのトーク力も向上していくのです。

すぐメモをネタ帳にして、ビジネストーク力を向上させていきましょう。

あなたは情報の「旬」を見極めることができますか?

これは面白い、いつか使えるかもと思ってストックしているすぐメモはどのタイミングで使えばいいのでしょうか?情報がたまっていくばかりで使わなければもったいないですし、かといって、先取りしすぎた情報を提案するのは難しいですよね。

どの情報にも、このタイミングで使った方がいいという情報の「旬」があります。その情報の旬を見極めて、すぐメモを最大限に活用していきましょう。

「旬」とは、もともと食材が新鮮で美味しく食べられる時期のことを指す言葉です。野菜や魚などが美味しい時期は「いまが旬だ」と表現され、その食材の「食べごろ」を表します。その後何かが「評判になっている」「最新である」といった意味でも使われるようになり、「旬な話題」といった使われ方をするようになりました。

それでは、情報の旬とはどういうことでしょうか。それは情報の「使いごろ」、つまりいつその情報を使えばいいかという時期を指します。

例えば、グルメ情報であれば「今はこのレストランが流行っている」「こんな料理があるんだよ」というのはすぐにでも行って試してみたいですし、新しいテクノロジーやプラットフォームなどのテクノロジーの情報は最先端の人たちが使っている時期ではなくもう少し多くの人が使い始めてから活用した方がよいなど、情報の質によってベストなタイミングが変わってきます。

大事なのは実現を仕掛ける時期を見極めることです。それぞれの情報やそれをもとにしたアイディアには適切なタイミングがあり、多くの情報をインプットしてアウトプットしつづけていると、どういうタイミングで使うべきかという情報の旬がだんだん肌感覚でわかってくるようになるのです。

テクノロジーの世界ではガードナー社が作ったハイプ・サイクルという考え方があります。これは、ある技術が世の中でどう期待されていて使われていくのかを「黎明期・ピーク期・幻滅期・啓蒙活動期・安定期」の5段階で表した図のことです。

図,すぐメモする人がうまくいく
(画像=『すぐメモする人がうまくいく』より)

このハイプ・サイクルによると、まず最初は先進テクノロジーへの期待が盛り上がりピークを迎えるが流行が去ると期待は少なくなっていく、しかしメディアで取り上げられなくなった後も使い方が広がれば生産が安定していく、そんな流れがあることが分かります。現在でいえば、人工知能やブロックチェーンがピークを迎えていると考えられています。この情報のピークの時期か、安定期を狙ってアイディアを実現させるのを狙うとうまく「旬」を捕まえることができるのです。

すぐメモする人がうまくいく
堀宏史(ほり・ひろし)
1993年慶應義塾大学経済学部卒業。大手広告代理店勤務。これまでに広告業界でリアルとデジタルを融合させた新しい広告を実現し、カンヌフェスティバル、アドフェスト、ロンドン広告祭、クリオ、東京インタラクティブアドアワードグランプリ、文化庁メディア芸術祭グランプリ、モバイル広告大賞など受賞歴多数。カンヌフェスティバル等で審査員を務めるとともに、adtech等の国際カンファレンスでスピーカーとしても活躍している。

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