身の引き締まる思いで臨む契約直前の提案。成功に導くためには、相手の興味・関心を引くことが不可欠だ。思わず相手が前のめりになるような提案書の仕掛けとは?今回は、相手の心に響く提案書を作成するヒントについて心理学の観点から解説。新人・新垣理子(22)も登場する。

営業ケーススタディ(5)――話に引き込む仕掛け作り

若手営業パーソンのための「営業心理学」
(画像=autumnn / shutterstock.com、ZUU online)

社会人3年目の若林心一(25)は提案書の作成に苦戦していた。初回営業では怒鳴り散らされたものの、2度目の訪問で社長の心を開くことに成功し、3度目の訪問につながった。「今度こそ契約をとりたい」――。そのためには、気難しい社長の関心を引くためのあと一工夫がほしい。契約につなげる提案書の仕掛けづくりについて、15年目のベテランである先輩・及川圭佑(37)のアドバイスもまじえて解説する。

営業の成否を分ける!響く提案書を作るには?

6月初旬とは思えない猛暑が続いているが、冷房の効いた社内は涼しく快適だ。若林はデスクに資料を広げ、黙々と提案書づくりに取り組んでいた。

初回営業では、こんな提案で問題が解決するかと社長に提案書を投げつけられた。怒鳴り散らされた時は肝を冷やしたが、社長の真剣さが逆に若林の胸に響いた。2度目の営業では社長が打ち明け話をしてくれ、お互いに心が通じ合った感覚を抱いた。

次の3度目の訪問を成功させ、何とか契約をとりたい。そのためには、フォーマット通りの提案書では何かが足りない気がする。

悩む若林に、2カ月の研修を終えて配属されたばかりの新人・新垣理子(22)が声をかけてきた。

「先輩、さっきから何に悩んでるんですか?」