※2019年11月18日更新

投資信託は、多くの人にとって「投資の入門商品」というイメージがあるかもしれない。しかし、日本で販売されている投資信託(ファンド)は6000本以上あり、その中から自分に合った優良な商品を見つけ出すのは簡単ではないだろう。

投資信託を選ぶにあたっては、金融機関のおすすめ商品、専門家の意見、書籍などさまざまな情報を参考にすることができるが、ここでは、いわゆる「投信ブロガー」たちによって構成されたランキングサイトをもとに、上位の投資信託の商品特性を紹介したい。

「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year」とは?

おすすめ,投資信託
(写真=kram9/Shutterstock.com)

「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year」というランキングサイトがある。投資信託に関心のある方はすでにご存じかもしれない。
http://www.fundoftheyear.jp/2018/

このサイトは、一般投資家の目線で投資信託を評価している「投信ブロガー」たちがおすすめの投資信託に投票し、ランキングを公表するというものだ。証券会社やアセットマネジメントが運営する投資信託関連のサイトとは異なり、あくまで個人投資家目線で優良ファンドを選定するという特色を持つ。

2007年に投信ブロガーの一人であるrenny氏により始められたものだが、年を重ねるごとに知名度が増しているランキングだ。昨今は、各種メディアでも取り上げられるようになり、10周年を迎えた2016発表式には金融庁長官からお祝いメッセージが届いたほどだ。

運用会社が「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year」に自社の投資信託がランクインしていることをセールスポイントとする例も多く、業界としても無視できない存在となっている。

19年度のランキングは20年1月に結果発表

19年度もこれまで同様に「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2019」として投票が行われる予定だが、投票期間は、19年11月1日から11月30日までで、20年1月18日の表彰式イベントで結果が発表される予定だ。

19年9月30日までにブログを開設している投信ブロガーが投票権を持ち、同年10月31日までに設定された投資信託(ETFを含む)が投票の対象となる。投票者1人につき5ポイントが与えられ、5ポイントを1つまたはいくつかの投資信託に振り分けて投票できる。

18年度、投信ブロガーたちの評価が高かった投資信託は?

19年11月現在、最新のランキングは「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2018」となる。18年度は有効投票人数241人が投票に参加し、ランキングが公表された。どのような投資信託が選ばれたのだろうか。ランキング上位の投資信託を紹介しよう。

第1位:「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」

2019年1月13日に発表された「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2018」にて最も高い評価を得たのは、三菱UFJ国際投信株式会社が開発した「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」だった。
https://emaxis.jp/fund/252653.html

有効投票者数241人のうち、66人ものブロガーから投票されての1位となった。(獲得ポイントは117)

このファンドは、MSCIコクサイ・インデックスと連動する投資成果を目指すインデックスファンドである。設定日が17年2月と比較的新しい投資信託ではあるものの、設定以来、順調に純資産残高を積み上げ、投資家の間で人気が急速に高まっているファンドだ。

投票した投信ブロガーの選定理由を見ると、先進国株式に投資するファンドの中において、業界最低水準の低コストであることを評価ポイントに挙げているものが目立つ。同ファンドの信託報酬は年率0.10989%以内となっており、圧倒的な低コストを誇るファンドである。そのため、運用期間が長期に及ぶ「つみたてNISA」や「iDeCo」などを活用した資産運用などで、コストを抑えられる効果が期待できる。

第2位:「〈購入・換金手数料なし〉ニッセイ外国株式インデックスファンド」

続いてランクインしたのが、ニッセイアセットマネジメント株式会社が提供する「〈購入・換金手数料なし〉ニッセイ外国株式インデックスファンド」だ。14年から5回連続トップ3に選出されている。
https://www.nam.co.jp/fundinfo/ngkif/main.html

このファンドも、日本を除く主要先進国の株式に投資を行い、MSCIコクサイ・インデックスに連動した運用を目指す投資信託となる。ニッセイアセットマネジメント独自の計量モデルなどに基づく、ポートフォリオの構築に特色を持つ。名称にも含まれているように、購入時手数料・換金時手数料は無料であり、信託報酬も年率0.107892%と低く抑えられている。13年12月の設定以来、順調に純資産を積み上げており、19年10月30日時点で、約1400億円の規模にまで拡大している。

第3位:「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」

第3位は、1位と同じくeMAXIS Slimシリーズからが選ばれている。三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」だ。
https://emaxis.jp/fund/253425.html

このファンドは、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)に連動する投資成果を目指して運用されるインデックスファンドである。投資対象が全世界(日本を含む先進国・新興国)の株式などであることと低コストが同ファンドの特色だ。株式の分散投資を行いたいのであれば、このファンド1本を購入することで、全世界の株式に分散投資が可能となる便利なファンドである。ブロガーからも「これ1本でOK!」や「低コストで世界分散~」というような評価を多数受けてのランクインだ。

第4位:「楽天・全米株式インデックス・ファンド」

第4位にランクインしたのは、楽天投信投資顧問が運用する「楽天・全米株式インデックス・ファンド」だ。
https://www.rakuten-toushin.co.jp/fund/nav/rivue/

このファンドは、「CRSP USトータル・マーケット・インデックス(円換算ベース)」に連動する運用成果を目指すインデックスファンドである。投資対象は米国株式市場の大型株から小型株まで投資可能な銘柄のほぼすべて(約4000銘柄)となっている。米国の株式市場全体を投資対象とするようなファンドは多くない。米国の成長に期待して投資したいのであれば、有力な選択肢となり得るだろう。

第5位:「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」

第5位には、三菱UFJ国際投信のeMAXIS Slimシリーズから、さらに1本がランクインしている。「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」だ。
https://emaxis.jp/fund/252760.html

このファンドは、名称に示されるように8つの資産に12.5%ずつ分散して投資する。国内株式、先進国株式、新興国株式、国内債券、先進国債券、新興国債券、国内リート、先進国リート8つへの分散投資がこのファンド1本で実現できるのが特徴だ。手軽に幅広い資産に分散投資できる点や低コストが評価されており、ブロガーから「投資を1本で済ますならこのファンドでしょう。分散、低コスト、お手軽の三拍子がそろっています」という意見があった。

第6位:「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」

セゾン投信が運用する、株式と債券に半分ずつ投資するファンド。
https://www.saison-am.co.jp/fund/vanguard/

第7位:「バンガード・トータル・ワールドストックETF(VT)」

世界最大級の投信会社、バンガードが運用、世界中の株式に投資できるETF(上場投資信託)。
https://www.vanguardjapan.co.jp/docs/FS_VT_JP.pdf

第8位:「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」

eMAXIS SlimシリーズのS&P500指数に連動する投資成果を目指して運用するファンド。
https://emaxis.jp/fund/253266.html

第9位:「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」

日本を含む全世界の株式市場の動きに連動する投資成果を目指すファンド。
https://www.rakuten-toushin.co.jp/fund/nav/rivge/

第10位:「eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)」

eMAXIS Slimシリーズの日本を除く先進国・新興国の株式に投資するファンド。
https://emaxis.jp/fund/253209.html

「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2018」は20位までランキングされている。本記事では11位以下については割愛するが、気になる人はランキングをのぞいてみるのもよいだろう。いずれの商品もブロガーたちから高い評価を得ている投資信託だ。

19年度のランキングにも注目

「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2019」はどうなるのか、結果発表が楽しみだ。近年は、低コストのインデックスファンドでランキング上位が占められる傾向にある。アクティブファンドが盛り返してくるのかどうかにも注目したい。

「投信ブロガー」は、彼ら自身も個人投資家の一人である。個人の投資家に一番近い感覚を持っているとも言えるだろう。もちろん、他人の意見を鵜呑みにして投資信託の良し悪しを判断すべきではない。だが、投信ブロガーの意見をもとに、自分のリスク・リターンにマッチしたファンドを探すことも選択肢の一つにできるだろう。



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