つみたてNISAで積み立てる商品を変更したくなった場合どうすればいいのか。どのようなケースで商品を変更するのがいいのか、注意点も踏まえて紹介しよう。

つみたてNISAの商品を変更するには積み立ての設定を変えればいい

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(画像=William Potter/Shutterstock.com)

つみたてNISAで商品を変更するには、今までの積み立てを止めて、別の商品の積み立てを開始すれば良い。積み立ての設定変更は、つみたてNISAを利用している金融機関のホームページなどで行うことができる。

商品の変更に合わせて積立金額を変更してもよい。つみたてNISAの年間の非課税投資枠は40万円なので、それに収まるように設定しよう。

つみたてNISAでは商品のスイッチング(預け替え)はできない

つみたてNISAでは商品のスイッチングはできない。スイッチングとは、保有している商品を売却や解約して別の商品を購入し、入れ替えること。つみたてNISAでは、今後積み立てる商品の変更はできるが、これまで積み立てた商品を置き換えることができないのだ。保有している商品を売却してもその年の非課税枠(40万円)が増えるわけではない。非課税枠に空きがなければ、売却した資金で別の商品を購入しても、つみたてNISAの口座に入れることはできない。ちなみに似たような税制優遇制度であるiDeCo(イデコ)ではスイッチングが可能だ。

つみたてNISAで商品を変えても、それ以前に積み立てていた商品をそのまま保有し続ければ、最長20年間の非課税優遇を受けられる。積み立てていた商品を売却すると非課税優遇が終わるため、つみたてNISAで保有している商品の売却は慎重に行いたい。

つみたてNISAで商品や積み立て設定の変更を検討すべき3つのケース

つみたてNISAで積立設定を変更するケースは様々だ。ここでは、「信託報酬が低い商品への変更」と「資産配分の変更」、「保有資産の配分調整」の3つのケースを紹介しよう。

ケース1……信託報酬が低い商品への変更により、将来の評価額が増える可能性がある

保有している商品と似たような商品で、より信託報酬が低いものがあるなら変更を検討してもいいだろう。長期投資では信託報酬のわずかな差が将来のリターンの大きな違いになることがある。

例えば、信託報酬0.5%の商品Aと0.1%の商品Bをそれぞれ20年間保有した場合で比較してみよう。リターンは両方とも5%とする。

商品Aの信託報酬……年0.5%
商品Bの信託報酬……年0.1%
リターン……年5%
積立金額……3万3千円/月(年間39万6千円)
積立期間……20年間

商品Aのリターンから信託報酬を引いたリターンは年4.5%、商品Bのリターンから信託報酬を引いたリターンは年4.9%だ。20年後の積立金額は次のようになる。

商品A(リターン年4.5%)20年後の積立金額……1280万8,104円
商品B(リターン年4.9%)20年後の積立金額……1340万8,599円

信託報酬0.4%の違いが20年間で約60万円の差になった。信託報酬の小さな違いでも商品の変更を検討する価値があることが分かる。

ケース2……人生のステージ変化に伴い資産配分(アセットアロケーション)を変更する

人生のステージが変わるなどして、投資目的が変わった場合は、資産配分(アセットアロケーション)を変更しよう。資産配分(アセットアロケーション)とは、どの資産(株式・債券・不動産など)にどのような割合で投資するかを決めることだ。

資産配分は自分で考えてもよいし、金融機関のシミュレーションを利用してもよい。たとえばSBI証券は、つみたてNISAのシミュレーションを提供しており、目標やライフイベントなどからおすすめの資産配分を提案してくれる。

資産配分が決まったら、その資産に投資する商品を選ぶ。商品の組み合わせと比率をポートフォリオという。金融機関のシミュレーションでは、提案した資産配分に適合するポートフォリオを選んでくれる。これを元に、つみたてNISAの積立設定を変更することで資産配分を見直そう。

ケース3……保有資産の配分調整(リバランス)によって投資リスクを調整する

投資信託を取引する金額(基準価額)は日々変化している。基準価額の変動により、保有している商品の評価額比率とポートフォリオ比率に差が生まれることがある。その差を正すための配分調整をリバランスという。

リバランスは必ず行わなければいけないわけではない。しかし、保有している商品の評価額比率とポートフォリオ比率に差があると、計画した資産配分よりも投資のリスクが高くなったり低くなったりすることがある。リバランスによる調整を行えばポートフォリオを安定させることができるのだ。

商品Aと商品Bに月1万円ずつ積み立てる場合を考えてみよう。ポートフォリオは50%対50%と均等になる。

商品A:商品B=月1万円:月1万円=50:50

積み立てから1年が経ち、積み立てた金額は両方の商品ともに12万円だが、基準価額の変動により商品Aは9.6万円、商品Bは14.4万円の評価額になったとする。この時、保有資産の比率は40%対60%になる。

商品A:商品B=評価額9.6万円:評価額14.4万円=40:60

つみたてNISAはスイッチング(預け替え)ができないため、積み立て設定を変更して徐々に保有資産の比率を調整していくのが一般的だ。

たとえば、月の積立金額の比率を次のように60%と40%にする。

商品A:商品B=60:40=月1.2万円:月0.8万円

このポートフォリオで1年間積み立てると、2年目の積立金額は次のようになる。

商品A:商品B=1.2万円x12ヶ月:0.8万円x12ヶ月=14.4万円:9.6万円

仮に2年目に商品Aと商品B両方の基準価額に変化がなかったとすると、1年目と2年目の保有資産を合計すると両方とも24万円になり、保有資産の比率が均等に戻る。

リバランスが手間に感じるなら、バランスファンドを選択するのがいいだろう。バランスファンドは自動的に投資先のバランスを取るためリバランスの手間が省ける。

1年に1回はつみたてNISAの商品や積み立て設定の変更を検討したい

つみたてNISAを始めれば、あとは何もしなくていいわけではない。紹介したように、信託報酬や資産配分、保有資産比率などを見直すことで、将来の資産形成に大きな差が生まれることがある。頻繁に見直す必要はないが、1年に1回くらいはつみたてNISAの見直しをしてみよう。

文・松本雄一(ビジネス・金融アドバイザー)/MONEY TIMES

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