結果の概要:着工件数、許可件数ともに市場予想を上回る結果
6月18日、米国センサス局は5月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は126.9万件(前月改定値:128.1万件)と、123.5万件から大幅上方修正された前月値を下回ったが、市場予想の123.9万件(Bloomberg集計の中央値)は上回った(図表1、図表3)。
住宅着工許可件数(季節調整済、年率)は129.4万件(前月改定値:129.0万件)と、こちらは129.6万件から下方修正された前月値、市場予想の129.2万件を上回った(図表2、図表5)。
結果の評価:戸建ての許可件数(前月比)が6ヵ月ぶりに増加し、回復の兆し
住宅着工件数の伸びは、前月比▲0.9%(前月:+6.8%)と前月が大幅に上方修正されたこともあって、3ヵ月ぶりにマイナスに転じた(図表3)。集合住宅が+10.9%(前月:+10.7%)と2ヵ月連続で2桁の増加となったのとは対照的に、戸建てが▲6.4%(前月:+5.2%)と3ヵ月ぶりにマイナスに転じたことが大きい。
一方、前年同月比では▲4.7%(前月:+1.1%)と7ヵ月ぶりにプラスとなった前月から再びマイナスに転じた。こちらも集合住宅が+13.7%(前月:+8.0%)と2桁の伸びとなった一方、戸建てが▲12.5%(前月:▲1.8%)と4ヵ月連続のマイナスとなるなど、戸建ての低調が続いている。
地域別寄与度(前月比)は、南部こそ+5.5%ポイント(前月:▲1.8%ポイント)とプラスとなったものの、その他の地域では北東部▲4.8%ポイント(前月+4.3%ポイント)、中西部▲1.1%ポイント(前月:+3.5%ポイント)、西部▲0.6%ポイント(前月:+0.9%ポイント)と全ての地域でマイナスとなった。
先行指標である住宅着工許可件数は、前月比+0.3%(前月:+0.2%)と小幅ながら2ヵ月連続でプラスとなった(図表5)。集合住宅が▲5.0%(前月:+6.8%)とマイナスに転じた一方、戸建てが+3.7%(前月:▲3.7%)と6ヵ月ぶりに漸くプラスに転じ、回復の兆しを示した(図表6)。
前年同月比は▲0.5%(前月:▲5.4%)と5ヵ月連続のマイナスとなった。集合住宅が+4.6%(前月:+0.6%)と2ヵ月連続でプラスとなった一方、戸建てが▲3.3%(前月:▲8.9%)とマイナス幅は縮小したものの、8ヵ月連続のマイナスとなった。
一方、全米建設業協会(NAHB)による戸建て新築住宅販売のセンチメントを示す住宅市場指数は、6月が64(前月:66)と前月から▲2ポイント低下した(図表7)。
販売現況が71(前月:72)、販売見込みが70(前月:72)、客足状況も48(前月:49)といずれも前月から悪化した。
住宅市場指数は年末に急落したものの、住宅ローン金利の低下もあって回復がみられていた。6月は回復が一服したものの、前月からの低下幅は限定的と言えよう。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
窪谷浩(くぼたに ひろし)
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 主任研究員
【関連記事 ニッセイ基礎研究所より】
・米国経済の見通し-トランプ大統領のチキンレースに付き合わされる米国経済
・【5月米雇用統計】雇用者数は僅か前月比+7.5万人と市場予想(+17.5万人)を下回ったほか、賃金も伸びが鈍化
・【4月米個人所得・消費支出】個人所得(前月比)は+0.5%、消費支出+0.3%と共に堅調な伸び、市場予想も上回る結果