要旨
- 中国経済は昨年来の減速に歯止めが掛かった。19年1-3月期の経済成長率は実質で前年比6.4%増と前四半期(同6.4%増)と同率に留まり、1年ぶりに横ばいとなった。18年には債務圧縮(デレバレッジ)と米中対立により経済成長の勢いは鈍化したが、19年に入り景気対策が効果を発揮し始めたため、減速に歯止めが掛かった。但し、5月に米中貿易協議が暗礁に乗り上げ、先行き不透明感が強まったため、中国経済は再び減速する恐れがでてきた。
- 景気10指標を点検すると、需要面では、消費と輸出は減速したあと底ばい状態にあり、投資に関しては製造業では前年割れに落ち込むなど失速状態だが、インフラ投資などの底支えにより全体の失速を免れている。供給面をみると、製造業では失速の恐れが依然くすぶるものの、非製造業は堅調を維持している。金融面をみると、社会融資総量が緩やかに伸びを高めており、今後は金融面から実体経済を支援して、景気をテコ入れする可能性もある。
- 「景気インデックス」(工業生産、サービス業生産、製造業PMIの3つを合成加工したもので、月次の景気指標の動きを成長率に換算するとどの程度かを表示)の推移をみると、18年3月(6.80%)を直近ピークに減速し始め、18年10月に6.4%まで低下した後は横ばいで低迷することとなった。景気対策を背景に19年3月には一時6.56%まで上昇したものの長続きせず、5月には6.30%と18年11月の6.39%を下回り、再び減速し始めている(下図)。