「サブスクリプションサービス」がブームと言えるほど多くのサービスが台頭しています。サブスクリプションサービスとは、いわゆる定額サービスのことを指します。日本でも、トヨタ自動車やパナソニックなどの日本を代表する大企業がサブスクリプションに参入しています。サブスクリプションモデルは、継続的な収入を確保できる上に、顧客の囲い込みもできるという大きなメリットがあります。このサブスクリプションモデルをいち早く始めたアマゾンの動向と、アマゾンが目指す未来について解説します。
大手企業も続々参入、高まるサブスクリプション熱
象徴的なのが、日本の大手企業がこぞって参入しているという事実です。たとえば、トヨタ自動車は「KINTO」という毎月月額で車を利活用できるサービスを開始、パナソニックは「安心バリュープラン」という最新家電を月額制で利用できるサービスを始めました。他にも、三菱商事やソニーなど、日本を代表する企業がサブスクリプションサービスに参入しています。
動画サービスから始まったサブスクリプションは、今や車や高級時計にまで
サブスクリプションサービスが注目され始めたのは、動画サービスがきっかけでした。2007年頃に、ネットフリックスが、それまでのオンラインDVDレンタルサービスから、動画のストリーミングサービスに舵を切ったことや、アマゾンが定額制ビデオサービスを立ち上げ、プライム会員に動画見放題のサービスの提供を始めたことで、サブスクリプションサービスに火がついたと言われています。
今や、サブスクリプションサービスはあらゆるものに広がっています。先ほど紹介した車や家電のサービスもそうですし、フランス料理や高級時計のサブスクリプションサービスなど、今まで考えられなかったサービスがサブスクリプションとして登場してきているのです。
今後、サブスクリプションが世界を支配する?
このように、今、サブスクリプションは1つのブームを迎えていますが、これは単なる序章にすぎないかもしれません。今後さらにサブスクリプションが進行していく可能性があります。
その裏付けとなるのが、シェアリング文化の発達とモノのデジタル化です。最近のミレニアル世代は、かつての世代に比べて、シェアリングをすることに対して抵抗がないそうです。SNSで共有することを前提に育った彼らは、シェアという環境に慣れ親しんでいるのかもしれません。
また、モノのデジタル化により、物理的に所有する必要が薄れてきたという側面もあります。例えば、ゲームや音楽などはネット配信が普通になりました。また、IoT化が進み、今やリモコンや鍵は実物ではなく、スマートフォンで代用できるようになりつつあります。こういったシェアリング文化の発達という「心理的側面」と、モノのデジタル化という「物理的側面」がサブスクリプション化が進む背景となっているのです。この傾向は、今後も変わらず続いていくでしょう。
アマゾンは世界を「サブスクリプション」で支配するのか
そうなると、注目すべき企業はやはりアマゾンです。彼らは「Amazon Instant Video(現在:Prime Video)」という名称で、いち早くサブスクリプションサービスを始めました。また、日本でも試着し放題の「Prime Wardrobe(プライム・ワードローブ)」をローンチするなど、アマゾンプライム加入のメリットを強化しています。しかも月額で500円(税込)と他と比べても格安です。また、アレクサ搭載家電を増やしたり、スマートキーの会社を買収したりするなど、IoTの面でも最先端を走っています。
彼らがプライム会員化に注力するのは、サブスクリプションサービスの浸透が背景にあるのではないでしょうか。たとえば、これまで、販売していた家電などを、サブスクリプションにする(しかもアレクサを搭載して!)ということはあり得ない話ではないでしょう。
不在時でも家の中に荷物を届けてくれるサービスの「Key by Amazon(旧名:Amazon Key)」を使って、家そのものをサブスクリプションサービスにしてしまう可能性もありますし、もっと言えば、無人コンビニサービスの「Amazon Go」などを組み合わせて、その地域に住むこと自体をサブスクリプションにしてしまうかもしれません。アマゾンのプライム戦略は、こうしたサブスクリプション化のための第一歩とも言えます。
さらに近い将来、AIにより人間の可処分時間が増えると言われています。その有り余る時間を動画視聴で費やす人が多くなりそうな気がしませんか?休日に何となくテレビを点けっぱなしにしてダラダラ過ごしてしまったことなどは多くの人が経験済みでしょう。アマゾンは、プライムとアレクサを活用して、何でもポチッとストレスなく過ごせてしまう未来を万人へ提供しようとしているのかもしれません。
サブスクリプション化する世界の覇者は誰か
このようにサブスクリプション化の流れは、今まさに始まったばかりと言えるでしょう。そして、その覇権争いも、始まったばかりと言えます。次世代のサブスクリプションを制するのは誰か、今後も注目が高まります。(提供:J.Score Style)
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