「住まい」に関するイノベーションが起きようとしています。一つの場所にとらわれず、日本全国、さらには世界中で住み放題だというサービスをスタートアップ企業が続々発表しています。一体どんなサービスで、どのようなビジネスモデルなのでしょうか。
定額制で全国どこでも住み放題の「ADDress」とは
「定額制で全国どこでも住み放題」というキャッチフレーズで、2019年4月に正式に「ADDress」というサービスを開始したのが、株式会社アドレス(設立:2018年11月)という東京のスタートアップ企業です。報道発表によれば、住み放題となる場所をまず全国に13拠点設けてスタートし、2019年内には100拠点の追加を予定しているとのことです。
年間会員の場合、光熱費込みで月額4万円から利用することができます。同じ拠点の連続予約は、最大1週間、一度に予約できる日数は最大14日分という縛りがあり、2ヵ月先の予約はできないようになっています。つまり、「気に入った場所だからずっと住み続ける」ことが可能かどうかは保証されているわけではありません。
同社のビジネスモデルは、物件の所有者や不動産投資を行っている人から別荘や空き家の貸し出しなどを受け、同社が抱える全国各地の空き室をプラットフォーム上でユーザーに貸し出すモデルといえそうです。近年では、民泊の流行などに代表されるように遊休スペースの活用が盛んで、こうした時流にも乗って誕生したサービスであるといえるでしょう。
定額制の住居サービス「HafH(ハフ)」とは
さらにスケールの大きい類似するサービスを手掛けている企業もあります。長崎県にあるスタートアップ企業の株式会社KabuK Style(設立:2018年2月)です。同社は2019年3月、定額制の住居サービス「HafH(ハフ)」の予約受付を開始しました。当初の利用可能拠点は、日本国内では46拠点、海外ではベトナムやマレーシア、フィリピン、台湾など6ヵ国7拠点と発表されています。
1ヵ月の利用可能日数によって会員種別が異なり、例えば利用可能日数が10日間のプランだと月額3万2,000円、30日間のプランだと月額8万2,000円からと紹介されています。HafHの利用可能拠点には、ゲストハウスなどの宿泊施設の名前が主に連なっており、各施設が抱える空き室をHafHがプラットフォーム化してユーザーに販売している形態であるといえるでしょう。
コワーキングスペースの利用と組み合わせたプランも提供しており、「世界を旅して働く」というキャッチフレーズを使って、ユーザー獲得のPRを行っています。
ともにクラウドファンディングで大きな支持
ADDressもHafHも予約条件などの一定ルール下における、サブスク型の住み放題サービスといえます。最近では、日本でもすっかり市民権を得た「コワーキング(co-working)」のように、「コリビング(co-living)」という言葉も、徐々に広がり始めているようです。住み放題というワードを使わず、「泊まり放題」という形でサービスの提供をスタートしているベンチャーもあります。
また、両サービスともにいずれもクラウドファンディング(CF)で資金調達を成功させていることも特筆すべきことでしょう。ADDressは1,266万1,000円(目標額200万円)、HafHは1,078万9,331円(目標額200万円)を集めており、目標額を大きく上回る資金を調達できたことは世間の注目の表れともいえます。
とはいえ、「住まい」における放題系サービスは展開が始まったばかりです。新しいライフスタイルを提案するこのサービスが、今後どのような展開になっていくのか注目して見ていきたいところです。(提供:J.Score Style)
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