少子高齢化や昇給の頭打ちなどの社会情勢を背景に、安定した収入を期待して不動産投資にチャレンジする人が増えています。ただし、いいことだけがあるわけではありません。特に、税金面ではさまざまなリスクを事前に考慮しておくことが必要です。

節税効果の高い不動産投資にはリスクも

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(画像=Sensay/Shutterstock.com)

不動産投資をすると、安定的な収入が得られるだけでなく、節税効果が期待できます。ここでいう節税効果とは、「税務上赤字で節税ができる」ということです。

不動産投資による収益は不動産所得に該当します。不動産所得・事業所得・山林所得については、損失が発生した場合、給与所得や配当所得、一時所得など他の所得と損益通算をし、納めるべき所得税を小さくする効果があります。

ただし、これは不動産投資における税金の一面に過ぎません。場合によっては、投資家にとって不都合な状況が生じることがあります。

不動産投資に伴う所得税リスク

不動産投資を行う場合、最初に意識したいのが所得税リスクです。主に、次のような点を念頭においておきましょう。

減価償却の節税効果は期間限定

不動産投資をするということは、賃貸物件を購入するということです。賃貸物件の経年劣化部分を減価償却費として必要経費に算入することになります。「減価償却はキャッシュが出ていかないのに、経費計上できるおいしい経費」とも言われ、課税対象額を減らす効果があります。

しかし、減価償却はおいしい面だけではありません。なぜかというと、減価償却は永遠に可能なわけではなく、耐用年数に応じた期限があるからです。期限を迎えたら減価償却はできません。結果、節税効果はなくなります。

黒字になったら一気に増税

当然ですが、黒字になった場合、納めるべき税金が増えます。日本の所得税は累進課税制度を採用しており、課税対象となる所得額によって次のような税率が適用されます

【課税される所得金額】   【適用税率】
195万円以下           5%(控除額0円)
195万円超330万円以下     10%(控除額97,500円)
330万円超695万円以下     20%(控除額427,500円)
695万円超900万円以下     23%(控除額636,000円)
900万円超1800万円以下     33%(控除額1,536,000円)
1800万円超4000万円以下    40%(控除額2,796,000円)
4000万円超           45%(控除額4,796,000円)

元々課税される所得金額が850万円だった人が、不動産投資を開始して課税される所得金額がプラス200万円になったケースを考えてみましょう。この人の場合、不動産の収益を得たことにより、適用される税率は23%から33%になります。結果、所得税額が131万円前後から193万円前後に増加します。

この他、所得税の申告内容は住民税、国民健康保険税や保育料にも影響します。住民税の所得割(税率10%)が20万円増加するだけでなく他の公的負担も増加することを合わせて考えると、年間の公的負担が合計でプラス100万円以上になる可能性があります。収入が増えても税金等で消えてしまうかもしれません。

青色事業専従者が常にOKとなるわけではない

また、不動産投資を行う方の多くは節税メリットの大きい青色申告を検討します。青色申告のメリットの一つ「家族を青色事業専従者とし、払った給料を必要経費にできる」を期待し、家族を青色事業専従者とする投資家も多いのですが、状況によっては「この家族は青色事業専従者の要件を満たしていない」と言われる可能性があります。

青色事業専従者は家族なら誰でもOKではなく、15歳以上という年齢制限や他の仕事をしていないという要件も満たさなくてはなりません。また、これらの要件を満たしていたとしても、家族の事業従事の程度が僅少な場合、「専従の程度が弱い」として否認される可能性があります。

不動産投資に伴う相続税リスク

不動産投資の税務リスクは所得税だけではなく、相続税・贈与税にもあります。

入居者がいなければ評価額が上がる

不動産投資の賃貸物件は、「借家権割合」が加味されるため、相続税での評価額は低くなる傾向にあります。ただし、それは入居者がいる場合です。入居者がおらず、空室状況が続くようであれば、借家権割合が下がるため、評価額が上がる可能性があります。少子高齢化が必至である今後は注意しておきたいリスクです。

相続開始時の評価が購入時を上回ることも

相続税や贈与税の計算の際、財産評価の指標として用いられる路線価は、公示地価の8割程度を目安に国税局や税務署が算出しています。路線価は実勢価格と連動しているため、相続時の路線価が購入時の時価を上回っている可能性は十分にあります。つまり、「安いから」を理由に賃貸物件を買うと、後々値上がりして相続税負担に苦しむ可能性があるのです。

「路線価での評価額は実勢価格の8割程度だから安くなるはず」という言葉に惑わされると、「時価と連動している路線価は高くなる可能性がある」という事実をうっかり忘れてしまう可能性があります。

税金面以外でも「予想以上に管理費などにコストがかかる」といったデメリットがあります。投資を行うなら、メリット・デメリットの両方を検討するようにしましょう。(提供:YANUSY

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