起業から黒字転換するまでの期間をデスバレー(死の谷)と呼ぶ。最初の数年は、ベンチャー企業が製品・サービス開発を進めながら事業化する段階。資金が不足して企業として成り立たなくなることから、このステージで撤退する企業が多いのだ。一説には、約9割もの企業がこのステージで撤退するといわれる。そのため創業期最大の苦労は資金調達といっても過言ではない。今回は、「死の谷」を乗り切るための資金調達のあれこれを見ていこう。

創業期によく利用される資金調達手段

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(画像=REDPIXEL.PL/Shutterstock.com)

財務省の資料によると、創業前後の主な苦労は、販路開拓、資金繰り、財務知識など。「資金繰り・資金調達」については、47.0%の企業が苦労したと回答している。
創業期によく利用される資金調達手段は以下で、それぞれ特徴がある。

・公的金融機関

政府が100%出資する日本政策金融公庫は、小口融資や創業支援を経営目標としている。創業支援を経営目的とする企業のため、創業まもない企業への融資にも積極的だ。

日本政策金融公庫には、新創業融資制度という融資制度がある。これは、新たに事業を始める人向けに、無担保無保証人で3,000万円(うち運転資金1,500万円)まで貸し付ける制度だ。無担保無保証人ということは、仮にビジネスに失敗しても創業者が個人で返済する必要がないということで、これから事業を始めようという人にはありがたい制度だろう。

このほか、女性や若者、シニア向けの融資制度などもあるので、該当者は積極活用すべきだ。

・民間金融機関

銀行など民間の金融機関は基本的に信用を重視するため、創業まもない企業に対する融資には冷淡だと考えたほうがよいだろう。

民間金融機関からの融資には、「保証付融資」と「プロパー融資」がある。前者は、金融機関との取引が浅い中小企業・小規模事業者に対し、信用保証協会の保証を求めるものだ。創業間もない企業が民間金融機関から融資を受ける場合は、こちらになる可能性が高い。一方、信用保証協会の保証が付かない融資を「プロパー融資」と呼ぶ。

なお、金融機関の中でも地元密着の信用金庫や地銀は比較的融資のハードルが低く、都市銀行はほぼ大手企業のみとの付き合いになる。昨今は、日本政策金融公庫と連携して、創業期の資金調達支援に取り組む地銀もある。

・補助金・助成金

「創業・事業承継補助金」は、新たに創業する人や事業承継した人向けの補助金だ。最大で200万円の補助金が支給されるが、応募期間が短い上、要件が複雑で認定支援機関の支援を受ける必要もあるので、早めに準備したい。

・友人・知人からの援助

親や親類、友人、知人から援助を求めるケースもある。ただ、こうした身の回りの人から十分な支援を引き出せるケースはごくまれだ。その後の人間関係も加味して、慎重に資金援助は依頼すべきだろう。

・個人投資家やベンチャーファンド

事業ビジョンが魅力的であれば、成功した起業家や富裕層などエンジェルと呼ばれる個人投資家から支援を受けることも可能だ。また、将来性の高い未上場企業に投資する投資会社(投資ファンド)であるベンチャーファンド(VC)から資金を調達できることもある。

・クラウドファンディング

昨今増えているのが、インターネット上で不特定多数から資金を募るクラウドファンディングだ。よほど事業ビジョンや商品・サービスが魅力的でないとまとまった資金調達は難しいが、チャレンジしてみてもよいだろう。

事業計画とある程度の自己資金の準備は必須

ここまで創業期の企業にとってメジャーな資金調達手段を紹介したが、もっとも現実的なのは、公的金融機関の利用か民間金融機関からの保証付融資だろう。

資金調達は、創業期の経営者にまず立ちはだかる課題だ。いずれの手段においても、きちんとした事業計画書と、ある程度の自己資金の準備が必要だ。事業計画書が準備されており、資金繰り計画をきちんと説明できれば、融資獲得の可能性は飛躍的に向上する。「死の谷」を乗り切るためにも、こうした準備はぬかりなく行うべきだろう。(提供:百計ONLINE


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