東京を中心に、続々と大規模な再開発が行われています。これからの時代、不動産の国家資格は就職の強い武器になるでしょう。不動産を購入する際も、その知識は役に立つはずです。不動産系の国家資格には、どのようなものがあるのでしょうか。

社会インフラで需要が高まる不動産資格

不動産,国家資格
(写真=Preechar Bowonkitwanchai/Shutterstock.com)

日本は今、社会インフラの需要が高まっています。社会インフラには、「東京五輪」や「大阪万博」などのイベントに際しての周辺整備と、老朽化した道路や橋梁、建物などを修繕または再開発する施設インフラがあります。

再開発をあてこんで、該当地域には新たなマンションやビルの建設ラッシュが続くことになります。そこで必要とされるのが、不動産系の国家資格所有者です。主な不動産関係の国家資格には、以下のようなものがあります。

・宅地建物取引士
・不動産鑑定士
・土地家屋調査士
・マンション管理士

不動産系資格の王道、宅建とはどんな資格?

不動産系の国家資格で最も受験者が多いのは宅建(宅地建物取引士)で、2018年度の受験者数は21万人を超えています。いわば不動産国家資格の王道ですが、宅建とはいったいどのような資格なのでしょうか。

宅地建物取引士(宅建士)は、不動産の売買や賃借に関して現地の状況や権利関係を調査し、取引相手に説明した上で契約を締結するまでの一連の業務を行います。

宅建士には、重要事項説明書と契約書への記名・捺印という独占業務があります。したがって、資格者がいなければ不動産取引の契約ができないため、宅地建物取引業者(不動産販売会社)の営業所にいる従業員の5人につき1人以上の宅建士を置くことが法律で定められています。

不動産鑑定士もよく耳にする資格です。不動産鑑定士は各種条件を考慮し、不動産の有効活用方法や適正価格を判断する専門家です。また、不動産のコンサルティング業務も行います。

超難関の2資格とは

不動産国家資格の中でも特に難関と言われているのが、土地家屋調査士とマンション管理士です。

土地家屋調査士とは、建物を新築した時などに面積を測量し、構造や用途と併せて法務局に「表題登記」の申請業務を行う専門家です。土地家屋調査士は測量と登記をすることで土地の境界を確定させる「筆界特定」を独占業務として行うことのできる唯一の資格です。

マンション管理士は、マンション管理組合の運営・相談、大規模修繕の計画立案、住民との権利関係の調整などを業務とするマンション管理のスペシャリストです。

司法書士と税理士の違いを知ろう

インターネット広告でよく見かける資格に、「弁護士」「司法書士」「税理士」などがあります。弁護士はよく知られていますが、税理士と司法書士の違いがわからない人もいるかもしれません。

税理士は税金の専門家で、相続の税務申告の代理権を持っています。不動産を相続する場合は、税理士に相談する必要があります。

司法書士の業務は不動産登記や商業・法人登記など、登記手続きについて本人を代理して行う仕事を中心に業務を行っています。例えば、相続で不動産の所有権が移転する場合、司法書士に相談するのが一般的です。

多くの不動産会社には提携する税理士(または顧問税理士)と司法書士が置かれています。不動産を購入する際は、両者の専門分野に応じた相談をすることで、スムーズに手続きを進めることができます。

不動産国家資格の合格率はどれくらい?

最後に、不動産国家資格の合格率を確認しておきましょう(2018年度の数字)。

●宅地建物取引士

受験者数 21万3,993人
合格者数 3万3,360人
合格率 15.6%

●不動産鑑定士

受験者数 789人
合格者数 117人
合格率 14.8%

●土地家屋調査士

受験者数 4,380人
合格者数 418人
合格率 9.5%

●マンション管理士

受験者数 1万2,389人
合格者数 975人
合格率 7.9%

宅建の合格率は前年度も同じ15.6%なので、年度によるレベルの差はありません。不動産鑑定士の合格率も15%程度ですが、土地家屋調査士やマンション管理士にいたっては10%以下という狭き門です。いかに不動産系国家資格の難易度が高いか、おわかりいただけるでしょう。

不動産業界は顧客に良質な住宅を供給するだけでなく、街づくりやインフラ整備など社会の根幹に関わる重要なセクターでもあります。難関を突破し不動産国家資格を取得した専門家たちが、各々の使命を担って活躍しています。(提供:相続MEMO

【オススメ記事 相続MEMO】
必ずしも相続する必要はない。相続放棄とは?
相続税。遺産を相続できるのはどんな人?どんな割合?
相続税対策としての贈与を上手に活用しよう
相続対策にも有効!等価交換のメリットとは
遺言書があったらどうなる??その効力と扱い時の注意とは