(本記事は、金村秀一氏の著書『生産性が3倍になる!右肩上がりの会社が必ずやっている現場ルール』=自由国民社出版、2019年3月30日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

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バカは最強の武器

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(画像=VGstockstudio/Shutterstock.com)

会食など、多くの人たちとお会いするとき、「この人はなかなか手強いな」と思うタイプの方がいます。それは、自分の弱い部分を臆さず相手にさらすことができる人です。会話の中で、さらりと「それ、知らないなあ」とか「僕はできなくてね」と言い、「どうしたらいいでしょうね? 教えてもらえますか」と、相手から巧みに情報を引き出します。

素直さというのは「バカになれること」とも言い換えられるでしょう。

バカは怖い。バカは強い。
そして、バカこそ最強の武器。

これは私の実感です。

もちろん、バカというのは、おおいなる誉め言葉です。

人間は上の立場になればなるほど、どうしてもプライドが先に立つようになります。上に立つ者として、かっこよくなければいけない、という思いが強くなるのです。その結果、「知らないなどとは、恥ずかしくて言えない」「自分が失敗したなんて、とても認められないし、口外できない」と考えがちです。常に自分をよく見せようとし、弱い面やマイナスになりそうな面は極力隠そうとするでしょう。誤りを認めて謝罪することを拒み、逆に自分の知っていることを誇示したくなりがちです。

本当にすごい人は、たとえ部下を何百人も率いる大企業の社長であっても、部下に教えを乞うことができます。ある方に「どうして部下の人たちに対してもそのような態度が取れるのですか?」と聞いたところ、次のようにおっしゃいました。

「もしかするとその中から、自分の知らない話が飛び出すことがあるでしょう。たとえ、10分の9がすでに知っている話だったとしても、10分の1がはじめて聞く話だったなら、それはラッキーだよね。もし、自分の知っている話に終始したとしても、『ああ、なるほど』で終わればいいだけのこと。人が気持ちよく話してくれているのだから、それでいいじゃない」

つまり、10分の1の新しい情報を得ることに重きを置いているのです。ある意味貪欲に情報を取りに行っているとも言えるでしょう。

変なところでプライドを持ってしまうと、「あ、その話知ってる」と、つい自分の知識をひけらかし、話の腰を折ってしまいがちです。その結果、黙っていたら手に入るはずの情報をふいにしてしまう場合もあるでしょう。逃した情報が、実は今後の運命を揺るがすような重要なものだった可能性だってあるはずです。

バカになれる人は情報を取りこぼすことがありません。

私も、社長同士の集まりなどに出席すると、「甘えちゃう大作戦」でいろいろと教えを乞うことにしています。今は私は年が下のほうで、年長者に甘える形ですが、年を経て、私が年長者になったとき、年下の人を相手に同じことができるかどうかが、今後の課題でもあります。

それから、バカになれる人は、どんな場でもきちんと頭を下げて謝ることができます。謝ることで何か搾取されるわけではありませんしね。

私もプライドを捨て、社員の前で思いきり頭を下げて謝ったことがあります。13年前、会社の経営方針を180度転換することを決意したときのことです。「申し訳ない! 会社の方針をびっくりするくらい変えるけれど、どうかついてきてほしい」と、これまでの方針が間違っていたことを認め、それを謝罪したうえで、懇願したのです。

あのとき、しっかり謝って大きく舵を切ることができたからこそ、今の会社があるのだと思います。もしプライドが邪魔をして、これまでの間違いを認め、社員に謝ることができなかったら……とっくのとうに会社はつぶれていたでしょう。

間違いに気づいたとき、すぐにそれを認めて謝ることができる人、素直に「それ、知らないなあ」と言える人に出会うと、相手が年下なら「ああ、この人は今後ぐんぐん伸びる人だな」と思いますし、年上なら、「ああ、手強い人だな」と感じます。さらに人を笑わせるようなバカをやられると、「とても勝てないな。この人とは絶対に戦わない」と心に決めています。

それぐらいバカは最強なのです。

他からひとつ抜きん出る存在になるには

右肩上がりでい続けるためには、ほかよりも頭ひとつ抜きん出た存在になる必要もあります。そのための決め手となるのが「時間の使い方」です。

1日の時間は、万人に同じく24時間です。他人と同じ時間の使い方をしていては、いつまで経っても差がつきません。

そこで、私は「他人の3倍やる」ことを心がけています。

これは、「ランチェスター時間の法則」に基づくものです。

ランチェスター時間の法則では、「他人の3倍働けば、たいがい勝てる」と定義されています。8時間労働で1時間休憩すると7時間。法則に則って計算すると、7×ルート3で12時間。毎日12時間働き続ければ、7時間労働の人の3倍働いたことになります。

では、プラスの5時間はどこから捻出すればいいでしょうか? 

まず、朝の時間です。「早起きは3文の得」ということわざもあり、早起きを推奨している方も多いですが、やはり朝の時間は貴重です。私は日の出とともに起きます。電話の打ち合わせなら朝6時から8時までが一番都合がいいです。

昼食はとらずに18時まで仕事します。これで13時間です。

あとは、普段の行動を時間短縮することで、時間をつくっています。日頃の行動で特に重要視しているのが、「歩く速さ」です。なるべく速く歩くことで移動時間も短縮できます。これが実は一番生産性が上がります。実際、「年収が高い人ほど歩行速度が速い」というデータもあるようですが、これは生産性が高いからと言えるのではないでしょうか。

私は相当歩くのが速いようで、社員と一緒に歩いていても、いつの間にかひとりになっていることもしばしばです。しばらくすると社員から「社長、今どこですか? 見失ってしまって……。場所がわかりません」と電話がかかってきます。それだけ、移動時間を短縮しているということですね。「速さは価値」だと思っています。

パソコンでは、特にタイピングの速度を上げることに注力しました。これが早いだけで仕事をこなすスピードは格段に上がります。そのほか、ほかの人が3クリックでいくところを1クリックで終えることを心がけています。スマートフォン(スマホ)やパソコンのソフトなども自分を最適化できる最新アプリを常に取り入れるようにしています。

日本電産の永守社長は「早く弁当を食べられる人のほうが仕事ができる」と言ったそうですが、特に男性は早食いができるほうがいいでしょう。欲を言えば、時と場合に応じて食べ方の速度を調節できるのが最高ではないでしょうか。相手がゆっくり食事をしている場合には、それに合わせられる男性はスマートですよね。

いつも速いギアを時に遅くするのは、エンジンに負荷がかかりません。けれど、いつも遅いギアを突然速くするのは、かなりエンジンに負荷がかかります。

人間もこれと同じことです。いつでも速くできる状態をつくっておき、時と場合に応じて遅くも調整できるのがいいでしょう。

仕事は早いほうが「質」も高い

先に「速さは価値」だというお話をしましたが、仕事のおいて「速い仕事は雑な場合も多いのでは?」と思われるかもしれません。しかし、そのようなことはありません。

「仕事も速い=質が高い」だと私は思います。

「2:6:2の法則」と言われる法則があります。「働きアリの法則」とも呼ばれますが、どの組織も2割の働き者と2割の怠け者、6割のその他で構成されていると言われています。

上位2割の働き者はずば抜けて能力が優れている、というわけではありません。ただ、仕事が速いのです。

仕事が速いとなぜその質も高まるのでしょうか。それは、何度もほかの目にさらされ、推敲する時間が与えられるからです。

部下が「完璧です!」と自信満々に持ってきたものは、残念ながらたいていの場合完璧ではありません。「部下の100%は、上司の50%」くらいのものです。でも、修正を重ねることで、その質を上げることは可能です。

たとえば、AさんとBさんに対して、「1週間後にコンペがあるから、それまでに書類を提出して」と指示しました。

Aさんは2日後に、Bさんは1週間後に書類を提出しました。

Aさんの場合、コンペまでにはまだ時間がありますから、マネージャーが書類をチェックして、「ここは弱いから、こうしたほうがいい」とアドバイスをすることができます。2日後に、Aさんは修正版をまたマネージャーに提出します。再度チェックしてもらい修正を加えて、1週間後に3度目の修正版を提出することができます。

一方、1週間後に提出したBさんは、1度もマネージャーのチェックを受けていません。いわば、「初見」の書類を見てもらうことになります。

では、Aさんの書類とBさんの書類、マネージャーの満足度が高いものはどちらだと思いますか?

そう、Aさんのものです。なぜなら、マネージャーのチェックが2度も入り、そのたびにバージョンアップしているからです。たとえ、1回目に提出した内容がAさんとBさんで同程度であったとしても、Aさんの書類はその後2回の推敲を重ねているので、質が高いのは明白です。

私は、部下に「あなたたちの100%は僕にとっての50%だから、書類はさっさと提出したほうがいいよ」と言っています。一発勝負のコンペなどは別ですが、「仕事が速い=仕事ができる人」なのです。   では、どうして仕事を速く仕上げることができるのでしょうか?

仕事が速い人の共通点を見てみると、たいていの場合、「終わりの時間」をきちんと設定しています。時間が制限されることで、集中して仕事をすることができます。決めた時間までに終わらせようとすることで、「いかに短時間で、効率的に、最大の成果をあげることができるか?」と考え、工夫するようになるのです。

仕事ができる人のところに仕事は集まりますから、いきおい仕事量は増えるでしょう。次から次へとこなさないといけない、という別の制約が出てきますから、ますます短時間に集中し、終わりの時間を意識して仕事を行なうようになります。

時間的な制限を与えられることで、仕事の質はグッと上がるのです。

すべてを「自分ゴト」にしよう

会議で、ほかの人が発言したり、上司とやり合ったりしている間、あなたはどのようにしていますか? 上司にやり込められている姿を見て、「自分じゃなくてよかった」と思うでしょうか。それとも、「ああ退屈だなあ。早く終わらないかな」とボーっとしながら、別のことを考えているでしょうか。

ただ下を向いてやり過ごしていても、時はどんどん過ぎ去るばかりです。それでは時間を捨てているのと同じです。せっかくですから、なんでも自分の「実」にしてしまいましょう。「他人ゴト」もすべて「自分ゴト」にしてしまうことです。

では、どのようにすればいいでしょうか。「もし自分だったら……こう回答するな」と一つひとつシミュレーションしてみるのです。この方法のいいところは、それだけで会議に参加している感が高まることです。また自身の経験が増えます。なぜなら、他人の経験が自分の経験へと変わるからです。

私は20代のころからこの方法を行なってきました。自分と同じ意見を8年目の先輩が述べて、上司が「おお、いいじゃないか。では、それで行こう」と賛同したときには、「ピンポン!大正解!」とひそかに喜んでいたものです。ちょっとしたゲーム感覚ですね。今ではこの習慣がとても役に立っています。

そのほか、もしほかの社員全員の日報が見られるのであれば、ぜひ目を通してみることをおすすめします。そして、「自分だったらどう回答するかな?」と考えてみるのです。

社長や上司とそうでない人との違いは、「自分ゴト」にしている数の違いです。すべてを自分の問題として考え、真剣に取り組んでいる数が、ほかより多いだけです。

何でも、自分ゴトとして積極的にかかわっていきましょう。それだけで経験が積まれていくのですから、かなり得なことではないでしょうか。

仕事ができる人は「カバン」が小さい

カバンが小さく、中に入っているモノが少ない人を見ると、「ああ、この人は仕事ができる人だなあ」と思います。カバンの大きさや中身の多さは、頭の中がどのくらい整理整頓されているかの指針になるからです。カバンが小さく、中身もスッキリしている人は、頭もスッキリとまとまっているというわけです。カバンの中身の多さは、先にお話しした「キャッシュ」にあたると言えるでしょう。

カバンが大きくて、パンパンに膨らんだ人を見ると、「ああ、この人は伸びしろがたくさんあるなあ」と思います。これは嫌味でもなんでもなくて、こんなにカバンが大きく荷物が多い=キャッシュがたまっているにもかかわらず、これだけの仕事をこなしているのだから、キャッシュを取り除き不要なモノをそぎ落として、もっと身軽な状態になったら、どれだけすごいことになるのだろう? と思うのです。

私の会社にも、いわゆる「荷物大量持ち」のスタッフがいました。どこに行くにも、大きくてパンパンに膨らんだカバンを両肩に抱えて歩いていました。

そこで、「カバンは奇数個で」というルールをつくることにしました。1個か、もしくは3個で、というわけです。さすがに3個も荷物を持ち歩きたい人はいないですよね。それで、そのスタッフもなんとかひとつのカバンにおさめるようになりました。今では、かなり小さなカバンで上手にやりくりしているようです。

1章でもお話ししましたが、人間は、目にしているものと頭の中がリンクしてくると言われています。つまり、中身が雑然としたカバンや、書類が積み重なった机、衣服が散らかった部屋を目にしていると、それと同じように頭の中も同じようにぐちゃぐちゃに散らかり、混沌としたまとまりのない状態になります。

逆に、カバンの中や机の上、部屋がスッキリしていると、頭の中もクリアになるのです。頭の中がきちんと整理整頓されているということですから、必要なときに必要な情報がさっと出てきますし、今、何をやるべきか?といった手順についてもしっかり考えることができるのです。

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金村秀一
ウィルウェイグループ代表取締役社長。成功し続ける社長のための経営塾『100年塾』塾長。1973年東京生まれ。東京国際大学卒。1995年弱冠21歳の時に創業。企業のWEB制作や顧客管理、マーケティングサポート、飲食業界、人材派遣業界など会社の成長ステージに合わせて事業を展開し、創業社長として今期25年目を迎える。経営計画書と環境整備を主軸とした経営により、労働生産性は中小企業の3倍と高い生産性を実現。少数精鋭の強みを生かしながら、過去最高益を更新し続けている。これまで四半世紀の経営経験から得たノウハウと、右肩上がりの高収益企業を創造する経営計画書による経営の仕組みを、社員30人未満の小さな会社の社長を対象とした経営塾『100年塾』で2012年から主宰。全国各地であらゆる業種の組織改善・業務向上の指導を行う。現役社長が直接指導する経営手法は多くの社長たちから反響を呼び、お客様満足度は92・6%、全国各地での講演・セミナー開催は年間90回を超える。主な著書に『赤字社員だらけでも営業利益20%をたたき出した社長の経営ノート』(角川中経出版)、『社員29人以下の会社を強くする50の習慣』(明日香出版)など、累計3万部を超える。

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