「人手不足」が企業の頭痛の種に
調査会社東京商工リサーチが発表した「人手不足」関連倒産の2014年上半期合計の結果によると、最近の企業倒産は「人手不足」の深刻化に伴い「求人難」型が出始めているようです。2014年上半期(1~6月)累計は、「後継者難」型が121件、「従業員退職」型が6件、「求人難」型が10件(前年同期2件)、合計137件でした。相変わらず「後継者難」が圧倒的に多いのですがが、「求人難」型は6月だけで5件発生しております。
また、最近の倒産で人件費高騰による負担増から資金繰りが悪化したケースも出ているといいます。「人件費」上昇が影響した倒産は、2014年上半期の累計は10件ありました。さらに、売上が伸びても収益アップが伴わない企業も少なくありません。こうした低収益の企業は、人手不足や人件費上昇が経営課題の新たな重荷にして意識されてきております。
こうした状況に日本の企業は独自の戦略で対応しています。 大胆な雇用改革を行っています「 ユニクロ」を展開するファーストリテイリング< 9983 >の戦略をみていきます。
ユニクロの雇用改革
ファーストリテイリングの雇用改革とは、簡単に言うといい人材を確保し生産性を上げていく戦略です。労働コストは短期的には上昇しますが、生産性を挙げることで利益を上げいくことが目的です。このため、パートタイマーの正社員化に向け希望者の選考を始めております。これは、一部のパートタイマーを地域で限定して正社員を雇うという取り組みなのです。
ユニクロが従来から掲げている事業戦略の一つに「品質重視の実現」があります。これは、何百万枚、何千万枚といった大量の規模で均一な品質の商品を生産するためには、工場の生産技術と生産管理といったクオリティーコントロールを担保するためのものです。
ユニクロでは、日本の繊維産業で豊富な経験をもつ「匠」と呼ばれる技術者グループを中国の委託工場に派遣し、技術指導を行っています。同時に、生産管理部門の担当者は、上海事務所を基点に毎週工場に出向き、商品の品質チェックと生産進捗管理を行っています。生産性を上げるためにもいい人材をどんどん確保していくための施策です。このため、非正規社員3万人の半数以上にあたる1万6000人を地域正社員にすることにしました。