優れた人材を確保するために

「人」を集めるには労働条件を改善する必要があります。このため、ユニクロのように正社員化を進めると、当然人件費が上がります。しかし、その上昇したコストを生産性を上げたり製品の価格を上げることで消化しようということなのです。

一方、ユニクロは8月以降に売り出す商品の本体価格を上げると発表しています。上げ幅は5%前後になる見通しです。ユニクロが新商品への切り替えに合わせて一斉に値上げするのは今回が初めてだそうです。これは、国内事業の収益確保が狙いということですが、高騰した人件費を値上げ分で確保しようとしているのは明らかです。


女性雇用改革を進める企業たち

また、もともと男性中心の職業である分野に女性の雇用を積極的に進めている企業があります。たとえば、佐川急便は2016年までに宅配業務で主婦1万人を採用すると発表しています。1日約3時間程度の短時間勤務を想定し、配送個数に応じて給与を支払うという形態だそうです。佐川急便は12年には初の女性店長が就任し、13年には女性従業員を対象とした社内報「Waku-Waku(ワクワク)」を創刊しました。15年に女性雇用率を30%まで引き上げることを目指しているそうです。

一方、政府も女性の雇用拡大促進を後押ししています。厚生労働省は女性の雇用を促進させるために、中小企業の事業主に対して助成金制度を設けています。子育てや介護を行いながら働き続けることができるよう、家庭と仕事の両立を目的とした制度を導入する中小企業には、一定の条件を満たした場合、中小企業両立支援助成金などが付与されます。事業所内に保育施設を設置したり、介護や育児のための休業や短時間勤務、女性の採用、女性の管理登用などに積極的な措置をとる企業を対象としています。


国内景気の今後を占う

これまでみてきたように、労働条件の改善が進められています。これはもちろん給与的なことも含まれているわけで、被雇用者にとってはうれしいことです。給与が上がれば、消費が上がります。消費が上がれば、経済が活性化して、景気が上がります。実情はこんなに簡単には行かないと思いますが、国内景気にとってプラスに働くことは間違いないでしょう。

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