聞き上手は営業上手ともいわれるが、ではどうすれば聞き上手になれるのだろう?カウンセリングで活用される「傾聴」の3原則は、お客様と対話する際の道しるべになるかもしれない。今回は、対話を通じてお客様と深い信頼関係を築く手法を解説する。

営業ケーススタディ(8)――新入社員・新垣の苦心

営業心理学, 傾聴力,営業センス
(画像=autumnn / shutterstock.com、ZUU online)

社会人1年目の新垣理子(22)は、15年目のベテランである先輩・及川圭佑(37)の海外研修中に1人でお客様を訪問する。及川以上の信頼を勝ち取りお客様を引き継ぐことを目指すが、新垣の熱意は空回りしてしまい――。3年目の先輩・若林のアドバイスや及川の解説で、営業で活かせる「傾聴」の3原則を紹介する。

お客様の気持ちが分からない!現状を打開するには?

オフィスビルの向こうに入道雲が見える。コンクリートの地面から熱気が立ち上がり、うだるような暑さだ。新垣は立ち止まってハンカチで汗を拭き、腕にかけたジャケットを羽織る。深呼吸をし、目当てのオフィスビルに向けて一歩を踏み出した。

先輩である及川の営業に同席すること数回、とある営業先で提案書を説明するよう指示された。初めての提案は失敗に終わったものの、及川のフォローで契約に至りその後もサポート役として一緒に訪問を重ねている。

学生目線の話を織り交ぜることで、最近は少しずつお客様とも信頼関係を築けてきたはずだ。新垣がそう思い始めた頃、及川から一人で訪問してみるよう提案された。及川は海外研修を命じられ一カ月不在にするそうで、その間の訪問を新垣に任せたいという。