自分の気持ちを客観視しストレスを手放そう

感情コントロール術,大嶋祥誉
(画像=THE21オンライン)

仕事をしていると、怒りや落ち込み、妬みなどの感情が生まれることがある。それは、世界有数の経営コンサルティング会社・マッキンゼーで働くエリートたちも同じだ。ただ、彼らは感情をうまく「コントロール」しているから、ハイパフォーマンスを上げられるのだ。マッキンゼー出身のエグゼクティブコーチである大嶋祥誉氏に、ノートを使った感情コントロール法を聞いた。

マッキンゼーで気づいた「才能」よりも大切なこと

世界最強のコンサルティングファームと呼ばれるマッキンゼー・アンド・カンパニーで活躍した大嶋祥誉氏は、「ビジネスにおいては、優秀であること以上に、感情コントロールのスキルが大切」と話す。

「ビジネスにおいては、MBAの知識や交渉術、ロジカルシンキングなど、高度なスキルが求められるというイメージを持っている人も多いと思いますが、大部分は人間関係で成り立っているというのが実際のところです。

仕事の現場では、プライベートと違って、相手を選ぶことができません。よほど問題のあるクライアントであれば断ることもできますが、どんなにウマが合わなかったり、イヤな相手であったりしても、ビジネスとして成立するなら、プロジェクトは進行していきます。

また、社外だけでなく、社内でも、上司を選ぶことはできませんし、仲の悪い同僚がいるからといって異動を断ることは難しいでしょう。

つまり、『この人はイヤ、あの人もイヤ』と言っていたら、仕事にならないのがビジネスです。だから、人間関係を良好にするために有効な『感情をコントロールする技術』が必須のスキルだと言えるのです。

事実、マッキンゼーの職場を見ていても、好き嫌いの激しい人に比べて、自分の感情を上手にコントロールしながら、誰とでも比較的良い関係を築くことができる人のほうが、クライアントから好かれていましたし、結果として出世する傾向にありました」

マッキンゼーの職場は、事業再生などの大きなプロジェクトが常に進行し、ストレスも相当なものだったはずだ。

「クライアント企業の生き死にに関わる仕事も少なくありませんから、毎日、ストレスとプレッシャーの連続でしたね。例えば、シビアなM&Aの案件を担当して、フラフラの状態になりながらも、プロジェクト終了までなんとか気力で持ちこたえている同僚や先輩を目にすることなんて日常茶飯事でした。

そうした環境下においては、ストレスフリーを目指すという発想ではなく、『ストレスは発生するもの』という前提に立ったうえで、いかにコントロールするかを考えることが重要になってきます。

よく、『ストレスは我慢しなければならいないもの』と考えたり、ストレスを感じていないフリをしたりする人がいますが、我慢し続けたり、無視し続けたりすると、いつかは爆発して、心を病んだり、身体を壊したりしてしまいます。

ポイントは、ストレスを上手に『手放す』ことです。そのためには、まず、自分の感情を客観的に『認める』ことが必要になります。

ただ怒ったり、悲しんだり、嫉妬したりするのではなく、『ああ、自分は今、怒っているんだな』『悲しんでいるんだな』『やっかんでいるんだな』というように、まずは認めることから始めるのです」