結果の概要:着工件数、許可件数ともに市場予想を下回る結果
7月17日、米国センサス局は6月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は125.3万件(前月改定値:126.5万件)と、126.9万件から下方修正された前月値を下回ったほか、市場予想の126.0万件(Bloomberg集計の中央値)も下回った(図表1、図表3)。
住宅着工許可件数(季節調整済、年率)は122.0万件(前月改定値:129.9万件)と、こちらも129.4万件から上方修正された前月値、市場予想の130.0万件を下回った(図表2、図表5)。
結果の評価:住宅着工件数に比べて許可件数の回復に遅れ
住宅着工件数の伸びは、前月比▲0.9%(前月:▲0.4%)と2ヵ月連続でマイナスとなった(図表3)。戸建てが+3.5%(前月:▲5.1%)とプラスに転じたものの、集合住宅が▲9.2%(前月:+9.6%)と5ヵ月ぶりにマイナスに転じ、全体を押下げた。
一方、前年同月比では+6.2%(前月:▲5.0%)と前月からプラスに転じた。戸建ては▲0.8%(前月:▲12.7%)と5ヵ月連続でマイナスとなったものの、こちらも集合住宅が+24.5%(前月:+13.2%)と2桁の伸びとなり、全体を押上げた。
地域別寄与度(前月比)は、北東部が+2.1%ポイント(前月:▲3.9%ポイント)、中西部が+3.3%ポイント(前月:▲0.6%ポイント)と前月からプラスに転じた一方、西部が▲1.3%ポイント(前月:+0.1%ポイント)、南部が▲5.1%ポイント(前月:+3.9%ポイント)と前月からマイナスに転じた(図表4)。とくに当月は南部の落ち込みが大きく全体を押し下げた。
先行指標である住宅着工許可件数は、前月比▲6.1%(前月:+0.7%)と4ヵ月ぶりにマイナスに転じた(図表5)。着工件数と対照的に戸建てが+0.4%(前月:+3.1%)とプラスを維持した一方、集合住宅が▲16.8%(前月:▲3.0%)と2桁のマイナスとなり全体を押下げた(図表6)。
前年同月比は▲6.6%(前月:▲1.7%)と6ヵ月連続のマイナスとなった。戸建てが▲4.7%(前月:▲4.6%)と9ヵ月連続のマイナスとなったほか、集合住宅も▲10.2%(前月:+3.6%)と前月からマイナスに転じた。
一方、住宅着工件数の3ヵ月移動平均、3ヵ月前比は6月が年率+17.4%(3月:+9.8%)と3月から伸びが加速した(図表7)。このため、来週発表予定の19年4-6月期GDPにおける住宅投資は6期ぶりにプラスに転じることが期待できる。
もっとも、許可件数は同▲8.2%(3月:同▲6.2%)と住宅ローン金利の低下など住宅市場を取り巻く環境が好転しているにも係わらず、回復がみられていないため、住宅市場の本格的な回復にはほど遠く、住宅投資の回復がみられても一時的だろう。
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窪谷浩(くぼたに ひろし)
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 主任研究員
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