資本家思考とは、自分ごと化である。渋沢栄一の玄孫(やしゃご、孫の孫)に当たる渋澤健氏(コモンズ投信会長)のインタビューから、「資本家思考とはなにか?」に対する一つの答えが導き出せた。
そこで、健氏の著書『渋沢栄一 100の訓言』(日本経済出版社)に記載のあった「日本資本主義の父」が残した言葉の中でも特に、自分の人生をコントローラブルにするために役立つ訓言をピックアップした。
日々眺めていれば「資本家思考」をより効率よく吸収できそうだ。(くすいともこZUU online編集部、DAILY ANDS編集長)
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・【特集#3】「できることを積み重ねる人」が成功者になれない理由
資本家のスタンスを表す5つの訓言
・自分で箸を持て
かくお膳立をして待っているのだが
これを食べるか否かは箸を取る人のいかんにあるので、
御馳走の献立をした上に、それを養ってやるほど
先輩や世の中というものは暇でない。
【『論語と算盤』立志と学問】
・自分の足で立って生きよ
およそ人は自主独立すべきものである。
すなわち自営自活の精神は、
実に同胞相愛の至情とともに、人生の根本をなすものである。
【『渋沢栄一訓言集』処事と接物】
・順境も逆境も自分が作り出すものである
世人は、一も二もなく彼を順境の人と思うであろうが、
実は順境でも逆境でもなく、
その人自(みずか)らの力でそういう境遇を作り出したに過ぎない。
【『論語と算盤』成敗と運命】
・公益を口実に、他人に保護を求めるな
公益を口実にして
他の保護を求めるは日本人の通弊である。(中略)
世間には随分勝手な説を立てる者がある。
【『渋沢栄一訓言集』道徳と功利】
・「悪いことをしない」とは「いいことをする」という意味ではない
ただ悪い事をせぬというのみにては、
世にありて、何も効能もない。
【『渋沢栄一訓言集』処事と接物】
渋沢栄一は欧米での海外視察を生涯で何度か行っている。その経験からだろうか、日本人のある種の「受け身体質」を嘆いているようだ。
何もしないことを良しとせず、積極的にリスクをとることを正と見なしている。さまざまな人生があるだろうが、新しい時代をつくっていくときには、世の中のことを自分ごと化し、積極的に自ら動ける人間が必要なのかもしれない。