ベンチャーキャピタル(VC)による企業支援では、資金以外にも人やネットワーク、ノウハウなども含めて行われることがある。企業には成長ステージがあり、ステージと共に投資ラウンドも進み、投資額が増加する。特集の第1回では、VCの役割やベンチャー企業の各成長ステージと投資ラウンド、ベンチャーキャピタリストの仕事内容をおさらいしておこう。

VCの役割とベンチャー企業の成長ステージ・投資ラウンド

ベンチャーキャピタル, 特集
(画像=LanKogal / shutterstock.com, ZUU online)

VCの役割には、「投資」「企業の成長サポート」「株式売却による資金回収」がある。

VCの投資の金額は、企業の成長とともに変化する。ベンチャー企業の成長ステージに普遍的な定義はないが、よく使われているステージには、「シード」「アーリー」「ミドル(エクスパンション)」「レイター」があり、ベンチャー企業はこの順に成長していく。また、ベンチャー企業の投資ラウンドは、「シリーズA」「シリーズB」「シリーズC」……と進み、投資額が増えていく。

成長ステージと投資ラウンドは必ずリンクするわけではなく、時期がずれることもあるが、それらと投資額を順に紹介していこう。

シードステージ サービス開始前の段階

シードステージは、企業が誕生しサービスを開始する前の段階である。この段階のベンチャー企業は、市場調査に基づくビジネスプラン作成や、製品の試作などを行ってサービス開始を目指す。

試作品の制作には、資金(シードマネー)が必要になる。金額はビジネスによるが、一般的には数百万円で、時には数千万円必要なこともある。資金は起業家や知人、エンジェル投資家からの投資などにより調達される。

スタートアップ企業をサポートするアクセラレーターは、ノウハウやリソースを提供し、場合によっては(VCよりも少額だが)投資によりシードステージでの成長に寄与する。VCによっては、シードステージから投資することもある。

アーリーステージ サービス開始後の段階

サービス開始後の段階は、アーリーステージと呼ばれる。このステージは従業員数10人以内が一つの目安だ。売上や利益は少ないながらも、運転資金や設備投資、販売促進に多くの資金が必要になる。

このステージのベンチャー企業は、事業リスクが高い状態である。資金調達は日本政策金融公庫などの政府系金融機関からの借り入れや、将来性を見込まれたベンチャー企業にはVCからの投資がある。

アーリーステージでの投資ラウンドは「シリーズA」であり、調達する資金は1,000万円から数千万円程度である。