2018年11月、米マイクロソフトが時価総額でGAFAの一角を成すアップルを抜き、約8年ぶりに首位に返り咲きました。さらに、2019年4月には時価総額が1兆米ドルを超え、快進撃が続いています。マイクロソフト復権の背景を探ります。

GAFAとマイクロソフト

マイクロソフト,世界No.1
(写真=J.Score Style編集部)

かつて、マイクロソフトは「GAFMA」(ガフマ)という言葉で「Google」「Apple」「Facebook」「Amazon」とともにひとまとめに括られていました。しかし、消費者情報などを活用した4社とのビジネス的な特徴の違いや成長率の鈍化などから、次第に同列には語られなくなっていきます。また、近年ではアメリカのIT企業を象徴する言葉として「GAFA」(ガーファ)が一般的に使われるようになりました。

そうした経緯もあり、「マイクロソフトがGAFAを抜いた」というニュースはマイクロソフトの復権を象徴する出来事として、世界的に大きく報じられていったのです。

理由①.「Azure」が快進撃のエンジンに

そんなマイクロソフトの快進撃のエンジンとなっているのが、同社が法人向けに展開しているクラウドサービス「Azure(アジュール)」です。マイクロソフトが2019年4月に発表した2019年1〜3月期の決算によれば、同社の売上高は前年同期比14%増という好調な数字となっています。しかも、Azure単体での売上高はその伸び率を大きく上回る73%増です。

Azureは、2010年初頭に世界市場でサービスが開始されており、サービス形態は「クラウドインフラ」「パブリッククラウドサービス」「クラウドプラットフォーム」などと形容されます。クラウドの利用が企業でも主流になっていく中で、Azureは企業のIT基盤として広く使われるようになってきたのです。

理由②.ビジネスの多様性とシナジー効果

マイクロソフトの強みはそれだけではありません。ビジネスの多様性も同社の強みの一つとして論じられることが多くなっています。2019年1〜3月期の決算資料をみると、その多様性にうなずけるのではないでしょうか。基本ソフト(OS)の「Windows」や業務ソフトウェア群の「Office」、これまでに紹介してきた「Azure」です。

また、マイクロソフトが2016年に約3兆円で買収したビジネス向けSNS(交流サイト)の「LinkedIn」や「Xbox software」というように、GAFA各社よりも展開しているビジネスの数が多いことが分かります。事業の多様性はリスクヘッジにもなりますが、時にはリスクになることもあるでしょう。

しかし、マイクロソフトは多くの事業を成長軌道にのせており、各分野でのさらなる売上や収益の増加が今後見込まれています。部門を横断したシナジー効果にも期待ができることも大きいでしょう。

理由③.買収攻勢で存在感がさらに強く

マイクロソフトが時価総額1位に返り咲いた理由としては、好調を維持するAzureとビジネスの多様性が挙げられるでしょう。また、買収攻勢を続ける企業としての姿勢も強みに含められるかもしれません。マイクロソフトとしては、過去最高額での買収となったLinkedInのほか、インターネット通話サービス「Skype」を85億ドルで買収しました。

他にも、ソフトウェアの開発プラットフォーム「GitHub」の75億米ドルでの買収など、マイクロソフトの相次ぐ巨額買収は、市場における同社の存在感をより際立たせるものになっています。とはいえ、アメリカの時価総額のトップ企業はいまだに拮抗している状況にあり、今後ランキングがめまぐるしく変化することも予想されるでしょう。各社の事業展開や決算発表から目が離せない状況が続きそうです。(提供:J.Score Style

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