CEOと従業員の賃金格差をどう対処していくかが今後の課題だ
ビジネス・ラウンドテーブルは、企業は従業員と顧客を含むすべての利害関係者に奉仕すべきであると宣言した。
JPモルガン・チェースのJamie Dimon最高経営責任者が率いる、健全な政策を通じて米国経済の促進に取り組むCEOの団体である、ビジネス・ラウンドテーブルの新しいマニフェストが本日発表され、持続可能な投資を支持する多くの人々が提唱していること、すなわち、長期的な価値へのコミットメント、透明性、すべての利害関係者との効果的な関わりについて述べている。
「ビジネス・ラウンドテーブル は「企業は株主のために存在する」 という考え方から「企業はすべての利害関係者のニーズを満たすために存在する」という考え方へと、社会における企業の役割に対する考え方が変化していることを示している」と、モーニングスター社の持続可能な研究のグローバル責任者であるJon Hale氏はThinkAdvisorに語った。
Apple、Facebook、Amazon、BlackRock、Walmartなどフォーチュン500に名を連ねるアメリカのトップ企業から200名近くがこの宣言書に署名した。
リリースには次のような公約が記されている。
- お客様に価値を提供する。私たちは、アメリカ企業の伝統をさらに発展させ、お客様の期待に応え、またそれを上回ることができるようにする。
- 従業員への投資。これは彼らを公正に補償して重要な利益を提供することから始まる。また、急速に変化する世界での新しいスキルの開発に役立つトレーニングや教育を通じて、彼らを支援することも含まれます。私たちは多様性と包容力、尊厳と尊敬を育む。
- 取引先との公正かつ倫理的な取引。私たちは規模の大小を問わず、他の企業の優れたパートナーとなり、ミッションの達成を支援することに尽力している。
- 地域社会への支援。私たちは、地域社会の人々を尊重し、ビジネス全体で持続可能なプラクティスを取り入れることによって環境を保護する。
- 企業の投資、成長、革新を可能にする資本を提供する株主のために長期的な価値を生み出す。我々は、透明性及び株主との効果的な関与にコミットしている。
同グループは「アメリカ人は、一人一人が勤勉と創造性によって成功し、意義と尊厳のある生活を送ることができる経済を享受する資格がある」と述べた。
Vanguardの前CEOであるBill McNabb氏は「ビジネス・ラウンドテーブルのCEOが企業のために思慮深く発言したことを歓迎する」と述べた。「取締役会は、企業目的をより広く、より包括的に捉えることで、長期的な価値を創造し、投資家、従業員、地域社会、供給業者、顧客といったすべての人々により良いサービスを提供することに注力することができる」と続けている。
しかし、CEOと従業員の賃金格差が拡大している今、アメリカのトップ経営者にとっては厄介な時期だ。低・中所得労働者の経済状況を保護・改善する公共政策を提案・評価する非営利シンクタンクである経済政策研究所の最近の調査によると、1978年から2018年にかけて、CEOの報酬は約940%上昇し、平均賃金は12%上昇した。この期間、S&P500指数は700%強上昇している。
積極的な株主や持続可能な投資の支持者にとって、役員報酬は重要な問題だった。このようなガバナンス重視の姿勢は、米証券取引委員会が制限を検討している議決権代理行使助言会社によって後押しされている。
「同時に(この宣言は解除される)、ビジネス・ラウンドテーブルは、企業が利害関係者の観点から管理することを望む投資家が、委任状プロセスを通じて関与することを制限するSECの動きを支援している」とHale氏はThinkAdvisorに語った。「グループとそのメンバーシップは同じページにないかもしれませんが、変化は起きている。現在のところ、株主優先の支持者がワシントンの業界団体やSECに根を下ろしているという事実は、古い世界観が戦わずしては下がらないことを意味している」と指摘している。
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