9月とはいえ残暑の厳しい日が続きますね。私は別冊宝島の『よい保険・悪い保険』の制作がひと段落し、ホッと一安心といったところです。ちなみに、本誌は生命保険のランキング等を掲載しているのですが、今回の特集では様々な「保険の見直し相談」の事例を取り上げ、実際にどれくらい安くなるのか紹介しています。
私のFP事務所に寄せられる「保険の見直し相談」にはビックリするような事例がいつくもあります。たとえば高額所得者の中には月額の保険料が15万円と言う人もいました。現実問題として、高額所得者になればなるほど保険料を払いすぎる傾向にあるように感じられます。私のFP事務所だけでなく、同業のFP仲間に寄せられる相談事例でも同じような傾向が見られるのです。ちなみに、月額15万円といえば年間180万円の保険料を支払っている計算になります。20年間支払い続けた場合は3600万円です。驚くべき金額ですよね。
なぜ、高額所得者ほど高い保険料を払う傾向にあるのでしょうか? 今回は「高額所得者の保険の罠」と題してお届けします。
高額所得者になるとリスクも大きくなる?
私はFPとしての立場から、保険とは「将来のリスクに備えたもの」と考えています。リスクがなければ保険に入る必要はありませんし、逆にリスクが大きいのであればそれに見合った保険を検討する必要があります。
つまり、高額所得者ほど高い保険料を払う理由の一つに「リスクが大きい」ことが考えられます。裏を返すと「収入が多いこと」それ自体がリスクなのです。現実問題として「その収入」がなくなってしまった場合でも、急には支出を抑えることができません。高額所得者であれば住宅ローン等の支払いも毎月それなりの金額になっていると考えられます。収入が多い分、必要保障額も多くなります。
また、夫婦共働きで2人とも高収入のケースでは、遺族年金を受け取ることが出来ない可能性もあります。収入が850万円以上になると、遺族年金をもらうことが出来ないからです。とはいえ、それまで夫婦共働きで家計をやりくりしていたのですから困りますよね。その分、保障額の上乗せも必要になります。
高額所得者には「高額所得者なりのリスク」があり、それが高い保険料を払う一因になっていると考えられます。