日本を訪れる外国人旅行者数は年々、増加しています。高まるインバウンド需要を背景に民泊需要も高まりをみせていますが、実際に民泊で収益を得た場合、税金はどのように関わってくるのでしょうか。

民泊で収入があったら税金がかかる

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(画像=PR Image Factory/Shutterstock.com)

手軽な収入源として人気の高い民泊ですが、収益が発生したら税金を納めなくてはいけません。個人が民泊で収益を得た場合、原則として「所得税」と「住民税」がかかることになります。これらに加え、年間所得額が290万円を超えると地方自治体に事業税を納めなくてはなりません。また、民泊による年間の売上高が1,000万円を超えた場合には、翌々年から消費税がかかります。

なお、所得とは基本的に「総収入金額-必要経費の額」で計算された金額のことです。「総収入金額=売上」、「所得=利益」とイメージすると分かりやすいでしょう。所得税を自ら確定申告すると、住民税と事業税は地方自治体で計算し、納税額や納付期限を教えてもらえる仕組みとなっています。ここでは、数ある税金の中でも民泊オーナーにもっともかかわりの深い所得税について解説していきます。

民泊の内容で申告が変わる

民泊で収益が発生したら、原則として所得税の確定申告が必要です。所得税の確定申告での計算のステップは、おおよそ次のような流れになります。

1. 毎年1月1日から12月31日までの1年間における総収入額と必要経費を所得区分に分け、それぞれに定められた計算方法で所得額を算出する
2. 1で計算した所得額を合算する(ただし、総合課税の対象となる所得が対象)
3. 各種控除を差し引いた金額に応じた税率を乗じ、税額を計算する

ここで大事になるのが、「民泊で得た収益がどの所得区分になるのか」という点です。所得には事業所得、給与所得、不動産所得、一時所得、雑所得など10種類の区分があります。運営の内容によって所得区分が次のように変わります。

自宅の部屋を貸したら雑所得

自宅の部屋を貸した場合の民泊の収益は、雑所得です。所得区分には、10種類あると先ほどお伝えしましたが、雑所得は他の9種類のどれにも該当しないものを言います。雑所得において民泊の収支は、「1年間の総収入金額(総売上高)-1年間の必要経費全額」で計算します。注意したいのが「雑所得では赤字(損失)は認められない」ということです。

仮に総収入金額が10万円であり、必要経費全額が20万円であった場合、会計上は10万円の損失となります。しかし、雑所得での計算では、この10万円の損失を「所得0円」とみなします。そのため、事業所得・不動産所得・山林所得のように、発生した損失を他の所得と相殺して所得額を減らす「損益通算」は行えません。

賃貸物件の部屋を貸したら不動産所得

民泊用にアパートやマンションを借りている場合や自己所有の賃貸物件を民泊に使用している場合、民泊による収益は不動産所得に該当します。不動産所得とは、土地や建物などの不動産等を貸し付けた場合の所得のことです。不動産所得の場合も雑所得と同様「1年間の総収入金額(総売上高)-1年間の必要経費全額」で所得額を計算します。

ただ、雑所得と異なり民泊にかかる不動産所得が赤字(損失)になった場合、その赤字は他の給与所得や一時所得、雑所得などと相殺し、損益通算をして全体の所得額を減らすことが可能です。ただし、その民泊で貸し付ける不動産は別荘などのように、主として趣味や娯楽、鑑賞目的で保有されているもの以外に限られます。

また、不動産所得の事業的規模の要件である「5棟10室」を満たしていれば、青色申告で65万円の特別控除の適用を受け、さらに所得額を減らすことも可能です。

「民泊で副業」している給与所得者の注意点

正社員やバイト・パートなどで1ヵ所の勤務先から給与を受け取るほか、副業で民泊を行って収入を得る人も最近は増えています。もし民泊による年間の所得が20万円を超えた場合、所得が発生した年の翌年2月16日から3月15日までに所得税の確定申告を行わなくてはいけません。また、副業である民泊での所得が年間20万円未満の場合、確定申告しなくていいのは所得税だけです。20万円未満であっても住民税の確定申告は必要となりますので注意しましょう。(提供:相続MEMO


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