贈与されたお金でマイホームを購入しようとしている方もいるかもしれません。その場合、省エネやバリアフリーなどの設備を導入すると、贈与税非課税枠が増額されるという制度があります。この制度を利用するには、どのような条件があるのでしょうか。

「良質な住宅用家屋」の対象条件とは?

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(画像=Andrii Yalanskyi/Shutterstock.com)

「良質な住宅用家屋」とは、国土交通省が定めた「日本住宅性能表示基準」に基づき、断熱等性能等級4または一次エネルギー消費量等級4以上、耐震等級2以上または免震建築物、高齢者等配慮対策等級3以上のいずれかに該当する住宅のことを指します。難しい用語が並んでいますが、簡単にいえば省エネ・耐震・バリアフリーの基準を満たした住宅ということになります。認定を受けるためには以下のような条件があります。

・贈与される子または孫の合計所得金額が2,000万円以下であること
・直系尊属からの贈与であること
※贈与してくれる相手が、父母または祖父母の直系尊属であり、受ける側が20歳以上の子や孫で、住宅を取得または増改築する目的で贈与された場合に限る
・家屋の登記面積が基準内であること
※登記面積が50平方メートル以上240平方メートル以下の住宅が対象
・増改築の場合の条件を満たしていること
※増改築の場合は、工事費用が100万円以上であること、増改築後の床面積が50平方メートル以上で床面積の2分の1以上が自己居住用であることなどの条件あり

一般住宅と比べ、どれくらい有利なのか

一般住宅と比べると良質な住宅用家屋は、どれくらい有利なのでしょうか。2020年3月31日までに取得した住宅で消費税率等が10%の場合、一般住宅の非課税枠が2,500万円に対し、「良質な住宅用家屋」は3,000万円と、500万円も非課税枠が増額されます。消費税率10%以外(現行8%)の住宅においても、やはり一般住宅よりも500万円非課税枠が多くなり、「良質な住宅用家屋」の有利さが際立っています。

一般的には消費税10%への増税は負担になりますが、政府が打ち出した住宅取得の支援策として非課税枠が1,200万円から一気に3,000万円に拡大されたことは、マイホーム取得を予定している人には朗報といえるでしょう。うまく利用して節税につなげたい制度です。

期間限定制度で、早く行うほど有利に

ただし、この有利な制度にも注意しなければならない点があります。それは上記で一例を挙げたように、期間が限定されていることです。期間と非課税枠の設定は次の3段階に分かれています。(消費税率等10%の住宅)

契約締結日一般住宅良質な住宅用家屋
2019年4月1日~2020年3月31日2,500万円3,000万円
2020年4月1日~2021年3月31日1,000万円1,500万円
2021年4月1日~2021年12月31日700万円1,200万円

「良質な住宅用家屋」の適用を目指すなら、早く購入するほど有利になります。1年経過するとかなりの減額になりますので、マイホーム取得を予定しているなら早めに設備の導入を検討するようにしましょう。

将来の自分のためにも必要なバリアフリー

住宅を購入する場合は、長期的視野に立って考える必要があります。住宅のバリアフリー化は、両親が同居している場合はもちろんのこと、自分もいずれ高齢者になることを考えれば必要な設備といえるでしょう。バリアフリー等級3以上であれば、高齢者等が自走式車椅子を使って玄関まで到達できる設備になるため、安全性と利便性を確保できます。

また、省エネは長い目でみるとコストダウンにつながることがメリットです。住宅用太陽光発電では、10キロワット未満の発電容量で発電した電気を、自家用に使用することができます。さらに、あまった電気は売電することもできるため、年間では電気代をかなり抑えられる可能性があるでしょう。

マイホームは人生で一番大きな買い物です。せっかく購入するのですから、「良質な住宅用家屋」にすれば家族も喜び、将来の自分のためにも良い買い物になるのではないでしょうか。(提供:相続MEMO


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