医療保険は種類も多く複雑で中身を理解することが難しいと感じる方も多いだろう。今回は、数ある医療保険の中から、ソニー生命の「メディカル・ベネフィット」「メディカル・ベネフィット リターン」について、その特徴を詳しく解説する。

ソニー生命の医療保険の種類

(画像=PIXTA)

2019年現在、ソニー生命では3つの医療保険を販売している。「総合医療保険」「メディカル・ベネフィット」「メディカル・ベネフィット リターン」である。「総合医療保険」は少し旧型の保険であり、例えば、入院給付金は5日目からの給付となる。

これから加入を検討するのであれば、「メディカル・ベネフィット」、「メディカル・ベネフィット リターン」をおすすめしたい。この2つは基本の構造は同じとなっているため、以下で保障内容を解説する。さらに、2018年から販売を開始している「メディカル・ベネフィット リターン」独自の「健康還付給付金」についても紹介しよう。

メディカル・ベネフィットの主契約

ソニー生命の「メディカル・ベネフィット」と「メディカル・ベネフィット リターン」の保障内容は全く同じものである。まずは基本プランの保障内容から確認していこう。なお、保障内容の説明内では、「メディカル・ベネフィット」と「メディカル・ベネフィット リターン」をあわせて「メディカル・ベネフィット」と呼ぶこととする。

入院給付金

病気・ケガで入院したとき1日につき3,000円〜2万円が入院初日から給付される。もし日帰り入院であっても、1日の給付を受けられるということである。最近は日帰り入院が多く、日帰り入院からの保障があることはメリットといえるだろう。

一般的な病気やケガに対する1回あたりの 支払限度日数は60日型、120日型、360日型で選択可能だ。通算日数は1,000日となっている。

三疾病(がん、心疾患、脳血管疾患)での入院に対する1回あたりの支払限度日数、通算の支払限度日数の両方が無制限となっているのも注目すべきポイントである。

手術給付金

加入する医療保険によっては、手術内容によって対象外となってしまうものも少なくない。その点、メディカル・ベネフィットは約1000種類の手術に適用されるので心強い。また、三疾病による手術に手厚い保障がついている点も他の保険に比べて優れているといえよう。

手術給付金については、病気の種類、手術の種類によって倍率が異なる。

病気やケガに基づく手術の場合は、開頭術・開胸術・開腹術入院給付金日額の20倍が給付される。それ以外の手術は入院給付金日額の10倍(外来の場合はいずれも入院給付金日額の5倍)の給付となる。

三疾病(がん、心疾患、脳血管疾患)に基づく手術の場合は、給付金額が倍になる。開頭術・開胸術・開腹術は入院給付金日額の40倍、それ以外の手術は入院給付金日額の20倍
(外来の場合はいずれも入院給付金日額の10倍)がもらえる手厚さだ。

メディカル・ベネフィットの基本プランについては、他社と比較しても特に秀でているわけでもなければ、格段に劣っているわけでもない。無難な内容と言えるだろう。

メディカル・ベネフィットの6つの特約

特約は基本プランに上乗せして付与することができる。付与するごとに保険料は上がっていくため、どれだけつけるかは慎重に検討する必要があるだろう。メディカル・ベネフィットでは、以下6つの特約をつけることが可能だ。

特定疾病診断給付金特約

初めてがんと診断されたとき、または急性心筋梗塞、脳卒中により所定の状態となったときに診断給付金が受け取れる。所定の状態とは、急性心筋梗塞は診療を受けた日から60日以上、所定の労働制限が継続したと診断されたとき、脳卒中は診療を受けた日から60日以上、所定の後遺症が継続したと診断されたときとなっている。

診断給付金の支払いは1回のみである。保険会社によっては限度なしの保障(1年に1回等の制限はある)をしている商品もあるので、この点は他社に劣っているといえる。

入院一時給付金特約

主契約の入院給付金の支払事由にあたる入院をした場合に入院一時金を支払う特約だ。三疾病(がん、心疾患、脳血管疾患)の場合は一時給付金が2倍となる。こちらの特約は支払い回数に制限がない。

三疾病入院給付特約(がん、心疾患、脳血管疾)

主契約の三疾病入院給付金の支払事由にあたる入院をした場合に入院一時金を支払う特約だ。こちらの特約は支払い回数に制限がない。

先進医療特約

先進医療による治療を受けたとき、2,000万円を限度に先進医療の技術料と同額を給付される。先進医療は公的医療保険に適用されないため、治療費は3割負担ではなく、全額負担になる。そもそも技術料も高く、保証を付けていなければかなりの負担になるだろう。

保険会社によっては先進医療を受けるために要した交通費や宿泊費を保障してくれるものもあるが、メディカル・ベネフィットにはそちらの保障はない。先進医療を受けるためには鹿児島など地方の研究施設に行く必要もあるため、宿泊費等も負担してもらえる先進医療特約に比べるとやや見劣りはするかもしれない。

女性特約手術給付特約

女性特有の病気に対して、保証を上乗せができる特約だ。乳房、子宮、卵巣などの女性特定部に対し主契約の手術給付金が支払われる手術をしたときに上乗せして給付金を受け取ることができる。

抗がん剤治療特約

がんの治療を直接の目的で、公的医療保険制度の対象となるによる治療を受けたときに1ヶ月に1回の抗がん剤治療給付金を受け取れる。支払限度日数は通算して120か月となっている。最近は入院ではなく、通院によるがん治療も増えてきているため、このような特約をつけられる保険が増えてきている。

「メディカル・ベネフィット」と「メディカル・ベネフィット リターン」の違いは?

保障内容が同じ両者だが、ひとつ大きく違う点がある。それは、メディカル・ベネフィット リターンは支払った保険料が「健康還付給付金」として戻ってくるということだ。

保険はお守りといわれるが、実際に病気にならずに保険料だけを支払うと納得感がなくなってくるだろう。メディカル・ベネフィット リターンは、掛け捨てではなく支払った分がなんと全額戻ってくる。また、仮に病気になった場合は既払い保険料から給付金を差し引いた額が支払われる。

健康還付給付金を受け取る時期は50歳~80歳から選ぶことが可能だ。

健康還付給付金を受け取った後も保障を継続したい場合、保険料は加入時と変わることがない。仮に65歳に健康還付給付金を受け取る保険に35歳で申し込むと月々4,610円になるが、65歳で給付金を受け取っても、それ以降も変わらず4,610円の保険料になる。

もし、65歳でソニー生命のリターンのないメディカル・ベネフィットに加入すると6,115円になる。

デメリットは、月々の保険料が掛け捨てに比べて高くなってしまうことだろう。数年後に支払った分が戻ってくるものの、月々の負担を下げる方がメリットに感じる方には不向きである。給付時までは自由に使えるお金ではなく、戻ってくるといっても、貯蓄型保険のように運用して増える可能性がないところも注意が必要だ。また、特約の部分で支払っている保険料に関しては還付の対象にならないことにも気をつけたい。

メディカル・ベネフィット リターンは本当に得なのか

健康還付給付金は一見すごくいい保険に見えるが、加入する際はよく考える必要がある。例えば、35歳に保険に加入をするとして、60歳に健康還付給付金を受け取るとする。その後平均寿命の82歳まで生きた場合の保険料の差額を考えてみる。

35歳時に「メディカル・ベネフィット リターン」は約4,600円で加入できる。35歳から60歳までの25年間で4,600円×12か月×25年=143万5,200円支払うこととなり、この金額が一度手元に戻ってくる。そこから82歳まで生きるとなると、保険料は一定のため、4,600円×12か月×22年=121万4,400円の支払いが必要だ。

受け取る時期を70歳にしたとすると、35歳から70歳までの35年間で4600円×12か月×35年=193万2000円支払うこととなり、この金額が一度手元に戻ってくる。そこから82歳まで生きるとなると、保険料は一定のため、4600円×12か月×12年=66万2400円の支払いが必要だ。

これを、35歳で約1800円で入れる掛け捨ての保険と比較してみよう。82歳までの47年であれば、総額保険料は101万5200円となる。上記の計算では、健康還付給付金の受取時期を60歳に設定してしまうと、結果的に高い保険料を支払うことになる可能性がある。70歳であれば得することになりそうだ。もちろん、払込保険料だけで比較するものではないが、せっかく保険に入るなら、なるべく損をしないように計算したいところである。

月々の保険料を安くするか、給付金をもらうか

メディカル・ベネフィット リターンは健康還付給付金という形でお金が還ってくるため、月々の保険料は割高になる。さらに、健康還付給付金をもらった後も継続加入する場合、長生きすればするほどトータルでの保険料が大きくなるというわけだ。平均寿命が延びている現在で、最終的に保険料が大きくなるのがどちらになるかわからないと考えるのであれば、直近で自由に扱えるお金が多くなる掛け捨ての医療保険をおすすめする。

迷ったらライフプランナーに相談を

ソニー生命は、保険だけでなく将来の資産計画の相談にも乗ってくれる「ライフプランナー」の評判が高い会社でもある。医療保険に加入するか迷っている場合は、一度相談してみるのも良いのではないだろうか。しかし、保険加入はライフプランナー任せにせず、最終的な判断は必ず自分自身で行うことが重要だ。しっかりと将来を見据え、自分に最適な医療保険を選んでいただきたい。

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