医療保険に加入している人は多くいるだろう。実際、生命保険文化センターの調査によると、医療保険への加入率は88.5%にものぼる。そんな医療保険だが、子供も加入する必要あるか疑問に思ったことはないだろうか?今回は、子供の医療保険のメリットや注意点を解説する。

菅野陽平
菅野陽平
株式会社ZUUM-A取締役。日本最大級の金融webメディア「ZUU online」副編集長。経営者向けメディア「THE OWNER」編集長。幼少期より学習院で育ち、学習院大学卒業後、新卒で野村證券に入社。リテール営業に従事後、株式会社ZUU入社。メディアを通して「富裕層の資産管理方法」や「富裕層になるための資産形成方法」を発信している。自身も有価証券や不動産を保有する個人投資家でもある。プライベートバンカー資格(日本証券アナリスト協会 認定)、ファイナンシャルプランナー資格(日本FP協会 認定)保有。

医療保険は0歳児から加入できる

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(画像=PIXTA)

医療保険とは、加入者が病気や怪我になってしまい、入院や手術、通院などをした時に保険金が下りる仕組みのことである。公的医療保険が賄えない部分を、民間の保険会社が厚い保障を売りにして商品化している。

そして、子供が加入する医療保険は、大きく2つに分かれる。一般的な医療保険と子供専用の医療保険だ。

一般的な医療保険に関しては、大人が入る医療保険と何ら内容は変わらない。以前は、年齢制限があり、子供は一般の医療保険に加入出来ないこともあったが、現在の医療保険の多くは、生まれた直後から加入出来るものが主流になっている。

子供専用の医療保険とは

子供専用の医療保険は、保険会社によって「キッズ保険」や「ジュニア保険」、「子供保険」などとも呼ばれている。

子供専用の医療保険にかかる保険料は安く、1,000円程度のことが多い。保険料は、何歳で入っても変わらないタイプが主流だ。加入できる年齢は、0歳から18歳までというものが多く、その後は大人と一緒の医療保険に切り替えることが出来る。

子供専用保険は、交通事故などで通院することになった場合も保険金が下りることが多い。子供の怪我を心配している親にとっては、通院保障は安心できるだろう。

さらに、一般的な医療保険の保障にプラスして、怪我での通院保障や本人の死亡保障があるものもある。中には、学費を同時に貯めていくことが出来る「学資保険」を兼ね備えた、いいとこ取りの保険もあるのだ。

とはいえ、本当に子供に医療保険は必要なのだろうか、メリット・デメリットを考えてみよう。

子供が医療保険に入るメリット

子供が医療保険に入るメリットは主に4つある。

安い保険料

何よりも、安い保険料で医療保険に入ることが出来る点は大きなメリットと言えるだろう。子供のうちから保険料が一生涯変わらない医療保険に加入すれば、将来的に安い保険料で保障を受けることが出来る。

子供が入院した時の差額ベッド代を補うことができる

次に考えたいのは、子供が入院した時に個室に入りたい場合だ。

子供が入院した際、個室に入って子供のそばにいたいと思う親は多いだろう。付き添って看病するなら、大部屋ではなくプライバシーの守られた個室を利用したいというケースは案外多いのだ。大部屋では、親が泊まって子供を看病することはなかなか難しい。

入院した時の個室利用は差額ベッド代と呼ばれ、公的医療保険では保障されない部分になる。子供が医療保険に入っていれば、入院日額保障で差額ベッド代を補うことが出来る。お金の心配せずに個室を選択し病気の子供に付き添うことが出来ることは大きなメリットだ。

貯蓄が多くないときの経済的な支えとなる

貯蓄が少ない場合、子供が病気や怪我で入院したときの経済的負担は非常に大きなものになる。また貯蓄が少ないと、ちょっとした風邪で病院に行くことをためらってしまうかもしれない。

病院に行くまでの交通費もかかる。さらに、子供が入院となれば親は仕事を休まなければいけない。

お金に余裕がないとこのような費用がとても大きな負担に感じるはずだ。医療保険に加入しておけば入院日額保障や通院日額保障を保険金として受け取ることが出来る。

経済的に余裕がない場合は、保険金で医療費を賄うことが出来るメリットは非常に大きいものになり、少ない保険料で得ることの出来る保障は大きな精神的安定につながるはずだ。

将来新たに医療保険に加入する必要がなくなる

保険料の安いうちに医療保険に入っておけば、大人になってから新たに医療保険に加入する必要はない。もちろん、大人になった時に、ものすごく内容の良い医療保険が発売されたら話は別だ。

しかしどんな内容の良い医療保険が発売されたとしても、子供のうちに加入した保険料が極めて安い医療保険をやめる必要はない。保険料が安いうちに医療保険に加入しておけば、一生涯の医療保障に対するベースを作ることになるのだ。

学資保険のおまけに

子供専用の医療保険の中には、学資保険の意味合いの強い商品もある。子供の将来の学費のために学資保険に加入を検討している人は、医療保険の付いたものを選ぶというのも安心感があっていいのかもしれない。

子供は医療保険に入るべき?

一見、多くのメリットがあるように見える子供の医療保険だが、そもそも子供に医療保険は必要なのか、よく考えることが大切だ。次の3点を踏まえた上で、加入するべきかどうか判断したい。

そもそも子供の医療費は無料

住んでいる自治体にもよるが、ほとんどの自治体では未就学児の医療費は自治体負担なことが多い。

例えば、東京の千代田区では15歳になるまで医療費は無料だ。少子化対策の一環にもなっているのだろうが、子供に対する自治体の助成制度は非常に充実している。

そもそも子供の医療助成が充実しているのだから、更に民間の医療保険に加入する必要性を感じられないという意見も少なくない。

子供が入院する確率は非常に低い

厚生労働省のデータによると、15歳未満の子供が入院する確率は、わずか0.17%に過ぎない。1,000人に1人か2人の計算だ。

そもそも子供が病気や怪我で入院する確率は極めて低いのに、更に民間の医療保険に加入するメリットは大きくないと言えるだろう。

扶養者がいるので充実した保障は必要ない?

そもそも、日本人が「民間の保険に入る」のはなぜか。その意味を考えると、子供が医療保険に加入するメリットは小さいとも考えられる。

保険とは、火事や地震の時に家にダメージを受けた時のためや、一家の大黒柱に万が一のことがあった時に必要な保障を得るために加入するものだ。

しかし、子供の医療保険の場合は、子供の病気に対しての保障の必要性は大きくない。そもそも保険に加入する必要性が薄いことは、子供が医療保険に入るデメリットということが出来る。

相続対策に効果的!プレゼントプランとは?

ここからは、富裕層の方が考えなければいけない相続税の対策に効果的な、医療保険の活用法について説明しよう。

相続税の現状

2017年には、1,340,497人の方が亡くなっている。そのうち相続税は亡くなった方の約8%が対象になっている。 東京都心部に限ると相続税を払う方は15%を越えるといわれている。以前に比べ相続税を支払う方の割合は非常に増えているのが現状だ。 理由は、「基礎控除」の金額が2015年に変更になったことが大きな影響を与えている。基礎控除とは、相続税を計算する際にすべての人に控除される額のことをいう。

2014年までは基礎控除の金額は、5,000万円+1,000万円×法定相続人だった。しかし2015年から基礎控除は、3,000万円+600万円×法定相続人に大幅に減額になっている。

もはやある程度の金融資産がある方について相続税の対策は考えなければいけないのだ。 子供の医療保険はこの相続税の対策に利用出来る。相続対策に利用出来る子供の医療保険は、一般的に「プレゼントプラン」と呼ばれる。

子供の医療保険のプレゼントプランとは

子供の医療保険のプレゼントプランとは、医療保険の保険料の支払い方法の1つである全期前納を利用することだ。

医療保険の一般的な保険料の支払い方法は、月払いもしくは年払いであることが多い。全期前納とは、一生涯にかかる保険料を一括で納めることをいう。

子供の医療保険を親が全期前納で納めることによって、子供は一生涯の保障を手に入れることが出来る。親は、医療保険に充てる保険料の分、金融資産が減るので、相続税の負担が軽くなるのだ。相続対策が必要な方にとってプレゼントプランは検討する余地は十分にあるだろう。

子供の医療保険が必要かどうかは考え方次第

公的医療保険が充実しており更に子供に関しては充実した保障がある日本の公的医療制度において、子供に医療保険は必要ないと考える方もいるかもしれない。

一方、子供が病気や怪我をしてしまい個室に入院させたいが、自己負担額が心配な方は、保険料の安い子供の医療保険に加入するメリットは大きそうだ。

子供の医療保険が必要か否かは、各家庭の経済事情やその方の考え方によって変わってくる。自分自身に置き換え、よく検討してみよう。

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