年々高齢化が進む日本において、医療機関にかかるケースも増加傾向にある。医療費は、何も保障がない状態で支払うと多額の費用が掛かってくる事が多い。国民皆保険制度のメリットやデメリットはあるのか、国民健康保険ではどのような保障が受けられるのかを解説する。

公的医療保険制度とは?

公的医療保険制度,医療保険
(画像=SewCream / Shutterstock.com)

公的医療保険制度は、日本国民である以上必ず制度に則った医療保険に加入している状態であると言える。職業、勤務先の会社によってどの保険に入るか異なる。民間企業に勤めている方であれば「社会保険」、自営業やフリーランスの方は「国民保険」が代表的な保険だ。「国民保険」は都道府県や市区町村が運営するが、「社会保険」は全国健康保険協会や企業の組合が運営する保険だ。「全国健康保険協会」が運営する保険を「協会けんぽ」と呼ぶ。 また、75歳以上の高齢者が加入する、公的医療保険制度である「後期高齢者医療制度」も理解しておこう。 3つの保険制度について以下の表でまとめているので是非参考にしてもらいたい。

  国民健康保険 協会けんぽ 後期高齢者医療制度
加入対象者 自営業やフリーランス・パート、アルバイト 民間企業の社員 75歳以上(および65歳以上で一定の障害のある方を含む)
加入要件 社会保険や組合保険に加入していない者
生活保護の認定を受けていない者
一年以上日本に滞在する事を認められた外国籍の者
雇用している事業主が協会けんぽに加入している場合
雇用されていた企業から退職し任意継続する場合(2年間)
75歳以上もしくは、65歳以上で一定の障害が認められる場合
医療費負担率 ・ 75歳以上の者は1割(現役並み所得者は3割。)。
・ 70歳から74歳までの者は、2割※(現役並み所得者は3割。)。
・ 70歳未満の者は3割。6歳(義務教育就学前)未満の者は2割。
国民健康保険と同じ 1割
(現役並み所得の世帯は3割)
保障内容 ・病気やケガをしたときの療養の給付など
・出産育児一時金
・埋葬料(費)
・病気やケガをしたときの療養の給付など
・傷病手当金
・出産育児一時金
・出産手当金
・埋葬料(費)
*被扶養者にも適用
・運営主体の各都道府県の広域連合によって異なる

上記のとおり制度によって加入要件や年齢・職業によって変わってくる為、自分がどの保険制度に当てはまるのか、また保障内容の違いもしっかりチェックしておく事が大切だ。 協会けんぽが全国まとめて一つの運営主体で成り立っているのに対して、後期高齢者医療制度では各都道府県の広域連合が運営主体となる。保険者の違いは住んでいる地域によって割り当てられるので、自分で選択する事が出来ない点も認識しておこう。 自分が加入できる要件をクリアすれば「国保」「協会けんぽ」「後期高齢者医療制度」3つの内、どの保険に加入するかは自分自身で選択する事が可能だ。

日本にはどのような医療保険が存在するのか

医療保険は大きく国民健康保険と社会保険の2つに分けられる。先ほど述べた通り、国民健康保険は基本的には誰でも加入する事が出来る制度に対し、社会保険は事業主が加入する保険である事から、個人事業主か企業に雇用されないと加入する事が出来ない点を理解する必要がある。ここでは二つに保険の違いや協会けんぽの詳細について紹介する。

国民健康保険(国保)

国保は、社会保険に加入していない場合や生活保護を受けていない場合を除き誰でも加入することの出来る公的医療保険だ。保険料が世帯ごとに計算され、前年の所得や加入者数、年齢を元に支払う保険料の額が決定される。社会保険と違って扶養の概念がなく、子を含めた世帯にいる全員が被保険者となるのが最大の特徴だ。

市区町村毎に構成されているので、自治体によって計算方法に若干の差異がある。地域内で公平な保険金額を算出する為に、所得割や固定資産の評価額を使った割合で計算する自治体も存在する。

全国健康保険協会(協会けんぽ)

協会けんぽは、事業主が加入する事で雇用された従業員が加入し、保険料の半額を企業が負担すると言うスキームがある。半額の自己負担分は、毎月の賃金から控除され毎月の社会保険料は企業が預かってまとめて納付する。協会けんぽのような社会保険には、扶養と言う概念があり年収130万円未満の家族であれば被扶養者として協会けんぽに加入される事が可能だ。

社会保険には公的医療保険の他にも民間の医療保険が存在し、企業によって加入している保険者が変わってくる。民間の保険者には、組合けんぽや共済組合など業種によって加入できる保険者が違う。

保障される医療行為を紹介

公的医療保険制度では、保障される医療行為について基準があり日常的な診療だけでなく入院時や高額な医療費などの負担金に対する制度が設けられている。逆に保障されない医療行為も存在するので、事前にどの医療行為が当てはまるのかを把握しておく事が重要だ。場合によっては、任意保険を適用させる事で負担金を軽減する手段も考えられる。

よくあるケースとして、整骨院での保険適用が問題視される事が多い。単なる肩こりや腰の疲れなどによる整骨院での施術は、公的医療保険制度の対象にはならず実費での支払いが必須となっている。しかし肩や腰を実際に痛めた事による施術に関しては、保険適用対象として判断される為、保険者への請求に関して直接被保険者へ確認の連絡が入る事も珍しくない。

異なる保険に加入していても保険が適用される医療行為はかわらない

保険の種類によって保険適用の医療行為が変わるように思うかもしれないが、基本的な適用範囲について大きく変わることはない。通常の医療費に関する割引や、入院時における給付金などの医療給付に関しては種類による違いはないものの、手当金の部分では社会保険の方が若干手厚い内容になっている。

そう言う意味でも公的医療保険に加入しているだけで、最低限の保障を受ける事が出来ると言えるので安心だ。更なる手厚い保障を検討したい場合には、任意保険と併用するなどの行為が必要になる。

協会けんぽに加入すると国保に比べて手厚いケアが受けられる

協会けんぽに加入する事で国保にはない手厚いケアを受ける事が出来る。前述のとおり基本的な医療行為に違いはないが、協会けんぽには傷病手当金や出産手当金の給付制度がある。傷病手当金は、療養の為に仕事を休んだ期間に日数に応じた給付金が支給される。出産手当金に関しては、産前産後で仕事を休んだ期間に対して支給される制度だ。

こうした制度は国保にはない制度なので協会けんぽの強みであると言える。それ以外にも被扶養者の制度がある為、同じ保険料で扶養者を含めて医療行為の割引を適用させる事が可能だ。国保には被保険者1人に対する保障になってくるので、協会けんぽの方が内容的にも充実していると言える。

国民健康保険の保障内容は?

国民健康保険の保障内容には、医療費の給付と手当金の支給が存在する。医療費の給付には、日常的な診療に対する割引負担や入院時の食事療養費、入院時生活療養費などが存在する。一方で手当金の支給には、出産時に受け取ることの出来る出産育児一時金や死亡した時の埋葬料がある。このように国保だけでも基本的な部分については、最低限の保障を受ける事が可能だ。

また1番懸念される高額な医療費がかかった時の保障についても、国民健康保険の制度の中で高額医療費を適用させる事が出来る。高額医療制度は、同じ月において医療費の限度額を超えた場合に、その相当額が還付される制度だ。医療費の限度額の基準も、所得によってかわってくるので平等性の高い仕組みとなっている。

全国健康保険協会の保障内容は?

協会けんぽの保障内容は、国保の保障に加えて傷病手当金や出産手当金などの支給を受ける事が可能になる。傷病手当金とは、療養などの理由で仕事を休業する必要がある際に、休業した暦日に対して日当が支払われる制度だ。ここでの日当とは、社会保険の標準報酬月額から計算されるもので、およそ給与の3分の2と言われている。

しかし標準報酬月額の計算方法は、4月から6月の給与総支給額から計算されるものなので、この間に一時的な給与変動があった場合には実態と異なる給付金額になる事も少なくない。出産手当金に関しても、日当から暦日を乗じて給付額が決定される。傷病手当金と異なる点としては、出産日から支給する期間をあらかじめ決定出来る点にある。出産手当金を支給する期間は、産前42日間と産後56日間に対して出産手当金の日当が支給される。協会けんぽは社会保険になるので、企業へ務める事が出来なくなる事に対して保障が手厚い傾向にある。

後期高齢者医療制度によって受けられる保障とは?

後期高齢者医療制度とは、高齢者が加入できる保険制度で医療費の負担割合が1割になる特徴がある。しかし高齢者の中でも現役並みの所得がある場合には、通常通り3割負担になる場合もあるので注意が必要だ。後期高齢者医療制度は、基本的に75歳以上の高齢者である事が加入要件となっているが、一定の障害を持っている場合に限り65歳以上の加入が認められている。

保険料は年金から支払われるので、収入がない高齢者でも手厚い保障を受ける事が可能だ。出来るだけ少ない保険料で多くの医療費を賄うように出来ているので、国や自治体からの公費の額が手厚い特徴がある。また後期高齢者医療制度の保険者は、都道府県に分布しているので手続きについて若干の違いがあるのも特徴だ。

都道府県毎に後期高齢者の広域連合が設置され、連合毎に手続きや申請が管理される。政令指定都市に関しても、所属する都道府県の広域連合へ参加する形で運営する。

公的医療保険制度を利用して快適な生活を送ろう

公的医療保険制度は、日本で最低限保障された医療に関する制度である為、国保に入っているだけでもいざと言う時に非常に助かる。医療費を実費で支払った場合には、かなりの高額になってくる事が多い為、医療保険制度がなければ日本人の健康状態は著しく劣悪なものになる事は想像に容易い。

普段から当たり前のように保険証を使っているので、病院へ支払う医療費がどのような位置にあるのかを意識する事は少ない。また一般外来以外の使い道についても把握している人が少なく、せっかく社会保険に加入しているにも関わらず申請しない事で給付金を請求できていないケースも多い。

公的医療保険制度を事前に調べておくだけで、いざと言う時の手助けになる事は間違いない。快適な生活を送る為には、自分の身に何かあっても安心して生活を保てる保障が出来ている条件が大切だ。国が定める制度は、複雑で内容的にも理解しがたいものが多い為、真剣に向き合う事も少ないが、これを機に今後の事を踏まえてチェックしておくのも良いだろう。

改めて公的医療制度の内容を確認し、できれば任意保険の内容とも照合してみる事が今後の事を考えれば得策だ。年々病気のリスクが増える事を考えれば、自分の為に準備をしておく意味で医療保険の内容を把握しておく事が重要だと言える。