米EV大手テスラのCEOとして知られるイーロン・マスク氏が7月、脳にチップを埋め込むインターフェースの開発状況をプレゼンしました。将来、考えるだけでスマートフォンの入力ができるようになるようです。この「脳テック」の全貌についてご紹介します。

イーロン・マスク,脳テック
(写真=J.Score Style編集部)

イーロン・マスク氏は2016年、脳とコンピュータを接続させる事業を手掛けるスタートアップ企業「Neuralink(ニューラリンク)」をアメリカ国内で設立しました。AI(人工知能)技術を駆使してテスラ車両の自動運転化を進め、宇宙事業も展開しているイーロン・マスク氏のこの事業は、いま自動車事業や宇宙事業と並んで世界から注目を集めています。

脳の信号をコンピュータで受信し、機器を操れるようにする技術は「BMI(ブレイン・マシン・インターフェース)」と呼ばれ、実現すれば体を自由に動かせない重度の障害者などにとっても有用なテクノロジーとなります。イーロン・マスク氏はこの分野に参入した形です。

イーロン・マスク氏は創業初期のころから、コンピュータ世界大手の米IBMなどから関連技術を有する技術者などを招いて有能な開発陣を多数揃えるなど、このBMIという先端技術の実用化を強力に推進する姿勢を示していました。

具体的な技術の実用化目標としては、4年で障害者向けの製品を、10年ほどで一般向けの製品を世に送り出すと語ったのが2017年ごろ、実用化は2020年ごろを見込んでいるとみられています。

今年7月に脳テック事業の構想をプレゼン

そんなイーロン・マスク氏が率いるNeuralinkは2019年7月、脳にチップを埋め込むインターフェースについてプレゼンを行い、その模様はメディアなどを通じてライブで全世界に発信されました。このプレゼンの中で、2020年を目途に人体での臨床実験を開始することが明らかにされています。

同社が最初に目指すのは考えるだけで直接文字をコンピュータに打てる技術で、この日のプレゼンでは実際に装着する製品のイメージも披露されました。イーロン・マスク氏は、レーシック手術のように簡単に、そして痛みなく埋め込みが可能だという風にも説明しました。

そのほか、将来的に脳からの信号を受けてさまざまな操作を実現するためのスマートフォン向けのアプリイメージも紹介されました。既にこのアプリは開発中とのことで、将来的には脳に埋め込むインターフェースとともにリリースすることが考えられます。

Facebookも参入、ベンチャーが続々誕生

このBMI技術に関しては、既にさまざまな企業が技術開発をスタートしています。その一つがFacebookで、専門チームを立ち上げ、脳を使うことでスマホ入力よりも早く文字を入力することができる技術の実用化を目指しています。

電子決済サービスを展開する米ブレインツリーの創業者も、BMI開発に力を注いでいます。シリコンバレーではBMIを将来的にビジネス化しようと既にさまざまなベンチャー企業が立ち上がっており、その波はいずれ日本にも波及するはずです。

ただBMIの実用化にはまだまだ時間もコストも掛かるのが現実です。BMI製品が具体的に売上をあげて企業の稼ぎ頭となる時代はまだ遠く、それまで研究開発を捻出し続けられる企業は決して多くはないでしょう。そのため、多くのVC(ベンチャーキャピタル)から支持され、大型の資金調達を成功させていけるかが鍵になってきます。

世界がイーロン・マスク氏に注目

脳テック、宇宙、自動運転……。先端技術に続々と手を出すイーロン・マスク氏の一挙手一投足に、世界が注目しています。イーロン・マスク氏はツイッターでの積極的な発言でも知られ、アカウントをフォローすればBMIに関する彼の考え方をもっと知ることができるかもしれません。(提供:J.Score Style

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