60を超える国・地域の参加者が優勝賞金1億円をかけて競いあう世界最大級のスタートアップピッチ・ビジネスプランコンテスト「スタートアップワールドカップ」の2020年大会の東京予選が11月に開催される。

今年は昨年に引き続き、「九州ロードショー」が開催され、ここから選出された4社が、東京予選および今回初めての開催となる大阪予選へ2社ずつ参加する予定だ。

予選開催に先立ち、10月3日、本コンテストを主催するペガサス・テック・ベンチャーズのアニス・ウッザマンCEO、審査員長を務めるアステリア株式会社の代表取締役社長 CEO 平野洋一郎氏らが、都内で会見を行った。

「世界のベンチャー企業にOpportunityを」

ZUUonline編集部
(画像=ZUUonline編集部)

ウッザマン氏は、会見において、今回のコンテストの目的の一つとして「世界のベンチャー企業にOpportunity(機会)を提供すること」を挙げた。これまで世界中で数万単位のスタートアップが、「スタートアップワールドカップ」に参加しているが、決勝や本選はもちろん予選を通じて資金調達やパートナーシップの機会が生まれることも多いという。

「昨年、ロシアのチャンピオンと話す機会がありましたが、彼らは優勝を逃したものの地域予選と準決勝を勝ち抜いたことで、充分な資金を調達できたと満足していました」(ウッザマン氏)。

また、主催であるペガサス・テック・ベンチャーズが多くの事業会社をパートナーとしていることから、「大手企業とスタートアップがコラボレーションすることで、『次世代企業』を創出していきたい」と語った。

続いて、審査委員長を務めるアステリア株式会社代表取締役CEOの平野洋一郎氏が登壇。

平野氏は、「令和という新しい時代になったが、これまで『失われた10年』『失われた20年』あるいは『失われた30年』などと言われてきた。その原因は、日本にスタートアップ、アントレプランナーが足りないということだと感じている」と指摘。

写真=ZUUonline編集部
(写真=ZUUonline編集部)

審査過程において、参加するスタートアップが成長を遂げていけるような7つの審査ポイントを紹介した上で、大会を通じて「日本のスタートアップシーンを盛り上げていきたい」と力強く語った。

あわせて、本大会をスポンサードしている各社から「特別賞」についても説明がなされた。

セガサミーホールディングス社は「セガサミーグループ賞」として投資資金5,000万を提供。

日本マイクロソフト社は「マイクロソフト賞」として同社のスタートアップ向けサービスを無償で提供するほか、事業提携のための相談機会も設けるという。

また、サントリー食品インターナショナル社も「サントリー賞」として同社と事業提携に関する面談・交渉の機会を提供する。

いずれも東京予選、大阪予選、九州ロードショーに応募するすべてのスタートアップが対象となっており、応募企業にとっては大きなインセンティブになりそうだ。

様々な社会課題の解決に取り組むスタートアップに支援を

写真=ZUUonline編集部
(写真=ZUUonline編集部)

「スタートアップワールドカップ」の初回となった2017年では、IoT技術を活用し、保育園に見守りロボットサービスを提供している日本代表のスタートアップ・ユニファが世界一となった。同社はこの大会を契機に10億円を超える資金を調達。数十カ国から問い合わせを受けることとなり、グローバルのアピールにもつながったという。

今回の会見に出席した代表取締役の土岐泰之氏は、先月27日に政府系ファンドや事業会社などから約35億円を調達したことに触れた上で、現在導入している保育園の施設数が6000を超えるなど、順調に事業が成長していると話した。

さらに資金調達以外に自社の採用にも影響があったと指摘。社内にはインドやバングラデシュ人のエンジニアが数多く在籍しており、グローバルに人材を採用していく上で、スタートアップワールドカップでの優勝が大きな意味を持ったという。

土岐氏は、「初代のチャンピオンに恥じぬように、今後も事業に注力していきたい」とし、その上で「我々が取り組んでいるもの以外にも様々な社会課題がある。その解決に取り組むスタートアップをサポートしてほしい」と訴えた。

 来年5月の本選には日本の学生を無料招待

写真=ZUUonline編集部
(写真=ZUUonline編集部)

平野氏が指摘しているように、日本のスタートアップシーンはまだまだ盛り上がっていく余地がある。

日本からユニファのような企業を今後も生み出していくために、ウッザマン氏は「若い人は、本大会にインスパイアされて、起業を志してほしい」と述べている。

そして、そのための取り組みの一環として、日本在住の学生100人を、スタートアップワールドカップ決勝観戦を含むシリコンバレー勉強合宿に無料で招待することを発表。今後は企業からの協賛を募り、さらに招待人数を増やす可能性についても言及している。

スタートアップワールドカップの「九州ロードショー」は10月5日に開催。東京予選(11月28日)および大阪予選(2020年2月6日)への応募や観戦はここから申し込める。

なお、本選は2020年5月22日、サンフランシスコで行われる予定だ。

Pegasus Tech Ventures
(画像=初回となった2017年は日本代表のユニファが優勝を果たした/提供:Pegasus Tech Ventures)