ラグビーワールドカップ(W杯)で日本代表の快進撃が止まらない。9月20日、日本は対ロシア戦を30対10で下し、続く28日の対アイルランド戦も19対12で「歴史的勝利」を飾った。さらに10月5日の対サモア戦も38対19で日本が勝利、怒涛の3連勝で決勝トーナメント進出に王手をかけた。筆者もテレビで観戦していたが、観客席を埋め尽くした日本代表の赤白の「桜ジャージ」が実に壮観だった。

ところで、東京商工リサーチによると日本代表の大躍進で「桜ジャージ」が品不足になっているとか。実はこの「桜ジャージー」を提供しているのが、ゴールドウィン <8111> の子会社カンタベリーオブニュージーランドジャパン(以下、カンタベリー)である。9月30日の株式市場では、日本が世界ランキング2位のアイルランドを下す「歴史的勝利」を受けてゴールドウィンが一時9500円と年初来高値を更新する場面も観測されている。

ラグビーW杯に限らず、株式市場ではオリンピックやプロ野球などスポーツイベントを手掛かりに「関連銘柄」が人気化することが珍しくない。そこで今回はゴールドウィンを中心に「ラグビーW杯関連銘柄」の動きを振り返ってみよう。

桜ジャージーの人気沸騰、W杯特需は20億円?

Faiz Azizan / shutterstock, ZUU online
(画像= Faiz Azizan / shutterstock, ZUU online)

カンタベリーは、もともとニュージーランドのスポーツアパレルブランドで同国のラグビー代表チーム「オールブラックス」のユニフォームを1925年から1999年まで提供していた。1997年からは日本代表ラグビージャージのオフィシャルサプライヤーを務め、2002年にはゴールドウィンの100%子会社となった。

カンタベリーの売上は2015年3月期までは25億円前後で推移していたが、前回(2015年)イングランドで開催したラグビーW杯で日本代表が優勝候補の南アフリカを倒す「世紀の番狂わせ」を演じたことで人気となり、2016年3月期の売上は30億円に増加した。当時のラグビーW杯特需はカンタベリーの売上を25億円前後から30億円へ、約5億円押し上げたと推察される。

今回のラグビーW杯は日本開催ということもあり、カンタベリーは日本代表の「桜ジャージ」の生産数を前回の15倍に増やし、売上で50億円を目指すとしている。ゴールドウィンは「桜ジャージ」の生産・販売数を公表していないが、東京商工リサーチは「すでに20万着が販売された」との見立てを示している。レプリカジャージーが1着1万円程度とすると「桜ジャージ」の売上はざっと20億円になる計算で、カンタベリーの売上を前回(イングランド大会)以上に押し上げる可能性が濃厚と見られる。

ノースフェイス好調、W杯特需で業績上乗せ?