(本記事は、敷田憲司・徳井ちひろの著書『KPI・目標必達のコンテンツマーケティング 成功の最新メソッド』エムディエヌコーポレーション2019年10月1日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

Webマーケティング施策の種類

なぜコンテンツマーケティングが 注目され続けるのか?
(画像=KPI・目標必達のコンテンツマーケティング 成功の最新メソッド)

世の中には、たくさんの種類のWebマーケティング施策が存在します。ただ「流行っているからコンテンツマーケティングを行う」のではなく、数多くの施策についてきちんと熟知した上で、それぞれの場面で適切なコンテンツマーケティングを選択できるようにしましょう。

01 Webマーケティング施策リスト
(画像=KPI・目標必達のコンテンツマーケティング 成功の最新メソッド)

コンテンツマーケティングと共存するマーケティング施策

WebサイトやSNSは、いわばコンテンツの集合体です。コンテンツマーケティングと共存関係にある施策もたくさんあります。

□ SEO

SEOは、コンテンツマーケティングと共存関係にあります。検索エンジンは、ユーザーにとって有益な情報提供をすることをミッションとしているため、情報が豊富なサイトを高評価します。

技術的なSEOの実装ももちろん非常に重要なのですが、SEOで上位表示したいキーワードがあったとしても、受け皿となるコンテンツが無ければ施策のしようがありません。そのため、SEOを成功させるために、コンテンツは必要不可欠なのです。

SEOは広告ではないので、一度軌道に乗ってしまえば、費用をかけずに集客することができるのが大きなメリットです。デメリットとしては、専門的な知識が必要となるため、自社で専門スタッフを雇ったり、外部に外注する必要があり、初動に費用がかかることです。

□ ソーシャルメディアマーケティング

TwitterやFacebook、InstagramなどのSNSの運用は、ユーザーとのコミュニケーションを取る上で非常に重要になってきています。最近では、企業アカウントが一般ユーザーと交流している光景を見ることも多いですね。WebサイトのコラムをSNSで発信したり、動画コンテンツを用意して配信したり。SNSでの活用という面でもコンテンツマーケティングは非常に重要です。

ソーシャルメディアマーケティングのメリットは、よりユーザーと近い視点でコミュニケーションを取ることで、ユーザーの心理的ハードルを下げられるという点です。良い印象を与えることができれば、ブランディング効果が得られます。しかし、運用工数がかかるため、専任担当が必要だったり、炎上リスクと常に隣合わせだということがデメリットとして挙げられます。

□ リターゲティング

サイトへの訪問履歴があるユーザーに限定して広告配信ができる広告メニューです。一度離脱したユーザーを改めてサイトに誘導することができるため、刈り取りに強いというメリットがあります。しかし、そもそもサイトへの訪問が少ない場合、配信母数が確保できないというデメリットがあります。

別視点で考えるべきマーケティング施策

コンテンツマーケティングだけでは実現が難しい目標も、もちろんあるでしょう。ここでは、コンテンツマーケティングとは別視点として考えるべきマーケティング施策について、コンテンツマーケティングとの比較とあわせて紹介していきます。

□ 広告全般

集客分野で特に活躍するインターネット広告は、設定をすればすぐに出稿可能なため、成果が出るまでのスピードに大きなメリットがあります。また、表示される場所や表示される内容をある程度コントロールできることも大きな強みです。デメリットとしては、多くの広告で表示枠をオークション形式で競り合っているため、競合の多い企業の場合、多額の費用がかかることです。また、費用はすべて広告費用として媒体に支払うことになるため、費用投下をやめれば、成果は0に戻ってしまいます。

その点コンテンツマーケティングは、制作した後のコンテンツがWebサイト上に資産として残っていくため、ある程度の費用をかけてコンテンツを作ってしまえば、半永久的に効果が持続されます。

□ LPO・EFO

LPOやEFOは、CVR(お問い合わせ率)を改善する上で非常に重要な要素です。コンテンツマーケティングでは、ユーザーの“気持ち”をどんどんCVに向けて育んでいくことはできても、機能的な“お問い合わせしやすさ”の部分には関与できません。メリットこそあれ、デメリットはひとつもありませんので、LPOやEFOなど、ユーザビリティにもきちんと目を向けましょう。

02 LPOとEFOのイメージ
(画像=KPI・目標必達のコンテンツマーケティング 成功の最新メソッド)

コンテンツマーケティングが注目され続ける理由

さて、ここまで代表的なWebマーケティング施策のメリット・デメリットを紹介してきました。コンテンツマーケティングと共存するマーケティング施策がとても多かったことからもわかるように、コンテンツはすべての施策の肝となる重要なものだと理解いただけたでしょうか。ただしそれだけではなく、時代的な背景からも、コンテンツマーケティングが注目され続ける理由があります。

広告費用の高騰

先ほども羅列したように、Webマーケティングにはたくさんの種類が存在しますが、費用をかければすぐに成果が出る広告を安易に選択する企業も増えています。目にする広告の量が増えたことで、ユーザーのネットリテラシーは年々上がってきており、広告に対しての警戒心も強くなっています。また、スマートフォンでは広告のブロック機能も増えてきています。そういった背景から、CPAが高騰し、従来の広告手法では費用対効果が合わなくなってきているのです。

広告だけに頼りすぎると、競合の新規参入や市場の変化など、広告がうまくいかなくなったタイミングで痛い目を見ることになります。そのため、サイトの自力を高めるコンテンツマーケティングに注目が集まっているのです。

検索エンジンのトレンド変化

検索エンジンができた当初のSEO施策は、ブラックハットSEOと呼ばれ、現在の施策とは大きく異なるものでした。人工的な外部リンクが隆盛を極め、とにかくリンクを多く張ったもの勝ちという時代でしたが、この10年の間で検索エンジンも大きく進化してきました。検索エンジンが外部リンクの取り締まりを強化し、良質なコンテンツをより多く網羅的に掲載するWebサイトを評価するようになったのです。このように検索エンジンのトレンドが変わったことで、多くのWebマーケターは、コンテンツマーケティングに取り組まざるを得なくなり、多くのコンテンツが公開されていきました。

SNSやキュレーションメディアの普及

TwitterやFacebook、Instagramなど、日本でも多くのSNSが普及し、ユーザーが自分自身の手でコンテンツを拡散する時代になりました。

また、インターネット上に公開されている情報を特定の切り口で収集し、まとめなおして公開する「キュレーションメディア」もユーザーの生活に溶け込み、欠かせない存在になりました。恋愛やグルメ情報だけを集めたキュレーションメディアなど、知らず知らずのうちに活用している方も多いのではないでしょうか。

このように、良質なコンテンツを作ることにより、より多くの宣伝効果を得られるようになったことも、コンテンツマーケティングが注目される理由のひとつだといえます。

ユーザーに見つけてもらうマーケティング手法だから痩せ型の人にダイエット商品の広告を出し続けても購入してはもらえません。「この広告ウザい」と思われてしまうだけでしょう。しかし、体型が気になり出した人であれば、「商品の詳細を知りたい」と思うかも知れません。しかし、Webの世界の中では、インターネットを利用するその人が、痩せているのか太っているのかを判断する術がありません。過去の商品閲覧履歴などから、興味関心をある程度予測することができても、100%正確な情報ではないのです。

しかし、コンテンツマーケティングをうまく活用することができれば、ユーザーの検索行動からアプローチを開始でき、適切な人に必要な情報を届けることが可能です。これだけ多くの広告手法がある中で、コンテンツマーケティングがここまでユーザーの心を惹き付けるのは、企業が伝えたい情報を一方的に発信する従来の広告手法とは異なり、「ユーザーの方から見つけてもらう」マーケティング手法だからです。

03 従来の広告手法とコンテンツマーケティング
(画像=KPI・目標必達のコンテンツマーケティング 成功の最新メソッド)

SEOとは
SEO(Search Engine Optimization)は、「検索エンジン最適化」という意味です。Googleなどの検索エンジンで、検索結果の上位に出るようにするための施策を「SEO対策」と言います。

*SEOは、“複雑で、簡単になってきている”と言われています。検索エンジンがどんどん賢くなってきているため、単純な作りのサイトであれば、そこまで深く気にせずとも、検索エンジン側がサイトの構造を理解して、コンテンツを評価してくれます。しかし、だからこそ、大規模ECサイトや複雑な検索システムを持つようなサイトの場合、検索エンジンを混乱させてしまうことがあるため、SEOの細かい知識が必要になるのです。

リターゲティングとリマーケティング
実は、どちらも訪問ユーザーに対して広告配信を行う広告メニューです。違うのは媒体だけ。Yahoo!での名前がリターゲティング。Googleでの名前がリマーケティングなのです。

*広告だけで初回接触の母数を集めるのではなく、SEOやコンテンツマーケティングなど、自然検索周りの施策と組み合わせると費用対効果が高まります。例えば、配信母数を確保するため、集客用のコンテンツで広く初回接触を持ち、サービスへの誘導にリターゲティング広告を使用するという手法は有効です。

*インターネット広告には、たくさんの種類があります。例えば、検索エンジンの上部に「広告」として出てくるリスティング広告、Webサイトやアプリなどに出てくるアドネットワーク広告、TwitterやFacebookなどに出て来るSNS広告などがあります。

*コンテンツマーケティングは、成果が出るようになるまでには時間がかかるため、短期間で成果を出したいキャンペーン施策などについては、広告で施策を行った方が良いでしょう。

LPO/EFO
LPO(Landing Page Optimization)は、「LPの最適化」という意味です。LP(ランディングページ)の構造や内容を改善して、よりCVを増やすための施策のことを指します。

*EFO(Entry Form Optimization)は、「入力フォーム最適化」という意味です。お問い合わせ・資料請求・会員登録などのフォームを改善して、よりCVを増やすための施策のことを指します。

ランディングページ
ランディングページ(Landing Page)とは、閲覧する人が検索した結果や広告などをきっかけに、最初にアクセスするページのことを指します。

CPA
CPA(Cost Per Action)は、ユーザー1人あたりの獲得単価を表す指標です。例えば、10,000円の広告費をかけて10人のCVを獲得した場合、CPAは1,000円となります。

アルゴリズム
検索エンジンのアルゴリズムとは、検索エンジンにおける検索結果の順位を決定付けるためのプログラムのことです。

KPI・目標必達のコンテンツマーケティング 成功の最新メソッド
敷田憲司(しきだ・けんじ)
Webマーケティング専門コンサルタント。大学卒業後、メガバンクのシステム部に9年以上常駐し、後に大手SEO会社に転職して独立。コンテンツの企画・作成も手掛け、ライター業もこなす。
徳井ちひろ(とくい・ちひろ)
大学卒業後、新卒としてディーエムソリューションズへ入社。トップセールスとして営業をこなし、3年目にはマーケティング担当に抜擢され、自社メディアの運営や、展示会・セミナーの運営、リスティング広告の運用、MA・SFAを使ったリードナーチャリングなどのマーケティング分野に尽力。2019年にMA「SATORI」のエヴァンジェリストに選出される。オウンドメディアの流入を3倍、リード数を10倍にするなどの成果を上げ、多くのメディアで取材されている。

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