月会費や年会費を支払うことで、企業が提供するコンテンツが使い放題になるサブスクリプションサービスは、私たちの日常生活に深く浸透しています。迅速な配送や、映画・ドラマが見放題のAmazonプライム、動画配信サービスのNetflix、本が読み放題のKindle Unlimitedなどがこのサブスクリプションサービスにあたります。
サブスクリプションサービスには無料トライアル(無料お試し期間)がつきものです。この無料トライアルに登録したけれども内容が気に入らず解約を決断。ところが解約を忘れ、そのまま有料会員へと移行し支払いが積み重なっていった経験がある人は少なからずいるのではないでしょうか。そうした「無駄な支払い」をなくすためのサービスがアメリカで生まれ、いま大きな話題となっています。
広がるサブスクリプションサービス。でも管理が大変?
月額払いや年額払いのサブスクリプションサービスの市場は拡大・成長しています。2018年には5,600億円を超え、2023年には8,600億円を上回る市場規模になることが予想されています。当初、Netflixなど動画配信から始まったサブスクリプションサービスですが、今ではそれ以外のサービスも見られるようになっています。
たとえばソニーはプレイステーションのオンラインゲームが月額料金で楽しめる「PS Plus」を2010年6月から展開し好調を維持しており、トヨタは自動車のサブスクリプションサービスを提供するため2019年2月に新会社「KINTO」を設立しています。この流れは今後加速し、「あらゆる分野でサブスクリプション化」が進むことが予想されます。
こうしたサブスクリプションサービスは、ユーザーにとってはものを所有するのではなく、必要に応じて自由に使うことができるというメリットがあります。しかし、サービスが増えるほどに、管理が難しくなる、煩わしくなるという問題がでてきます。
サブスクリプションサービスの無料トライアル期間などが、それにあたるでしょう。解約することを忘れ、そのまま有料会員として登録されていた経験は誰でも1度や2度はあるのではないでしょうか。そうした解約忘れを防ぐ手段として、アメリカで生まれたのが「DoNotPay」というサービスになります。
解約忘れを防ぐサービスが登場
少額の支払い請求を取り消すための自動サービス「DoNotPay」を生み出し、創業したのは22歳の若き起業家ジョシュ・ブラウダーです。ブラウダーは、使っていないジムの会費を1年以上支払い続けていたことがきっかけで、このサービスを開発しました。
DoNotPayの仕組みは非常にシンプルです。DoNotPayはバーチャルなクレジットカードであり、DoNotPayに登録するとフリー・トライアル・カードが発効されます。このカードはサブスクリプションサービスを利用するときに使用します。
フリー・トライアル・カードを作る際に入力する住所、名前、メールアドレスは、架空のものを入れます。トライアル期間が終われば、自動的に支払いが止まり、ユーザーは無料トライアル以降の会費の支払いを回避することができるという仕組みです。
ただ、この新しいサービスにはリスクがあります。DoNotPayはカードを発行するのに地方銀行のネットワークを使用しています。ビジネス・クレジットカードを発行している銀行は、このサービスを利用しているユーザーについて何も知らないため、何らかの問題が生じ、支払いが必要な場合、DoNotPayが払うことになるもしれません。またビジネス・クレジットカードのこのような利用は、詐欺にあたるのではないかと懸念する金融の専門家もいます。
しかし、サービスとしては非常に画期的であり、多くの投資家たちから注目を浴びています。実際、2019年7月には460万ドルの資金を調達するなど、今後ビジネス規模を拡大していく見込みです。
同様のサービスは日本で生まれるのか
DoNotPayの仕組みは、金融サービスを使った仕組みになります。日本で同様のサービスを作ろうとした場合、日本の金融機関が、お金を一切生み出さず、トラブルの可能性があるカードの発行を認めるかどうか定かではありません。
アメリカでもグレーな部分が多いため、日本で同様のサービスが生まれるのは、こういった部分がクリアになってからでしょう。
DoNotPayの今後に注目
サブスクリプションサービスが拡大していく中で、このような「サブスク解約サポート」的なサービスはニーズがあり、今後トレンドになる可能性があります。一方で、DoNotPayのようなサービスは、金融機関との関係という面でリスクがあり、拡大していけるかどうかについては疑問が残ります。同様のサービスが日本で生まれるのか、今後に注目が集まります。(提供:J.Score Style)
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