(本記事は、清水久氏、須崎雄介氏の著書『挑戦と成長を諦めたくない人の目標達成術』合同フォレスト、2019年7月12日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

余計なものをブロッキング

自分を変える
(画像=Gustavo Frazao/Shutterstock.com)

●泥棒を撃退しよう

新しい目標に挑戦するときや、自分を変えていくことを決意したとき、周りの理解が得られるかどうかを懸念する人がいます。「そんなことやめたほうがいいよ」と、良かれと思ってあなたの挑戦を阻もうとする人たちがいるのも事実です。

彼らは「夢泥棒」とか「ドリームキラー」と呼ばれていて、厄介な存在です。安定志向から発するもので、悪意なくあなたの夢を奪っていきます。

止めようとする周りの人も夢泥棒、「理解してもらえるだろうか」というあなた自身のネガティブな思考も夢泥棒、ダラダラと無為にテレビ観賞やスマホいじりをしているなら、これらも時間泥棒であり夢泥棒です。

これら雑音を寄せ付けない心意気は常に持ち続けたいものです。

私自身、結構だらける癖があり、つい楽なほう、安定しているほうへと考えが向かいがちです。しかしそれでは変わることができませんし、新しい目標に向かっていく姿勢を保つことはできません。

夢泥棒は至るところに潜んでいますが、撃退することも簡単です。「自分は変わるんだ」「目標を達成するんだ」という信念さえ強く持っていれば、どんな夢泥棒も寄せ付けません。

私も、つい気が緩んでしまいそうなときは、常に自分の目標を思い出します。気持ちを高めて、さらに目標へ突き進んでいく姿勢を強めていきます。泥棒退治のためにも、気持ちを高ぶらせてくれる目標はいつもそばに置いておきたいものです

●後悔しない選択をしよう

あなたの熱意や行動意欲をせき止めてしまっているものを徹底的に取り外していきましょう。

私の願いはただ1つ。変わりたいのであれば、小さいことからでいいので、動き出してほしいのです。すべてをやらなくてもいいのです。気になったものから順々に生活の中で取り入れてください。

死を目前に控えた患者が漏らす「後悔の第1位」は次のような後悔です。

「誰かの期待に応えるためではなく、もっと自分らしく生きていればよかった」

誰かの期待、「こうしたほうがいいよ」「これはしないほうがいいよ」といったアドバイスは、時に余計なノイズにもなり得ます。誰かの期待や助言に従い続けた人生を送った人は、自分の思うようにチャレンジしなかった人生を悔やむのです。

その期待や助言にあなたも同調でき、ワクワクと前向きな気持ちで前進できるのであれば、あなたはよりあなたらしい人生を歩めていることになります。しかし、その期待や助言に対して心のどこかで引っ掛かりを感じ、違和感を抱いたのであれば、その人生はあなたにふさわしくない間違った人生だということになります。

違和感を抱きながら生きているのであれば、余計なノイズから身を守り、自分らしい人生を歩めるよう軌道修正する思考に変えていきましょう。死の間際で後悔の波にのまれないためにも。

「習慣化」で価値観を変える

●価値観とは「当たり前」と思っているもの

価値観とは、実のところ生活に密着したありふれたものです。私たちは皆、それぞれの持つ価値観に従って、その日の過ごし方、そして人生の歩み方を決めています。

それではあなたは、価値観というものをシンプルな言葉で説明できるでしょうか。さらに具体例として、あなた自身が持っている「これだけは譲れない」という価値観を1つ挙げることができるでしょうか。

そう尋ねられると、ポンとすぐには出てこないですよね。生活密着型でありながら、その正体をなかなか突き止められないのが価値観です。

まず、価値観を私なりの言葉で分かりやすく表現すると「自分が当たり前だと思っていること」です。当たり前であるという前提で毎日を過ごしているから、とっさに説明したり具体例を挙げたりすることができないのも仕方のないことです。

よく価値観の食い違いが理由で別れる夫婦や、解散する音楽バンドやお笑いコンビがいます。価値観の食い違いといわれても、ぼんやりしていて何とも腑に落ちないですよね。

そもそも価値観が食い違っている間柄ならば、結婚したりコンビを組んだりしなければよかったのではないかという気もします。

しかし価値観はお互いが当たり前だと思っているため、長く行動を共にしていないと見えてこないものです。ですから、時間差をつけてから、人と人の間に亀裂を生じさせてしまいます。

たとえばお金の価値観です。1回のランチにかける妥当な金額はいくらでしょうか。

答えは人によってさまざまでしょう。住んでいる場所やしている仕事、育ってきた環境や今の生活状況など、さまざまな要素が価値観を構築し、ランチにかける「これが当たり前」という金額イメージを生み出します。

結局のところ、何を自分が重視しているか、その順序によって金額に違いが出てきます。

夫が「ランチは高価格帯で豪勢に食べたい」タイプに対し、妻が「出費をできるだけ抑えて他のことにお金を使いたい」節約派であれば、ここで価値観の違いが生じてしまい、関係に亀裂が走ってしまう一因となります。ランチだけでなくあらゆる買い物のたびにこのような価値観の違いが生じてしまえば、お互いの距離をどんどん広げてしまいます。これが長い期間積み重なれば、離婚に至ってしまうこともあるでしょう。

このような事態を避けるためには、本来であれば事前に話し合いの場を設けて、お互いが重視している価値観を確認し合わなければいけません。しかし冒頭の通り、自分自身でさえ自分の価値観が分かっていない人が多いのです

人生において、自分が何を当たり前に重視しているのか。なかなかとっさに口に出せない自分の価値観を、私たちはあらかじめ明確にしておくべきです。

●習慣が価値観を生む

そもそも、自分が当たり前だと思って無意識に思考や行動の根幹としている価値観は、どうやって生まれたのでしょうか。

価値観を生む源。それは習慣です。

毎日部屋の掃除機がけをしていたのを、ある日を境にして週に1回へと減らしたら違和感を抱くでしょうし、日に日に部屋が汚れていくことが気掛かりで、今すぐ掃除機をかけたくてうずうずするかもしれません。

これは毎日の掃除機がけを習慣として実践し、自分の当たり前の価値観として完成させていたからです。完成していた習慣を突然崩したら、心身のバランスを崩し居心地の悪さを嫌というほど実感することになります。

私の場合、怒るよりも褒めて育てる教育方針の、あまりしつけには厳しくない家庭に育ったこともあって、マナーがあまり行き届いていない部分がありました。たとえば、食べ終わった茶わんにご飯粒がいっぱい付いて残っていてもまったく気にしなかったのです。

小さい頃からの習慣が定着して、そのような価値観が出来上がっていました。

それを社会に出てから身近な人に指摘され、「このままではまずいぞ」と徹底的に矯正するようにしました。

最初は意識して実践し、習慣化させていきました。今では茶わんに1粒でもご飯が残っていたら気になるくらい、「ご飯は残さずきれいに食べる」という習慣が定着しています。

私はこれ以外にも、大人になってから改変したマナーがいくつもあります。習慣化させて、価値観を変えることで、私は成し遂げていったのです。

●価値観を変え目標達成

目標達成への第一歩。それは価値観の見直しです。

「痩せる」という目標を立てたら、まずは自分の習慣を見つめ直すことから始まります。

炭水化物を摂取し過ぎているのであれば、週1回炭水化物を抜くという習慣を生み出し、新しい価値観として植え付けることが大切です。慣れるまでは違和感を抱くかもしれませんが、きちんと習慣化されれば、逆に炭水化物を抜かないと気持ちが悪くなるはずです。これが新しい価値観の芽生えた合図となります。

価値観さえ備われば、後は自動的に、週1回炭水化物を抜いた分だけ体重が減って目標達成となるでしょう。さらに体重を落とす目標を立てるなら、週2回に増やしてみたり、1日に歩く量を増やしたりなど、次の新しい習慣を作って、価値観へと成長させていけばいいのです。

そこで、今の自分を変えていくためには、今自分が当たり前だと思っている価値観が何なのかを突き止める、自己解析から始めないといけません。そして、目指す目標からずれた価値観や障壁となる価値観を持っていたら、まずはこの価値観自体を変えていかないといけません。

挑戦と成長を諦めたくない人の目標達成術
清水久(しみず・ひさし)
株式会社NEOSHAKEHANDS代表取締役社長。自由が丘産能短期大学経営管理コース卒業。ジュエリー業界やブライダル業界、人材業界などを経て、2016年に独立。2017年にセミナー講師へ転身し、主に経営コンサルティングやセミナー、講演活動を精力的に行うほか、出版事業や教育事業なども行う。
須崎雄介(すざき・ゆうすけ)
株式会社KEYOFLIFE代表取締役社長。青山学院大学文学部心理学科(現教育人間科学部)卒業。学校法人で専門学校教員として7年間勤務。2016年に起業・副業のコンサルタントとして独立。その後、保険代理店の経営、不動産事業なども手がける。

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