(本記事は、清水久氏、須崎雄介氏の著書『挑戦と成長を諦めたくない人の目標達成術』合同フォレスト、2019年7月12日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

無駄をなくして無理をしない

5段階
(画像=Hyejin Kang/Shutterstock.com)

●過熱に注意

目標達成にあたって、無駄なことはできるだけ排除すべきであることは、これまでにもいくつかの切り口から伝えてきました。

ただ、ここで基本に立ち返って気を付けたいのが、目標達成が楽しくてつい熱中し過ぎてしまう点です。

もしくは、嫌なことであっても「目標達成のためだから」と無理をし過ぎて、心身に大きな負担を掛けてしまう人もいます。

当然のことですが、無理をし過ぎてはいけません。無理がたたって倒れてしまったら元も子もありませんから。

疲れを翌日に残すことも歓迎できません。人は朝起きてからの数時間が、最も頭がクリアで作業がはかどります。この時間に「疲れが残ってるなあ」とボーッと過ごしてしまったら、これこそ無駄の極みです。

いくら楽しいことであっても、無理は禁物、加熱し過ぎな気持ちにブレーキを掛けることも時には必要です。

無駄や無理をなくすため、第4章の最後で紹介した行動計画表は、詳細かつ正確に作成しておきましょう。

仕事であれば上司や取引相手、プライベートなら家族や知り合いから、無理なお願いをされることもあるかもしれません。相手の立場からすると、あなたならできると思って頼んでいるのかもしれませんが、あなたが無理だと感じたらきっぱりと断るか、期限を延ばしてもらうか、他の誰かにも協力してもらうことを考えましょう。

辞退や延期をするときは、きちんと理由を添えるのを忘れないでください。これまであなたと相手との間に信頼関係が築けていれば、「君が言うなら仕方ない」と問題なく許されるはずです。第2章で紹介した「温かい人になる」ことを日々意識していれば、より信頼関係は高まっています。

●「無駄」と「無理」が「ムラ」を生む

半日集中してやればできることを1週間かけてダラダラとやってしまったり、10時間はかかる作業を3時間でやれと命令されたり。

こういった無駄や無理は絶対にしないようにしましょう。

無駄や無理が続くと、ムラが出来上がってしまいます。ムラは目標達成の大きな妨げです。

目標に向けて一直線に進むのではなく、フラフラ蛇行運転で向かっているようなものです。思いがけない壁にぶつかって目標達成が困難になることもありますし、できたとしても想定していた以上に時間がかかってしまったりと、安定感を失ってしまいます。

ムラのないよう、常に「0」の状態で真ん中を歩んでいけるようなバランス感覚が肝要です。この意識を忘れないでおいてください。

しかし、いくら意識していても、無駄や無理は少なからず生じてしまいます。その道のプロであっても、ムラが発生してしまうものなのです。

その時に一流の人たちは、いち早くムラの生じている自分に気付き、修正しバランスを取り直そうと試みます。**「無駄なところや無理なところはないか」と自問自答し、自己の習慣を振り返り、トライ&エラーでより目標達成へのプロセスを磨いているのです。

無駄や無理がないか、定期的に振り返る癖をつけましょう。習慣化することで、ムラなく常に一定のリズムで目標へと進むことができます。

楽しみながら「結果を出す」までの5段階

●結果は継続して出す

いよいよ総括的な局面へと入ります。

まず、「結果」を出すには、5つの段階を経ています。

それは「無意識」「意識」「思考」「実践」「習慣」です。

まず結果について1つ提案をしておくと、大小に関係なく、とにかく結果を継続して出し続けることが大切です。それはつまり、こまめにたくさんの目標を立てて、達成感を繰り返し味わってほしいということです。

こうすることで、1つ結果を出すごとに「無意識」「意識」「思考」「実践」「習慣」の5段階を経験することになります。継続して結果を出すことで、よりこの5段階を体と脳になじませることができ、常に目標達成と結果を求める思考を持つことができるのです。

さらに目標達成の事実が、成功体験としてあなたの自信のかけらとなってくれます。

結果を継続して出すことはいいこと尽くしというわけです。

●無意識と意識

人は結果が出ると自信がつくとともに喜びや楽しさを感じ、また同じ快楽を求めて、無意識に次の結果を求めるようになります。これが、繰り返し結果を出すまでの第一段階にあたる「無意識」の部分です。

私が会社員だった頃の話です。結果が出せていて楽しくて仕方がなかった頃、間違えて休みの日に出社したことが2回ほどありました。次の結果を求めるあまり、その日が何曜日なのかも考えず、毎朝歯を磨くのと同じくらい無意識に出社していました。

このくらい自然に楽しく結果を求めるようになると強いです。何も考えなくても実績と実力が蓄積されていくのですから。

動き出すきっかけは無意識から始まるとして、「意識」においてもやっておきたいことがあります。結果を出すための第2段階です。

意識でやっておくことは、ここまでの内容を読んできた方なら予想できるかもしれませんが、イメージすることです。

目標をセッティングするときだけでなく、目標に向けて頑張っているときはもちろん、少し心がくじけてしまいそうになったときにも、意識的にイメージしてみてください。

このとき、五感を駆使することでよりイメージに具体性が増し、目標達成へのワクワク感も増大します。

視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚、これら感覚を用いて、目標達成後の自分を想像してみてください。加えて、それらの感覚を得たときの自分のリアクションや感情も心の中に描いてみるといいでしょう。

●「住んだら絶対成功する」マンション

私の場合を例に取ります。

私の大きな目標の1つは、都内のとある高層タワーマンションに住むことでした。芸能人や有名経営者が住んでいて、厳しい審査を通らないと住むことが叶かなわず、駆け出しの私では手が届きそうもないところでした。

しかし、どうしても、今すぐ、私はそこに住みたかったのです。

「ここに住むことができれば、きっとすべてがうまくいく。私の仕事は絶対に成功する!」

部屋を内見したとき本気でそう確信しました。そして室内の間取りやバルコニーからの景色などを記憶に焼き付けたのです。

それからは毎日、マンションに住むのが叶った後の自分を想像しました。バルコニーで朝焼けを臨む自分。ソファにゆったりくつろいでディナーとワインを楽しんでいる自分。

五感をフル活用させてイメージを爆発させたのです。

審査を通る確率が1%でも上がるために自分にできることがないか懸命に模索し、仲介してくださった方とあらゆる対策を講じ続けました。

結果、奔走の甲斐あって審査に通過し、私はイメージを現実化させることに成功したのです。報告の電話を受けたときは、場所も考えず思わずガッツポーズしました。

意識は次への行動の原動力になります。しかも自分の中から無限に湧き出させることができるのですから、いわば永久機関。「達成したくて仕方がない」という気分になれれば、私たちは目標に向けてがむしゃらに走り続けることができ、当然のようにゴールのテープを切ることができるのです。

私の場合は住まいでしたが、大きな夢や目標は人によってまったく異なり、意識を膨らませる過程もいろいろです。

欲しい車があるならぜひ試乗してみて、その車に乗ってドライブしている自分をイメージしましょう。

旅行したいところがあるならガイドブックや観光サイトを読み込んで、紹介文や写真を参考に、絶景や絶品を堪能している自分のイメージを膨らませましょう。

資格や試験に向けて勉強中なら、すでにテストをパスした先輩の話を聞いて、試験に合格した後の自分を想像してみましょう。

ワクワクのスイッチが入り、心の奥底から自然と熱意が込み上げてくるはずです。

コツは、とにかく五感の力を借りることです。

どんなものが見えているか、どんな声や音が耳に届いているか、どんな香りがするか、どんな感触か、どんな味か。

自身の心に問い掛けながら、イメージを爆発させてください。

●5段階すべて網羅

無意識と意識について話したので、残るは思考と実践と習慣です。

これら思考や実践を当たり前のように行えた段階が習慣化ということです。あなたの人生の価値観の1つ、大切なものとして定着した状態になります。

無意識に新しい結果を求めて次の目標を立て、意識でイメージを膨らまし、思考と実践でよりモチベーションを上げながら目標へと進む。そして習慣化で当たり前のように結果が得られ、楽しさや喜びをかみ締めることができる。さらに無意識で次の結果を求めて……。

この循環の中に身を置くことができれば最強です。ひたすら楽しく、いつまでも結果を出し続けることができるのですから。

挑戦と成長を諦めたくない人の目標達成術
清水久(しみず・ひさし)
株式会社NEOSHAKEHANDS代表取締役社長。自由が丘産能短期大学経営管理コース卒業。ジュエリー業界やブライダル業界、人材業界などを経て、2016年に独立。2017年にセミナー講師へ転身し、主に経営コンサルティングやセミナー、講演活動を精力的に行うほか、出版事業や教育事業なども行う。
須崎雄介(すざき・ゆうすけ)
株式会社KEYOFLIFE代表取締役社長。青山学院大学文学部心理学科(現教育人間科学部)卒業。学校法人で専門学校教員として7年間勤務。2016年に起業・副業のコンサルタントとして独立。その後、保険代理店の経営、不動産事業なども手がける。

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