(本記事は、清水久氏、須崎雄介氏の著書『挑戦と成長を諦めたくない人の目標達成術』合同フォレスト、2019年7月12日刊の中から一部を抜粋・編集しています)
カリスマに学ぶ「安心感を与える人」
●温かい人の上位版
カリスマについてお話しします。
「なぜここで急にカリスマが?」と疑問に思うかもしれませんが、温かい人を極めた人こそが、カリスマだと感じているからです。言い換えるなら、温かい人をバージョンアップさせたものがカリスマなのです。
カリスマの持つ能力は、大きく2つに分けることができます。
1つ目は持って生まれた先天性の能力です。カリスマは超人的な資質を有しているといわれていますが、それは天によって与えられた特殊な力です。こればかりはいくら欲しくてもカリスマの専売特許のようなものなので、吸収することはほぼ不可能と考えておくべきです。
そこで2つ目の、自力で磨いて身に付けていく後天性の能力に注目します。ここではカリスマが有している後天性の能力について知り、温かい人になるための参考材料としていきます。
カリスマから学べる後天性の能力には、安心感とリーダーシップがあります。このうち、安心感についてはとくに、温かい人にとっての重要な特徴の1つです。
次に、ある大学の研究チームによって導き出されたカリスマの6つの特徴と6つのスキルを紹介します。「この人に任せておけば大丈夫だ」と思ってもらえるような、安心感抜群の人になるために参考にしてください。
これらを実践すれば誰でもカリスマになれます、という言い切りはできませんが、カリスマがしていることを真似ることで、より温かい人に近づけるのは間違いありません。
●カリスマの6つの特徴と6つのスキル
ある研究によれば、カリスマには大きく6つの特徴があるといわれています。もしあなたの身近にカリスマと呼ばれる人がいるのなら、これらの特徴と照らし合わせてみてください。なるほどと思わずうなずいてしまうことでしょう。
【カリスマの特徴】 (1)他人をいい気分にさせるのがうまい (2)他人にしばしば笑いかける (3)誰とでもうまくやる (4)存在感がある (5)他人に影響を及ぼす能力を持っている (6)集団を導く方法を知っている
「温かい人のイメージ代表はタモリさん」と言いましたが、まさにタモリさんはこれらカリスマの6つの特徴を満たしていると思います。
6つの特徴のうち、(1)から(3)までは安心感、(4)から(6)まではリーダーシップに紐づいているといえます。また、先天的な能力ではなく、日々の中で体得し技術として磨ける能力です。
具体的にどういったことを実践していけば、先天的なカリスマでなくても6つの特徴を光らせることができるでしょうか。
次に、カリスマが有している6つのスキルを紹介します。温かい人になるためのヒントとしてください。
【カリスマのスキル】 (1)共感 (2)傾聴 (3)自信 (4)情熱 (5)表現力 (6)アイコンタクト
●6つのスキルの実用例
(1)共感
カリスマはもちろん、温かい人が持つ必要不可欠なスキルといえます。
「この人は私のことを分かってくれているんだ」
家族や友人や職場の仲間など、周りの人たちにそう思ってもらえたら、彼らがあなたに抱く安心感や信頼感は絶大なものとなります。
共感を伸ばす簡単で有効な方法は、相手の真似をすることです。ミミッキングとも呼ばれるこの手法は、異性にモテる人もよく実践しているそうです。
相手が髪を触ったら自分も触る。笑ったらこちらも笑い返す。こういった動きや表情作りを真似するのも有効ですし、相手の発言の一部をさりげなく復唱するのも、相手に共感を持たせることができます。
「最近趣味でテニスを始めたんだ」 「へー、テニスですか」 「昨日もやったんだけど、筋肉痛がつらくて」 「筋肉痛、つらいですよねえ」
相手の言葉を真似るだけなので、瞬発力を求められるトークが苦手な人でもすぐに実践できます。
これだけでも、相手に「この人は私の話を聞いて理解してくれる」という安心感を与えることができ、好感度や信頼度を上げることができます。
(2)傾聴
共感とセットで磨くテクニックです。相手の話に興味を持ち、熱心に耳を傾けていることを態度で示しましょう。
こちらが話しているとき、相づちなどのリアクションがなく、表情もどこかつまらなそうで、話し相手が終始興味がなさそうな様子だったら、不満や不信感を拭えませんよね。
意外と皆さん、自分の興味がない話を振られると、その内面を行動や表情に出してしまいがちです。「あ、この人は私に興味がないんだな」と相手を落胆させてしまいます。これでは相手と距離を作ってしまい、関係構築が困難になってしまいます。
応援してくれる人を増やせることが温かい人の特権であり、円滑な目標達成のための条件でもあります。相手の話していることに耳を傾ける姿勢は常に心掛けましょう。
(3)自信
大きく2つ存在します。1つ目は根拠のない自信で、これはカリスマ性の高い人が先天的に持っていることがほとんどです。簡単に体得できるものではありません。
2つ目は、成功体験で作られる自信です。
成功体験は目標を達成することで得られる自信に紐づけられています。「目標達成し、成功体験が得られ、自信がつく」の流れは一くくりと考えましょう。
したがって、自信をつけて周りに安心感を与えられる人になりたいのであれば、目標設定と達成を繰り返し行っていくことが第一です。小さい目標をいくつも重ねていくことで、大きな自信となっていきます。
さらに「この人は自信を持って生きているな」と相手に思わせるのは、一貫性を持つことです。終始ぶれることなく、1つの大きな目標に向けてひた走れる人を、私たちは「自信に満ちあふれた人」と見なします。
たとえば、世界的に有名な漫画『ONE PIECE』(集英社)の主人公ルフィ。「海賊王になる」と徹底して夢を語り続けているルフィには自信がみなぎっています。
彼の場合は先天的なカリスマ性に助けられている面もありますが、一貫した夢や目標を語れる人物は、多くの人たちに安心感を与えることができ、自然と仲間を増やすことができるのです。架空の人物ではありますが、ルフィは温かさに満ちあふれたカリスマです。
(4)情熱
何事に対しても力いっぱいに取り組む姿勢です。
自分の中に情熱の火を絶やさないでいることも大切ですが、周囲に対して情熱を配っていくことを忘れないでおきましょう。傾聴とリンクしている部分で、自分のことばかり熱く語るのではなく、周りに対して情熱を向けて絆を深める意識で接することが大切です。
自分語りが過ぎる人は嫌われがちです。「私はこうなんだけど、あなたはどう?」と、自分が発言しているときも常に周りにアンテナを向けるよう心掛けましょう。
(5)表現力
日々の積み重ねによって自然と培われていく、自分なりの個性ともいえます。カリスマ性の高い人はこの表現力が抜群に優れているからこそ、多くの人を魅了し続けられるのでしょう。
バーバルとノンバーバルを駆使したコミュニケーションから、まずは始めていきましょう。あなたなりの表現力が自ずと鍛えられていくはずです。
(6)アイコンタクト
周りに安心感を与えて不安を除去する作用があります。強ばった筋肉を緩める作用ともいわれています。
相手と気持ちを同調し安心させるために、アイコンタクトは忘れず行いたいです。
また、これを逆手に取った方法もあります。あえて視線をそらすことで、相手に不安な気持ちを与えるテクニックです。
深刻な話をしているときに不意に視線をそらすと、「急にどうしたんだろう」「もしかして嫌われたのかな」と相手を不安にさせることができます。
ここで再度視線を戻し、アイコンタクトを取ります。さらに優しさや温かさを伴った言葉を添えれば、先ほどまでよりも深い安心感を与えることができます。緩急と落差がポイントです。
使い過ぎると逆効果なので、ここぞというときのテクニックとしましょう。
●定期的な見直しをしよう
カリスマの持っているスキル、「共感」「傾聴」「自信」「情熱」「表現力」「アイコンタクト」を念頭に置いて、温かい人になるべく、日々コミュニケーション力を鍛えていってください。
安心感やリーダーシップを伸ばす方法は他にもありますが、温かい人になるための入門編として、日常でやってほしいお勧め技を厳選した次第です。
私もまだ温かい人を目指す途中です。意識し忘れていることがあれば、日々の目標として掲げ、価値観として定着させていくようにします。目標更新を繰り返すことによって、温かい人への階段を着々と上っていくことができます。
※画像をクリックするとAmazonに飛びます