(本記事は、清水久氏、須崎雄介氏の著書『挑戦と成長を諦めたくない人の目標達成術』合同フォレスト、2019年7月12日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

自己分析で成功&失敗の法則を見つける

成功と失敗
(画像=WHYFRAME/Shutterstock.com)

●4つのステータスで振り返る

「満足度の高かったこと・うまくいったこと」と「満足度の低かったこと・うまくいかなかったこと」を書き出し、それぞれのステータス(状態)を分析し、共通点を見つけていきます

共通点を導き出すことで、あなたが成功するコツ、もしくは失敗する要因が見えてきます。

すべての出来事を書き出すのは一苦労なので、人生のベスト3とワースト3を書き出してみましょう

計6つの出来事を「メンタル」「スキル」「フィジカル」「サイクル」の視点で振り返ってみましょう。思い出せる限り、詳細に書き出してください。

(1) 「メンタル」はその時の精神的な状態:どんな気持ちだったか、どういうモチベーションで取り組んでいたかを正直に書き留めましょう。

(2) 「スキル」はその出来事に際してどんな準備をしていたのか:普段からどういった知識を吸収していたか、どんな技術が生かせたかを記します。「満足度の低かったこと・うまくいかなかったこと」のスキルでは、「どんなことをしていればもっとうまくいったか」「どんな知識や技術が不足していたか」「後悔している部分はないか」といった反省視点で振り返ってみるといいでしょう。

(3) 「フィジカル」は体の健康状態:体調や体づくり、食事や睡眠についても書き出してください。それぞれにどれだけ気を遣っていたかを思い返します。

(4) 「サイクル」は当時の習慣や生活リズムの振り返り:「満足度の低かったこと・うまくいかなかったこと」では、悪いと分かっていてもつい続けてしまっていた習慣がなかったかを思い出してみてください。

●共通点のあぶり出し

4つのステータスを書き上げたら、今度は「横」に比較していきます。

すなわち、書き出した「満足度の高かったこと・うまくいったこと」と「満足度の低かったこと・うまくいかなかったこと」の上位3つの各ステータスを見比べて、共通点を見いだしていきます。すべてに共通していることでなくてもいいので、横に比べて気付いたことを書き留めていきましょう。

ここは自己分析の上で非常に大切なプロセスです。分析の仕方を間違えると、意味のない作業となってしまいますので、各ステータスの共通点の見つけ方のコツをじっくり説明していきます。

「満足度の高かったこと・うまくいったこと」から抽出したいのは、過去の成功体験から導き出される勝ちパターンです。

(1)メンタル

その時の精神的モチベーションの柱となっていた共通点をあぶり出していきます。成し遂げるにあたって、達成時のご褒美や支えてくれた人たちなど、必ず何か心のよりどころとしていたものがあったはずです。それらは今後のあなたの目標達成においても重要なモチベーションとなってくれるはずです。思い出せる限り書き出します。

(2)スキル

あなたが事前に行っていた準備の共通部分を見つけ出します。加えて、出来事によっては、あなたが得意としている、よりパフォーマンスを発揮できる技術を発見できるかもしれません。たとえば誰かと一緒にやる作業のほうがうまくいくとか、逆に1人のほうが成功しやすいとか、念入りに計画するよりもまずやってみたほうが成功しやすい、といったようにです。勝ちパターンにおける自分に合った戦略が見えてくるでしょう。

(3)フィジカル

健康状態の共通点です。うまくいっているときは体調が優れていて、健康のために実践していたこともあったはず。自身の体への気遣い度合いを見いだしていきましょう。

(4)サイクル

実践していた良い習慣や意識行動の共通部分を拾い上げます。これは人によってさまざまで、当時行っていた意外な習慣が勝ちを引き寄せていることもあります。「外食は控えていた」「通勤途中の神社で祈願していた」「守衛さんに必ずあいさつをした」といった些細なものでも、思い出せた習慣は書き留めておくといいでしょう。

続いて「満足度の低かったこと・うまくいかなかったこと」の共通点です。

こちらはいわば負けパターンの抽出ということになります。やはり重要なワークですので頭を働かせましょう。

(1)メンタル

モチベーションダウンの要因の共通点を探しましょう。心がくじけてしまった瞬間はいつなのか、どういったマイナス思考状態に陥りやすいのか、自身の思考パターンを分析しましょう。

(2)スキル

不足していた技術や反省点などを書き上げていったと思うので、その中の共通事項をまとめましょう。計画性がなかったり、純粋に自分のレベルが足りなかったり、技の未熟さによる敗因は必ずあるはず。そこをきっちり見つけ出しましょう。

(3)フィジカル

メンテナンスの足りていなかった点に共通事項がないかスキャンしてください。多くの場合、失敗するときは体のコンディションが悪く、十分なパフォーマンスを出せていないもの。食事や睡眠などにも共通した部分を探し出せるとベストです。

(4)サイクル

習慣や行動の共通点を発見するのも重要です。何かと怒りがちだった、遅刻が多かった、ついお金の無駄遣いをしていた、家族の問題を後回しにしていたなど、当時の生活模様をよく振り返っておきましょう。

●発覚する強みと弱み

共通点のあぶり出しで見えてくるのは、成功と失敗の法則です。

「験を担ぐ」という古い言葉があります。過去に良い結果が出たときの行動を真似することで、また良い結果を得ようとすることです。

「試験の前夜にかつ丼を食べたら受かった。だから次の試験も、前夜にかつ丼を食べよう」

勝ちパターンに乗ることで、成功へと自分が向かっている気分が味わえます。科学的根拠うんぬんとは別に、自身のモチベーションに一役買ってくれていることは確かです。

加えて、失敗率を上げてしまう可能性も回避できるのです。極端な話、かつ丼ではなく牡蠣を食べて食あたりになってしまったら元も子もありません。

過去の成功体験に沿い、失敗体験と同じ行動を避けることが、成功率アップの秘訣。そういった意味で共通点探しは大変意義があります。

また、このワークによってあなたの得意なことや弱点も発見できます。

事前の準備を大切にしていても、頑張り過ぎて体調不良に陥ったり。

自分の技術は足りていても、他の人たちとの連携に未熟さがあって目標達成に至っていなかったり。

成功や失敗の根本的な要因に気付くことができるでしょう。

挑戦と成長を諦めたくない人の目標達成術
清水久(しみず・ひさし)
株式会社NEOSHAKEHANDS代表取締役社長。自由が丘産能短期大学経営管理コース卒業。ジュエリー業界やブライダル業界、人材業界などを経て、2016年に独立。2017年にセミナー講師へ転身し、主に経営コンサルティングやセミナー、講演活動を精力的に行うほか、出版事業や教育事業なども行う。
須崎雄介(すざき・ゆうすけ)
株式会社KEYOFLIFE代表取締役社長。青山学院大学文学部心理学科(現教育人間科学部)卒業。学校法人で専門学校教員として7年間勤務。2016年に起業・副業のコンサルタントとして独立。その後、保険代理店の経営、不動産事業なども手がける。

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