(本記事は、清水久氏、須崎雄介氏の著書『挑戦と成長を諦めたくない人の目標達成術』合同フォレスト、2019年7月12日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

4つの視点でモチベーションアップ

報酬
(画像=Kenishirotie/Shutterstock.com)

●達成したくて仕方がなくなる!

目標に向かって走り出したくても、モチベーションが下がってきてやる気が起こらないこともあります。これが頻繁に発生しているなら、いつまでも同じ場所に留まり続けることになり、目標達成には至れないでしょう。

なぜやる気が起こらないのか。それは、目標を達成することばかりに気持ちがいってしまい、目標を達成した先に待つ多くの「収穫」のことを考えていないからです。

あなたがこれまで「満足できたこと・うまくいったこと」というのは、目標そのものよりも、目標の先に待っている嬉しいことや楽しいことがあったからこそ、頑張ることができ、達成に至れたのではないでしょうか。

目標の先で得られる価値を明確にしておくこと。これが、目標達成に対するモチベーションを生み出してくれるのです。

これから紹介するワークを実践することで、あなたはきっと目標を達成したくて仕方がなくなるはずです。コツは、「4つの視点」から目標達成のイメージを固めることです。

●その後の姿を想像しよう

4つの視点とはすなわち次の4つです。

(1)自分が得る物質的価値
(2)他者が得る物質的価値
(3)自分が得る精神的価値
(4)他者が得る精神的価値

百聞は一見に如かず。これも実際に例をご覧になると理解しやすいです。

ある会社に勤める営業マンが立てた目標は「営業ノルマ達成(契約30件、売上1千万円、3ヵ月以内)」です。

このように目標はできるだけ数字も書き込んで、より明確にしておくのがベターです。期日も添えましょう。

次に、目標を達成したら得られる価値を先ほどの4つの視点で切り分けます。やや想像力を要しますが、難しいことではないですし、イメージすることで豊かで楽しい気持ちになれ、達成したいという熱意が増します。

目標を立てたら、まずは4つの視点です。この習慣を身に付けましょう。

(1)自分が得る物質的価値

目標達成後にあなたが得られる形のある見返りを挙げていきます。例では、成約に伴い、特別な報酬が受け取れ、さらにその報酬で買い物や食事に行くことを価値として書き出しています。

目に見える形での見返りなくして、目標へ動くことはできません。目標達成で直接得られるものは何か、さらにそれを使ってどんなことができるのか。詳細に書き出し、自分がそれを実行している姿をイメージすることが、モチベーションアップにつながります。

(2)他者が得る物質的価値

目標の達成によって自分以外の人や組織に与えられるメリットを書き入れます。例では、商品やサービスに触れたお客さまのメリットや、会社の売り上げアップ、会社の仲間や家族への還元を挙げています。

自分以外の誰かのために目標達成を目指すのも、積極的な行動へと駆り立てる重要なガソリンの1つです。というよりも、社会や他者への貢献こそ、一番のモチベーション維持につながるという人がほとんどではないでしょうか。

(3)自分が得る精神的価値

達成感、自信、向上する技術、感情、経験、体験などに紐づいたものを書き入れます。

成功体験ほど価値の高いものはない、という考えを持つ人もいるくらいです。成功体験は自信を生み出し、人生の印象的な記憶の1つとなり、将来を大きく左右する要因になります。

目には見えないですが、絶大な価値をあなたにもたらしてくます。これをきっちりイメージして、些細なことでもいいのでできるだけ多く挙げてください。

(4)他者が得る精神的価値

社会にどんな影響を与え、周りの人にどんなプラスの感情や思い出を与えられるか、想像力を豊かにして考えてみましょう。

アイデアを出すコツとしては、物質的価値で書き出した周りへの価値、これら有形のメリットによって、彼らがどんな感情を抱くかを考えてみてください。

物質的にしろ精神的にしろ、周りへの価値付与が、巡り巡って将来の自分への財産となってくれます。周りがあなたの支援者となり、今後もあなたの目標達成を手伝ってくれる強い味方であり続けてくれますし、将来困ったことがあったときは助けてくれるはずです。

以上の4つの視点での目標達成に伴う価値は、文字に書き起こすことであなたのパワーの源となります。「何としても達成したい」という気持ちが強まっていきます。

完成した4つの視点を適度に見返して、モチベーションを保つことを心掛けてください。

●止まらないワクワク感

目標達成に際して、ここまで想像を展開させる機会は、もしかしてこれまでなかったかもしれません。

多くの人は自分のこと、とくに物質的な見返りだけに限ってイメージしがちです。これだけだと、目標達成へのワクワク度が足りないこともあり、モチベーションが持続できないのです。

自分のことだけでなく、他者のことも含めた、物質面と精神面での4つの視点を持つことで、目標達成へのモチベーションを保つことができます。大きな目標を掲げるたびに、ぜひ実践してください。

問題の想定&対策で達成率アップ

●備えあれば憂いなし

目標を細分化し、目標達成へのモチベーションアップも行ったので、いよいよ目標へ向けた具体的な計画立てをしていく段階になります。

ここでもう1つ実践しておきたいことがあります。

目標に向けていかに緻密な計画を立てたとしても、問題発生というのはつきものです。

そしてこの問題自体が想定できていたものであるか、予期せぬものであったかで、対処の正確性や迅速性は大きく変わり、目標達成への道のりも大きく差が出てきます。

問題への準備ができていない人は、思いがけない問題に出くわした瞬間に心が折れてしまい、行動をストップさせてしまいがちです。

成果を出せている人は、事前に起こりそうな問題を想定し、対策方法を練っています。

ここでは、問題を事前想定し、いざ問題が起きてしまっても柔軟に対応し、軌道修正するための方法を紹介します。問題想定力と対応力を磨きましょう。

●自己分析から問題点を抽出

核となるのは次の4つの状態です。 (1)メンタル (2)スキル (3)フィジカル (4)サイクル

「満足度の高かったこと・うまくいったこと」と「満足度の低かったこと・うまくいかなかったこと」の各共通点を、問題想定と事前対策に生かすことができます。

それでは、4つの状態において、問題を想定していきましょう。気を付けるべき点をいくつか挙げます。

(1)メンタル

目標達成において、妨げとなりそうな気持ちや精神状態を想定します。自己分析から判明した、うまくいっているときの精神状態とうまくいっていないときの精神状態を参考に、どういったメンタルに陥ると「負けパターン」コースへ進むことになるか、書き留めておくことが大切です。

(2)スキル

自分に足りない知識や技術がないかを確認し、それらによって引き起こされる問題を考えます。心と同様に、うまくいったときとうまくいかなかったときをヒントにして組み立てていくといいでしょう。スキル不足による問題発生は、目標達成においては致命的ともいえますから、スキルはより具体的にまとめておいてください。

(3)フィジカル

過去でうまくいかなかったときの健康状態を参考に、体調不良によって引き起こされる問題がないか考えます。

気を張り過ぎて気付かないうちに疲れを蓄積していたり、悪環境に身を置いてしまって体調を崩したりなど、これまで意識していなかった失敗要因が過去の体験に残されているかもしれません。これらをきちんと書き出しましょう。

(4)サイクル

生活習慣によって、目標達成が阻害されていないかを見直します。

試験に向けて猛勉強、昼夜逆転生活を送っていたら、いざ本番のとき早起きするのがつらく、本来の力を発揮できなかった。こんなことになってしまったら最悪です。こういった悪い習慣要因がないか、いま一度生活を見返しておいてください。

以上の4つの状態から問題を想定していきます。言葉だけでは伝わりにくいところもあるので、サンプルも参考にしつつ、あなたなりの問題想定を実践してください。

●問題と対になる対策案

問題の抽出ができたら、各問題への対策を練る段階に入ります。

過去のうまくいった体験やうまくいかなかった体験の反省点を参考に、勝ちパターンへと持っていける方法を考えましょう。

対策方法は、大きく分けて次の2つがあります。

(1)問題ができる限り起きないように行う事前対策

(2)実際に起きてしまっても慌てず迅速に対応できる対策

『挑戦と成長を諦めたくない人の目標達成
(画像=『挑戦と成長を諦めたくない人の目標達成術』より)

問題想定と事前対策(上図)は、いわば対となった鏡のような関係なので、問題抽出がうまくできていれば、対策方法は自ずと見えてくるはずです。

自分にできないことは人に頼ったり、足りない知識や技術は早い時期から吸収したりしていき、悪い習慣は直すよう意識して生活すればいいのです。これらは決して難しいことではありません。

挑戦と成長を諦めたくない人の目標達成術
清水久(しみず・ひさし)
株式会社NEOSHAKEHANDS代表取締役社長。自由が丘産能短期大学経営管理コース卒業。ジュエリー業界やブライダル業界、人材業界などを経て、2016年に独立。2017年にセミナー講師へ転身し、主に経営コンサルティングやセミナー、講演活動を精力的に行うほか、出版事業や教育事業なども行う。
須崎雄介(すざき・ゆうすけ)
株式会社KEYOFLIFE代表取締役社長。青山学院大学文学部心理学科(現教育人間科学部)卒業。学校法人で専門学校教員として7年間勤務。2016年に起業・副業のコンサルタントとして独立。その後、保険代理店の経営、不動産事業なども手がける。

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