10月21日、スポーツ用品大手のアシックス <7936> が1914円と年初来高値を更新した。8月2日の安値1118円から2ヵ月半ほどで約70%の上昇である。背景には中間時点での好決算に加え、スポーツ用品で世界最大手の米ナイキが史上最高値を更新した影響も指摘される。さらに、後段で詳述するようにオリンピック・パラリンピックの前年に高値を付ける傾向も人気を後押しした可能性がある。今回はアシックスを取りあげたい。

アシックス、中間決算で悲観ムード解消?

アシックス,株価
(画像=2p2play / shutterstock, ZUU online)

アシックス株が上昇するきっかけとなったのは8月2日発表の中間決算だった。実はアシックスは前2018年12月期に最終赤字を計上しており、同日の株式市場では中間決算に対する警戒から年初来安値となる1118円を付けていた。ところが、引け後に発表された決算内容が市場予想を上回るポジティブ・サプライズだったことから、週明け8月5日は買い気配で始まり、一時はストップ高となる1426円を記録。それまでの悲観ムードから一転してのV字回復となった。

ちなみに、アシックスの2019年12月期の中間連結決算(1〜6月)は売上が1872億円と前年同期比3%減であったが、本業の利益を示す営業利益が期初予想の70億円を大幅に上回る85億円で着地、前年同期比で1%増とわずかながらも増益に転じている。売上面では、新製品のハイテクシューズの人気もあってパフォーマンスランニングシューズ部門が北米を中心に好調、復活ファッションブランドであるオニツカタイガーもグローバルで好調だった。また、利益面では前年度にリストラコストとして240億円の特別損失を計上したことによる原価低減効果も寄与した。

特に注目されるのは、直近四半期(4〜6月)の売上が0.4%増の884億円と2四半期ぶりのプラスに転じ、営業利益も前年同期の48億円の赤字から24億円の黒字へ転換したことである。アシックスは2019年12月期の通期予想を売上3900億円、営業利益120億円と据え置いたが、すでに中間時点で営業利益は85億円を計上しており、進捗率の高さから通期でも上方修正を期待するムードが広がっている。実際、QUICKコンセンサスでは会社予想を7億円上回る127億円を予想している。

オリンピック前年はスポーツシューズ株が高い!?