10月16日、米動画配信大手ネットフリックスが発表した7~9月期決算は売上高が31%増の52億4490万ドル、純利益は65%増の6億6524万ドルと増収増益となった。また、1株利益は1.47ドルと市場予想の1.03ドルを大きく上回っている。この決算発表を受けてネットフリックス株は一時急伸する場面も見られたが、一方で大手企業の動画配信サービス参入が相次ぐ中、ウォール街の市場関係者からは「前途多難であることに変わりない」(アナリスト)と慎重な声も多く聞かれる。

動画配信の「巨人」は勝ち残ることができるのか? ネットフリックスが直面する、ストリーミング大戦争の最前線をリポートしたい。

契約者数の伸び、今年は20%を下回る?

ネットフリックス,株価
(画像=KasparsGrinvalds / shutterstock, ZUU online)

ネットフリックスの7~9月期の契約者数は全世界で677万人増となり、会社予想の700万人増には届かなかった。ただ、ファクトセットがまとめた市場予想の669万人増は上回っている。内訳を見ると米国が52万人増と4~6月期(13万人減)からは持ち直したが、会社予想(80万人増)には届いていない。一方、海外は626万人増と会社予想(620万人増)を小幅ながら上回っている。

ネットフリックスは10~12月期の契約者数について「全世界で760万人増」と予想している。これは市場予想の957万人増を大幅に下回る数字であり、やや失望的な見通しと受け止める向きもある。もう一つ、注目されるのは年末時点の契約者数だ。ネットフリックスは年末時点の契約者数について1億6600万人弱になると予想している。この予想が的中すると2019年の契約者数の伸びは初めて20%を下回り、減速が浮き彫りとなる。過去5年は平均で27%増だった。

好決算で株価上昇も長続きせず?

ネットフリックスの契約者数は4~6月期に80万人減少していたが、7~9月期に増加へ転じたことで株価は一時10%以上も上昇する場面も見られた。しかし、上記の通り10~12月期の契約者数が市場予想を下回る見通しが示されたこと、2019年の契約者数の伸びは初めて20%を下回ると予想されていること、さらに大手企業の動画配信サービス参入が相次いで発表されたこともあってその後は上値の重い展開を余儀なくされている。