ファッション業界に新しいトレンドが生まれています。今、リサイクルナイロンに注目が集まっているのです。代表的な例として、「PRADA」(以下プラダ)はブランドの象徴として愛され続けているナイロンアイテムを、2021年末までに無限に再生できるリサイクルナイロンへと移行すると発表しました。売上の一部は、環境の持続可能性に関連するプロジェクトに寄付されるそうです。今後、このような動きは広がっていくのでしょうか。背景にある課題と合わせて解説します。
日本でも廃タイヤをリサイクルしたブランドが登場
プラダの裏で、日本のバッグブランド「SEAL」も、リサイクルの観点で注目されています。SEALは廃タイヤを再利用することをコンセプトに、靴やカバンを職人が手作業で作っています。こちらも売上の一部を環境団体に寄付をする取り組みを続けているなど、環境に配慮したモノづくりを行っています。
ファッション業界が持つ「環境面での」課題とは?
こういった背景にあるのは、SDGsに関する取り組みの重要性が高まってきたことです。SDGsとは「持続可能な開発目標」のことで、国連加盟国が2030年までに達成すべき目標が定められています。その中には、持続可能な消費と生産などの項目も含まれています。
これまで、ファッション業界というのは決して環境にいいとは言えない業界の代表でした。例えば、代表的なものが、アパレル商品の廃棄の問題です。日本では、年間で衣料品が約29億点供給されるのに対し、消費数量は約14億点と推定されています。供給数量の約半数の衣料品が、消費されることなく廃棄されているのです。大量生産・大量消費・大量廃棄というのがファストファッションに代表されるアパレルの仕組みでしたが、もちろん環境にやさしいわけがありません。
また、かねてから、毛皮や希少動物のレザーといった素材を使うことも、環境団体や動物愛護団体の批判の的となっていました。今、これらの素材は、エコファーやエコレザーに代替されつつあります。環境にやさしい、持続可能という面から、今、ファッション業界が変わりつつあると言えるでしょう。
環境に配慮したファッションビジネスがメインになる?
しかし、ファッションビジネスが環境に配慮したものとなるには、少し時間がかかるかもしれません。
その要因は、「安いものを消費者が求める」という構造にあります。ZARAやユニクロに代表されるファストファッションは、相変わらずファッションの主流になっています。こういった低価格商材は、どうしても大量生産が前提になっています。そして、毎シーズン新作を提案しなければならないという商品サイクルも、彼らの生産量を増やし、結果として廃棄量を増やすという方向に進めているのです。
実際、プラダのナイロンも、SEALのバッグも、決して安いものではありません。こういったサステイナブルな素材や商品が、いかに手の届く価格で作られるか、そこが次のファッションビジネスの課題になってくるのではないでしょうか。
徐々に進むファッションのサステイナブル化。新しい動きに注目したい。
プラダやSEAL以外にも、環境に配慮したファッションブランドというのは徐々に増えています。しかし、まだ、それは大きな流れにはなっておらず、大量生産・大量廃棄がファッションビジネスの主流です。しかし、SDGsの達成のためにも、ファッションのサステイナブル化は業界全体の課題であると言えるでしょう。今後のファッションのサステイナブル化の動きにも注目していきたいですね。(提供:JPRIME)
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