アメリカ不動産投資のすすめ: 安全な取引で安心な投資
森田尚樹(もりた・なおき)
早稲田フロンティアマインド株式会社代表取締役。東京生まれ、神奈川県横浜市育ち。聖光学院中学、高校から慶応大学法学部法律学科卒業。住友信託銀行、ゴールドマンサックス証券など外資系証券会社を経て2010年退職。その後早稲田大学全日制MBA取得後、インキュベーションセンターにて早稲田フロンティアマインド株式会社設立(現在は港区に会社移転)。著書に『アメリカ不動産投資のすすめ』(Kindleダイレクト・パブリッシング)がある。

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はじめに

私は海外不動産投資を始めて8年経つ。当初は自分で投資をしていたら、友人達から自分も投資したいから手伝ってほしいと言われ、手伝いはじめてそれが結局職業になった。当初はアジア、そして、日本、アメリカと取り扱うエリアも拡がり、クライテリアも住宅、ホテル、オフィス、そして、金額も数千万から億単位まで拡がった。

今回このような形で原稿を書くのは、数多くの相談を受けるケースが出てきているからである。それが小さな会社もさることながら、日本における上場会社までもが非常に不透明、不誠実な取り組みをするケースがあり、またアメリカ本土に住みながらブログなどでマーケティングをして、屑案件を売りつけている日本人業者もいる。

幅広く知識をもつことにより、これらの取引から身を守ることをご自身で行うことをサポートできれば幸いである。コラムニストやメディアであっても、中立的かと思いきや、業者からバックマージンをもらいながら、あたかも顧客側の目線ですよ、とうそぶいている輩もいるので注意が必要である。

これから何回かに渡って、それぞれの地域での不動産投資について私見を述べていきたいと思う。

なお、私はもともと外資系金融業出身であり、債券投資、株式投資、REIT、ヘッジファンドなど幅広い運用のお手伝いを銀行、証券会社、生命保険会社、投資顧問会社などプロの投資家相手に行ってきた。不動産投資は運用の中のごくひとつのツールに過ぎず、サラリーマン生活の後に実践しながら、勉強してきた。

人により、運用というものの考え方は千差万別である。私にとって不動産投資は資産分散である。サラリーマン時代に節税で、このアメリカ不動産投資をしていたら、非常に良かったと後悔している。人により、税金面(毎年の課税、相続税)、通貨の分散、キャピタルゲイン狙いなどニーズは多岐にわたり、私も相談を受けるとこのニーズを把握しながら、物件をお勧めするようにしている。

これから、
1)アメリカ不動産マーケットと割高に買わされてしまう危険
2)アジア不動産詐欺、原野商法
3)国内不動産マーケットについて
話をしていきたいと思うが、今回はアメリカ不動産マーケットについて述べていきたい。

最近巷で浸透してきている投資にアメリカの木造家屋22年以上の物件を購入して、賃貸に出すというものがある。

日本の税制であるが、投資対象国を問わず、木造22年以上経過している不動産を購入すると建物部分の価値を4年で償却できる。これを使って、課税所得を圧縮し、5年後に売却し、長期譲渡所得として、キャピタルゲインの2割の納税で済むという制度を利用した投資である。(2019年10月現在)

アメリカには木造で22年以上経っていてもしっかりメンテナンスされて、十分住むことのできる住宅がたくさん存在している。そして、土地建物比率として建物比率が6〜8割という物件も存在する。そういった物件を探し投資し、そして賃貸にだすという手法である。

アメリカの不動産マーケットは一般論としては流動性、透明性、取引の安全性で群を抜いている。以下順を追って説明する。

透明性