10月28日、花王 <4452> は日本証券アナリスト協会が実施する、2019年度『証券アナリストによるディスクロージャー優良企業選定』のトイレタリー・化粧品部門で第1位に選定されたと発表した。ディスクロージャーとは株主や投資家、債権者等に対し経営内容などの情報を開示すること。企業の社会的責任が求められる中、ディスクロージャーの重要性も年々高まっているが、花王は最も優れたディスクロージャーを実践する「優良企業」の一つとして選定された。

花王が数ある上場企業の中でも「優良企業」とされるのはディスクロージャーだけではない。今年2月には経済産業省および東京証券取引所が選定する、健康経営に優れた上場企業「健康経営銘柄」に5年連続で選ばれたほか、経済産業省が選定する「健康経営優良法人~ホワイト500~」にも3年連続で認定されている。

もちろん、業績も好調だ。2012年12月期から2018年12月期まで6年連続の増収増益で毎年過去最高収益を記録、今期も増収益で7年連続の過去最高を更新する見込みである。花王は国内トイレタリー市場の「ガリバー企業」であり、おむつのメリーズ、洗剤のアタック、スキンケアのビオレといった年間売上1000億円を超えるナショナルブランドを有している。また、花王石鹸、シャンプーのメリット、スキンケアのニベア、入浴剤バブ等の長寿ブランドも多い。

今回は花王が「優良企業」と呼ばれる背景を見てみよう。

30年連続増配、高収益、高ESGスコア

花王,株価
(画像=BowonpatSakaew / shutterstock, ZUU online)

花王は株主還元に積極的な企業であり、30年連続の増配を記録、現在も国内企業で増配の最長記録を毎年更新している。株主還元の一環である自社株買いも2012年12月期以降の8年間で計2300億円に達している。ちなみに、花王のROE(株主資本利益率)は今期の予想ベースで20%を超える見通しである。自社株買いで発行済み株数が減少しROEを押し上げるわけであるが、このROEは外国人投資家も重視する指標とされている。

高収益体質も花王が「優良企業」と呼ばれる理由の一つだ。花王の2018年12月期の営業利益率は13.8%で、トイレタリーでライバルのライオン <4912> の9.8%、同じく化粧品でライバルのの資生堂 <4911> の9.9%を大きく上回っている。