「人間の能力を補い、強化する」というAI(人工知能)本来の目的を達成する手段として、コラボレーティブ・インテリジェンス(協調的知能)という概念が注目を集めている。

近年は、人間とロボットの協調に限らず、ロボットとロボット、AIとAIを協調させることで、効率よく費用対効果の高いソリューションを模索する動きも活発化している。

お互いの強みを強化する、コラボレーティブ・インテリジェンス

GoodStudio / shutterstock.com, ZUU online
(画像=GoodStudio / shutterstock.com, ZUU online)

コラボレーティブ・インテリジェンス(CI)とは、「人間とAIがそれぞれのインテリジェンス(知能)を最適な形で融合させ、お互いの強みを強化する」という意味をもつ。

アクセンチュア・リサーチのマネージング・ディレクター、H・ジェームス・ウィルソン氏と、チーフ・テクノロジー・アンド・イノベーション・オフィサーのポール・ドーハティ氏が、1500の企業を対象に実施した調査によると、人間の従業員とAIが共同で作業を行った結果、企業のパフォーマンスに著しい向上が見られたという。

つまり、人間の得意分野は従来通り人間が担当し、不得意分野をAIが補うよう業務をCI化することで、パフォーマンスの効率化および最大化が期待できるというわけだ。

例えば、あらゆる組織の成長に不可欠な要素として、リーダーシップやチームワーク、創造性、社会的スキル、スピード、スケーラビリティ、定量性などが挙げられる。現時点において、リーダーシップや創造性、社会的スキルは人間の方が得意であるため、引き続き人間の専門領域とし、具体的な数値を使った表現が得意なAIには、定量性の領域を任せるなど、役割を分担する。

コネクテッド自動車から産業用ロボットまで、M2MベースのCI

近年は、「CI=人間とAIの協調」という枠組みから一歩踏み出し、マシーン・ツー・マシーン(M2M)の通信を行うことで、機械同士を協調させるという新たな概念へと広がっている。